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【完全版】満鉄に務めていた社員を探す方法  ~ ご先祖さま探し ~

 私の祖父は、戦時中いわゆる「南満州鉄道」に勤めていて、日本の敗戦によって現地での全てのものを捨てて帰ってきました。

 先祖探し、ルーツ探しをしておられる方の中には「満鉄に務めていた父や祖父を探したい」という方もたくさんおられると思います。

 そこで、私が実際に満鉄職員であった祖父の記録を探した手順を踏まえて、誰にでも出来る「満州鉄道関係者」の記録探しの方法をまとめたいと思います。

 実は、満鉄関係の資料は、

満鉄会情報センター
http://www.01.246.ne.jp/~mateka/

というOBの方の組織でかなり詳しいことが整理・管理されていたのですが、メンバーも当然ご高齢となり、2016年3月で解散ということになっています。満鉄会のページでは、解散時の状況等も詳しく掲載されていますが、私は「解散前」に祖父のことでお世話になったので、ここでどのように情報が管理されていたのか、あるいはこれからはどのように調べればよいのかについてできるかぎり説明したいと思います。


ちなみに、口頭の伝承では「おじいちゃんは満鉄に勤めていたんだよ」みたいな話が残っているおうちが多々あると思いますが、確かに旧満州や中国の鉄道を満鉄が管理支配していた面はあるものの、その細部はいろいろな鉄道会社に分かれていました。


【南満州鉄道株式会社】 ・・・いわずと知れた満州鉄道ですが、その名前が示すとおり本来は私鉄です。その私会社の姿を持って、満州国内に鉄道のみならずありとあらゆるインフラ整備を行っていったのが、当時の日本です。

【満州国有鉄道】 ・・・日本に国鉄があったように、満州国にも国鉄がありました。しかし、建設や運営には満鉄が当たっていたので、厳密な意味で国鉄が独立して運用されていたわけではありません。やはり満鉄の支配下にあった鉄道です。

【華北交通】 ・・・満鉄はぶっちゃけ、満州国内の鉄道です。そのため、満州国を出て中国大陸に向かう場合は、名実ともに国家が異なるわけなので、満鉄がそのまま進出するわけにはいきません。そこで、中国国内の占領地域は、満鉄子会社の華北交通がその任を担いました。

【華中鉄道】 ・・・華北は日本軍の占領度合いが強かったのですが、華中鉄道の場合は、なんと日本と中華民国政府・南京国民政府との合併特殊法人となっていました。実体としては日本の国策会社なのですが、たてまえ上は、異なる国の異なる鉄道となっていました。

 ちなみに、若者には理解できないかもしれませんが、↓ こういうのもあったのでご参考まで。

【朝鮮総督府鉄道】 ・・・朝鮮半島を走る鉄道であり、南満州鉄道へと接続していました。当時の朝鮮は、日本統治下ですから満鉄や華北・華中鉄道とは大きく異なり、別の国の鉄道ではなくあくまでも日本国内の鉄道です。


 これらのように「満鉄関係」と言ってもたくさんの鉄道公団や会社があったので、実際には「大陸のどこかの鉄道会社に出向になっている人」というのがたくさんいました。うちの祖父も、満鉄がスタートでしたが、終戦時は華北交通に出向になっています。


 では実際の記録の探し方をまとめてゆきます。

<1>いわゆる名簿を用いる方法

 満鉄関係資料を理解、把握するために、セオリーどおりの方法をまずはお伝えします。

 あとで、便利な裏ワザも書きますが、まずは満鉄の情報にアクセスするためにこの方法を理解しておくのはよいと思います。

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