壊れた生活を取り戻す

会社を辞めてから崩れがちだった生活リズムが、ここ最近さらに大崩壊を遂げてしまった。散らばった生活の破片をなんとかくっつけようとしても、僕が持っているテープは粘着力が弱く(100均の売れ残り)なかなかうまく行かない。

朝起きれない。起きるのが遅いから夜も眠くない。眠くないからずっと起きていてまた眠るのが遅くなり、朝起きれない。絵にかいたような怠惰ループを繰り返し全く抜け切れないこれが僕のエンドレスエイト(視聴率0.000000%)という感じなので、最近は午前4時ぐらいまで普通に起きている。家に帰ると何も思いつかなくなってしまうのでネタを書くこともできず、録画したテレビを観たり本を読むことしかできない。今は古井由吉の「栖」という気が狂ってしまった女性が登場する小説を読んでいて、「午前4時に気が狂ってしまった女性が登場する小説を読んでいる自分」を俯瞰で見てわけがわからなくなりそうになる。そんな状態で舞台に立って人を笑わせることができるのか甚だ疑問だが、「午前4時に気が狂ってしまった女性が登場する小説を読んでいる自分を俯瞰で見てわけがわからなくなっている奴」が一人でお笑いをしている事自体がもうお笑いだなと思うことにする。芸人はきっとこんな奴ばかりだから。

完全に一人きりになる状態が怖いので基本ラジオかテレビをつけているが、午前4時になるともうニュースが始まってしまう。そんな時間なのにしっかりとメイクをした女性アナウンサーが「森三中が映画公開イベントに登場」というニュースを読み上げていた。時間帯と内容が相まって世界から隔離された人間が嘘のニュースを嘘の電波に乗せて勝手に発信している気がした。(午前4時から「イベントの罰ゲームで激辛カレーを食べて悶絶している」という映像がちゃんとしたニュースで流れるわけが無い)

午前4時になると現実感も何も無くなる。世界から隔離されている自分のために、世界から隔離された人間が嘘のニュースで僕を戸惑わせてくる。3時ごろからこみ上げてきた眠気と吐き気で自分が何をしているかわからなくなる。次の日も何の予定も無い。誰にも会わない。そんな日がほとんどだ。


いつ寝たのかわからない状態から目を覚ますといつの間にか昼過ぎになっていた。外に出て何かの店に入れば少しだけ生活を取り戻せる。そう思い電車に乗り、好きな町の知らない喫茶店に入ったら8か所ぐらい虫に刺された。秋なのに。これが生活をするということなのだろうか。虫に刺されるのは嫌なので世界から隔離された家に早々に戻った。また壊れた生活が始まる。何も変わらなかった。


「こんなことをするために会社を辞めたのだろうか?」と思う日がほとんど。30日中29日。

「これをするために会社を辞めたんだ」と思う日がたまーーーーーーにある。30日中1日。


その1日のためにまた壊れた生活の中に戻っていく。少しずつその1日を増やしていけば生活を取り戻せる気がする。

生活を、取り戻せ

キャッチコピーにします。















来てほしいライブ


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