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みょーの『ちょっとだけ奇跡が起きた話』


こんばんは みょーです。

今日はこの企画に参加しようと思います。監督兼主演みたいなもんです。もはやマットデイモン。二刀流だから大谷翔平かもしれない。もしくは古田敦也(違う)



では、どうぞ。


ちょっとだけ奇跡が起きた話


くじ運が無い男



僕は幼い頃から『くじ運』が無い。たまに当たることはあるものの、引いてきた回数に比べ、当たったことはほとんどない。「爆死」という言葉が二十年前から流行っていたとしたら、たぶん高知県が吹き飛ぶくらい爆発していたと思う。

そんな僕でも、ずっと夢中だった“運が大切な遊び”がある。それが『カードゲーム』だ。



憧れのカード



カードを手に入れる方法は、大きく分けて三つ。

・スターターデッキなどのセット商品

・ブースターパック

・シングル買い

スターターデッキ等のセット商品は、決められた種類のカードが何枚かで入っていて、それを買うだけでゲームを楽しめるというものだ。

「これから始めたい」「新しいデッキを使ってみたい」という人にはピッタリだが、昔は一箱1000円代のものが多く、アホなみょー少年はおこづかいを溜めることを知らなかった。


そして、アホだと「シングル買い」も出来ない。カードショップなどでは、必要無くなったカードを買い取ってもらうことが出来るのだが、そのカードには値段がつけられ、中古品として単品で販売されることになる。それを購入するのがシングル買いである。

狙ったカードを確実に手に入れることが出来るため、自然とプレイヤー達はシングル買いに手を出すようになり、必然的に需要が高いカードほど値段も高くなる。株のように価格変動を予想する賢さが必要になり、無いと財布がはじけ飛ぶことになる。もしくは奥さんに叱られる。


だから、みょー少年はブースターパックを買っていた。大体は150円前後で5枚入り、中身は決められた種類からランダムで当たる。分かりやすく言うと「ガチャ」だ。カードゲームをしない人でも、コンビニなどで置いてあるのを見たことがあると思う。

ブースターパックの良いところは「何が当たるか分からない」というところだ。強いカードや珍しいカードは光る加工がされていて、一目見た瞬間にそれが“当たり”だと分かるようになっている。いわゆるキラカードである。


みょー少年も「もしかしたら、ものすごくカッコいいカードが出るかも!?」と、ワクワクしながら袋を開けていた。しかしというか、当然というか、くじ運の無い僕は、その感動に出会う機会が無かった。

そんな中でも、確実にキラカードを手に入れるチャンスはあった。母が誕生日に遊戯王のブースターパックを一箱分プレゼントしてくれたのだ。


ブースターパックはランダムにカードが当たるとは言え、封入率が決まっている。『〇パック中〇枚はキラカードが当たる』という風に、一箱買えば確実に手に入るようになっているのだ。そして僕はキラカードを手に入れた。

今でも忘れられない、運命の出会いである。

だっせぇ

見ての通り、これらのカードは「部品」である。一枚では活躍できないし、なんなら光ってないやつの方が強い。

野球のグローブとゴルフボールを一緒に渡された気分。どうしろってんだ。みょー少年は遊戯王に飽きた。


そうして始めたのが『デュエルマスターズ』だった。当時、最も仲の良かった友人が始め、周囲の男の子に勧めまくっていた。僕もその流れに乗った。

デュエルマスターズには「文明」というルールがあった。カードの世界で戦うクリーチャー達は、その特徴や戦い方でそれぞれが文明と呼ばれる派閥に属しており、プレイヤー達は気に入った文明でデッキを組んだ。種類は火、水、自然、光、闇の五つである。めっちゃワクワクするやろ?


文明選びは重要だ。それぞれの文明には得意な戦い方があり、プレイスタイルが全く異なる。それはデュエルの面白さに直結する。

複数の文明を操れば解決するのだが、みょー少年のように「資金力のない」プレイヤーにとって、デッキ作りは簡単に出来るものではない。デッキ作りが出っ来ない。な~んつって(白目)


そんな中、親が厳しい友人は、名前に「光」という字が入っているという理由で光文明を選んだ。僕は痺れた。自分のデッキを愛する友人が輝いて見えた。そう感じたのはアニメの影響だった。

僕がカードを始めるきっかけになった『遊戯王』の原作では、プレイヤー達が命を預ける“切り札”を必ず持っていた。悪いヤツの切り札は主人公達をギリギリまで追い詰め、主人公達の切り札はピンチを吹き飛ばした。ヒーローとカードとの絆は、当時の少年達の心をがっちりと掴んでいた。


みょー少年も、そんな運命的な相棒に憧れていた。だから「始めて当たったキラカードを相棒にして、そいつが活躍できるデッキを作ろう!」と決めた。純粋でかわいい。でも、おこづかいがない。

そんな僕に、カードの神様は微笑んだ。

きめぇ

カエルとイソギンチャクを混ぜたようなバケモノを手にした僕を見つめる、友人の悲しい表情を今でも覚えている。

僕は初めて「『気を遣う』って、こういうことかあ!」と気づいた。いまだにコレを超えるガッカリ感を味わったことが無い。そもそもエウロピカって何やねん。ピスタチオの仲間?


それからしばらくして、カードショップで「ねえねえ~。ぼく、新商品のパックのキラカード何枚も当たったでぇ~」と知らない子に絡まれたことがある。

カードの神は残酷だ。世の中は金で回っている。彼のポンタカードが読み込めなくなりますように。



クソガキと奇跡



『エウロピカ』をおもちゃ箱にしまった僕は、なんやかんやでデュエルマスターズを続けていた。周囲の友達と共に楽しくデュエルを嗜んでいたが、ある時、とんでもない事件が起きた。

デュエルマスターズのクリーチャーには「種族」という分類がある。種族は文明ごとに分けられていて、光文明なら神々しい天使が、闇文明なら恐ろしい悪魔がいた。その常識が破られる日が来たのだ。少しも予想出来なかったみょー少年かわいい♡


それまでの世界では、少年の憧れで主人公の相棒だった「ドラゴン」は火文明に属していた。新商品では強力なドラゴンが三体も追加されたのだが、そのうち二体が他の文明を支配していた

一体は、自然文明の『超神龍バイラス・ゲイル』

クッッッソかっこいい


そして、もう一体は闇文明の『超神龍アブゾ・ドルバ』

クッッッッソかっこいい

この圧倒的イケメンドラゴンズは、幼い僕の心にブッ刺さった。それまでのカード生活で、運命の相棒に出会えていない僕は強烈に惹かれた。ウォーターボーイズの石原さとみと競る。

周りの友達は既に相棒を見つけ、文明ごとの特長と共に自分の戦い方を身に着けていた。そんな中、手持ちの光らないカード達で、何とも言えない戦い方をしていた僕は、唐突に現れた『イレギュラーな存在』にシンパシーを感じたのだ。「悪役になるなら今しかない」と思った。



僕は店長が子ども嫌いで『商品に触るな!』とブチギレることで有名なカードショップに向かった。少ないおこづかいを握りしめ、まだ見ぬ相棒を手にするために自転車を漕いだ。

店内を見回し、新商品のポスターを見る。新たなドラゴン達が堂々とこちらを見下ろしている。「いざ勝負の時!」とレジに向かおうとした時、声をかけられた。


「あれぇ~?お兄ちゃんもデュエマ買うのぉ~?」


知らない男の子だった。小学一年生くらいの小さい子で、一目でクソガキだと分かった。クソガキは勝手に話を続けた。


「ねえねえ~。ぼく、新商品のパックのキラカード何枚も当たったでぇ~」

殴りてェ~!と思ったが、年上の男として冷静に振る舞わねばならない僕は、何ともないフリをして「ふーん」と返した。クソガキは自慢を続ける。


「あのねえ~、おじいちゃんがパックいっぱい買ってくれてねえ~。バジュラもバイラス・ゲイルも出たでぇ~」

「へ、へぇ~(震え声)」

「でね~。バイラス・ゲイルは二枚当たってぇ~、バジュラは三枚も出た!


衝撃だった。目玉の三体のドラゴンのうち二体を引き当て、しかも何枚も持っている。そんな人間がいることが信じられなかった。クソガキは海馬瀬人だった。ちなみにバジュラはこいつです。

はい、かっこいい

当時は完全にパニックになっていたのだが、今ならクソガキが僕に話しかけた理由が分かる。彼には欲しいカードがあったのだ。

「でもねぇ~。アブゾ・ドルバだけ、まだ当たってないの~」

僕は適当に相槌を打った。ガキは提案した。


「だから、もしお兄ちゃんがアブゾ・ドルバ当たったら交換して?」

クソガキはクソガキだった。(何言ってんだコイツ)と思いつつ、僕は「うん」と返した。なぜなら当たるわけないからである。俺を誰だと思ってるんだ。あの『♰エウロピカのみょー♰』だぞ。


レジに並び、パックを買う。確か三つくらいしか購入しなかったと思う。当時の僕にはパックをたくさん買うという発想が無かった。クソガキは隣で見守ってくれた。帰れ。

店長とクソガキの前でパックを開封する。この緊張とワクワクが混じった感覚は、大人になった今でもたまらないものだ。


数枚のカードの中、キラキラと輝いているものがある。おそるおそる確認する。アブゾ・ドルバだった。「奇跡が起きた!」と思った。


「うわぁ~!スゲー!!!」と、僕の気持ちを代弁するかのようにクソガキが叫んだ。眉間にマリアナ海溝がある色黒の店長も驚いた顔をしていた。

次々と起こるハプニングで頭がフワフワしていた僕は、「交換してくれるっていったじゃ~ん」と喚きながらベソをかくクソガキを背に、早足で店を後にした。あとたぶん「言ってねえし!」って強めに言った。気持ちをハッキリと相手に伝えるなんて、みょー少年は素晴らしいですね。


それから、僕はアブゾ・ドルバ率いる『ドラゴンゾンビデッキ』を作り、ついに出会えた運命の相棒と暴れたのでした。あとカードショップは潰れました。めでたしめでたし



余談ですが、そのアブゾ・ドルバは、デュエルマスターズを辞める時に当時の同級生に譲ったため、もう手元に無いのです。

でも、ホラーが苦手なくせに、カードゲームではおどろおどろしいモンスターが好きになっちゃう理由は、たぶん初代アブゾ・ドルバくんのおかげです。ありがとう。



最後に



買っちゃった。




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