【名曲散歩】vol.01 葛谷葉子/サイドシート
音楽のストリーミングサービスが世間に浸透していった2010年代後半。
自分の音楽に対する情熱はその時期ぐらいから徐々に冷めていった。
ストリーミングサービスは便利だ。
だが、便利すぎる。
もちろん聴きたいときに好きな音楽を聴けるということは
とても有り難く幸せなことなのだが、必死にチャリンコを漕いでTSUTAYAに行き、
CDを5枚借りては返し、借りては返しをしていた自分としてはどうしても物足りなさを感じる。
音楽は語れれば語れるほど楽しい。と個人的には思う。
そんなことを思って、自分がこれまでの人生で聴いてきた大好きな曲たちを
「自分のためにも」改めて調べたり考察したり、
あっちへ行ったりこっちへ行ったりの「さんぽ」のような感覚で
記事を書いていければと思う。
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葛谷葉子/サイドシート (2000年)
当時23歳の葛谷葉子の作品。
今聞いても全く古さを感じない洗練されたカッコ良さを感じる。
90年代後半から2000年前後の日本の音楽シーンは宇多田ヒカルをはじめとするR&Bブーム真っ只中。
この「サイドシート」は結局チャート圏外だったそうだが
宇多田ヒカル、MISIAといった当時の「才能の渋滞」に巻き込まれてしまったような気がする。
彼女の音楽ルーツは「クイーン・オブ・ヒップホップ・ソウル」と称されたメアリー・J.ブライジなどの王道R&Bにあるらしいが、若干23歳の彼女の曲は聴衆にとってあまりに大人すぎるサウンドだったのかもしれない。
https://www.youtube.com/watch?v=8XNaPX6MKlU
当時のシーンでは正当な評価を受けることができなかったかもしれないが、
日本の都会的で洗練された音楽が「city pop」という名で世界中で評価されるようになった現在、彼女は再度、日の目を浴びようとしている。
長い沈黙を続けていた彼女だったが、
2021年についに歌手活動を再開し、リマスター・ベストアルバム『MIDNIGHT DRIVIN’-KUZUYA YOKO MUSIC GREETING 1999〜2021-』をリリース。
ここには新曲である「midnight drivin’」と「Honey」も収録されている。
当時と変わらない歌声に驚きだが、
時代の流れとともに経てきた彼女の経験値が楽曲にさらなる説得力を与えているように思う。
特に「midnight drivin’」は煌めく夜の首都高速で聴きたい名曲だ。
このベストアルバムには収録されていないが、
「Rendezvous」という曲はぜひ多くの人に聴いてもらいたい。
晴れた海沿いの道をドライブしながら聴くと物語の主人公になったような気分になる。
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