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「オハナ」ネタバレあらすじ感想


0,基本情報

2021年にNetflixオリジナルコンテンツとして配信された本作。監督はジュード・ウェンが務めており、彼の監督としてのデビュー作となっている。上映時間は2時間3分となっている。filmarks内の評価は5点中3.3点、Rotten Tomatoes内の評価は批評家支持が83%、オーディエンス支持は85%となっている。



1,予告編


2,ネタバレあらすじ

ニューヨーク育ちのピリは、体調があまり良くない祖父のキモの看病をするその連れ添いのため、家族でハワイへと向かう。ピリはキモの建物や部屋を物色していると、遙か昔に宝を求めた船乗りモンクスの手記を見つける。キモはピリにアロハの精神や宝の在処について語る。ピリはキモに宝はないと言われつつも知的好奇心からか宝を求め、それを追いかけたキモは高所から落下して病院へと運ばれてしまう。キモが税金を払えないほど困窮しているということもあり、キモを救うためにハワイで出会ったキャスパーと共に宝探しの冒険へとでる。が、途中で洞窟に入って中を捜索していた最中に洞窟下部へと落ち、迷い込んでしまう。
なかなか戻らない兄妹を心配したイオアネとハナは2人を捜索し発見するが2人と同じように下部へと落ち、迷い込んでしまう。4人でモンクスの手記を頼りに脱出と宝のため冒険を進める。その中で、ハナはイオアネに年長者の在り方を伝え、ハナは高所という自分の苦手を克服し、ピリとイオアネは絆を深めていく。幾多の困難の末に宝を見つけるが、洞窟はカプと呼ばれる者の神聖な墓で、宝は墓の主に対する供え物だったのだ。イオアネがそれを持ち去ろうとしてしまったことで戦士の霊"ラプ”が目覚め、4人を襲おうとする。イオアネとピリを心配した母親は4人と合流するが、夜になると出てくるナイト・マーチャーに遭遇し小屋に逃げる。見ると消されると言われているものの、ピリとイオアネは母親につられて姿を見てしまうが、なんとその正体は死んだはずの父親だった。少しの時間ではあるが家族4人で愛を確認した後、墓へのお供え物の返却が済んで父親の霊は他の戦士の霊と共に海へと帰っていった。
その後、キモはナイト・マーチャーはオハナには攻撃しないことをピリに伝える。家族はキモがニューヨークに来るか、ピリやイオアネがハワイに住むかという苦渋の選択を強いられるが、皆ハワイに住むことに決まり家族やキャスパー、ハナらと楽しく生活する様子を映されエンディングとなる。



3,感想

ディズニーオタクである私はオハナと言われれば「リロ&スティッチ」のような家族劇を想像していたが、というよりかは作中でインディネタが出たことからか、全体的にピリ、キャスパー、イオアネ、ハナの4人組が中心となった冒険劇となっていた。


正直、キモがピリに語ったアロハの精神が作中を通して活かされていたかどうか考えるとはっきり「あのシーンは必要だった」とは言い切れなかった。キモはピリに「アロハとは自分を癒やし他人を救うこと」と語ったが、ハワイに眠る宝を探す冒険の中での助け合いは危機的状況の中で本能的に行動した結果とも捉えられるので、ここで明確にアロハの精神が活きたかはっきりしないというのが私の感覚だ。無意識(本能)ではなくアロハの精神を自覚した(理性)上での行動または行動の後にアロハの精神に気づく展開があればキモの発言の必要性が明確となっただろう。構図的にも、中盤以降はピリ&イオアネと母親レイラニ&祖父キモで別れており、ばらばらが一つになるという展開はそれぞれのペア間でしか見られなかった。だが結果論で言えば、ピリの中にアロハの精神があるにせよそうでなかったにせよ、無意識ながらピリはアロハを体現し、レイラニはキモとアロハの精神で仲直りした。結果論で語ればキモのアロハの精神語りは皆が証明したという後の展開を考えればあっても悪くないとも思った。


冒険という主なテーマ自体は非常に効果的だったように思う。アロハの精神についての語り、その必然性を曖昧にしたものの、(生命の)危機的な状況の中、キャスパー&ハナという他の仲の良い兄弟と行動を共にしたことで、ピリとイオアネの関係改善に筋が通っていた。また、ピリとイオアネは父を亡くしているという設定も家族愛の大切さに気づく過程では活きていたように思う。


冒頭のシーンとそれ以外での世界の差異もまた魅力だ。世界的に見れば、人口は増加傾向にあり、環境問題や効率化などの観点からコンパクトシティ化と郊外での開発どちらが良いか議論され、人々は都市で住むのが良いか郊外で住むのが良いかということについて考えている。それを示すかのように、冒頭ニューヨークでのシーンが盛り込まれ、それ以後はずっとハワイのシーンとなっている。ハワイではスマホはなかなか電波が入らない等の理由でピリやイオアネらは冒険の最中あまり活用せず、木の根といった自然やモンクスの手帳などの過去の遺物などを活用している。だが、ピリはお宝探しの冒険を中心に、ハワイの自然や体験を大いに楽しんでいた。技術革新やコロナ渦でオンラインや各拠点が集まる都市に現代人の視線が向けられる中、こういった作品はなじみが無くなった(とはいってもハワイは人気の観光地ではあるが)世界を見せ、現代人の価値観(主に衣食住)に影響を与えるいい刺激になるのではないだろうか。


ストーリーよりもハワイの自然に大いに魅せられた作品であった。


画像元:Netflix公式


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