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「プレーンズ2/ファイアー&レスキュー」感想

2014年の映画

監督:ボブス・ガナウェイ

時間:1時間24分


1,あらすじ

世界一周レースのチャンピオンとなったダスティ・クロップホッパーは、その後のレースでも大活躍。彼の出身地である小さな飛行場プロップウォッシュ・ジャンクションも一躍有名になる。
ある日ダスティはいつものようにレースの練習をしていたところ、エンジンに異常きたす。これまでの無理がたたり、ギアボックスが破損してしまったのだ。しかもダスティのギアボックスは製造中止でもう手に入らない代物だったため、レース機としてはもう飛ぶことが出来ない状態に。その夜、無理に飛行したダスティは誤って火事を起こす。みんなの協力でなんとか火は消し止められたが、その際に行政から町の消防対策の不備を指摘され、飛行場は使用を禁止されてしまう。責任を感じたダスティは飛行場再開のために消防士として訓練を受けることにするのだが…。

引用:ファンタスティック映画主婦


2,感想(ネタバレ全開注意)

個人的にあらすじを読んだ段階で、「カーズ/クロスロード」のような作風になることを予想していたが、というよりかはゴリゴリに消防士を全面に出した作品だった。


ピストンパークが魅せた間欠泉や大地、滝といった大自然はどこかルート66やラジエータースプリングスを想起させるものがあった。


カーズからの車両世界は相変わらず、輸送機とヘリコプターかっこいいね。

かっこよさだけで考えれば、車より飛行機の方が上かもしれない。



主人公ダスティの成長物語やその結末としては、少しモヤモヤが残ってしまった。


入りは、その後公開される「カーズ/クロスロード」と非常に似ている。主人公が結果を出し続けるが、あるきっかけで次のレース、そして今後のキャリアが怪しくなる。


だが、こちらはレースから離れ、主人公ダスティが事故を起こしてしまった申し訳なさから、飛行場を救うため、消防士というヒーローになることを目指す。


その訓練で、ギアボックスの故障から本気を出せないダスティ。


ここから、ダスティ自身の成長や深掘りに繋げられるような気もしたが、そうはならなかった。



大規模な山火事が発生したとき、ダスティは「カーズ2」のメーターのようになり、命令無視やでしゃばり、出せない本気など、悪いことのオンパレードでもどかしさを感じた。



その後、ダスティはブレードから挫折に対しての心構えを語り、ギアボックスがもう手に入らないことを知らされても、そこから立ち直り、自己犠牲の精神で消火活動にいそしみ、成長したかと思われたが、ギアボックスが直ってしまい、レーサーに復帰できてしまい、自己犠牲というダスティが第二のキャリア「消防士」というヒーローのインパクトが薄くなってしまった。


ピクサーではなくディズニーなので、夢と希望を与えなければいけなかったのだろう。それが故の欠点が出てしまった。


ブレードに関しては前作のスキッパー同様につらい過去を持っているキャラクターだが、嘘をついて英雄を気取っていたスキッパーとは違い、その後過去から学び、第二のキャリアを歩んでいる消防士で、掘れば味が出そうなキャラクターであった。


だが、過去については第三「車」からあっさり語られてしまい、ブレードからの励ましの言葉は簡単なもので終わってしまった。

強烈なバックグランドをもったキャラだけに、これだけで終わってしまうのは寂しい。


前作「プレーンズ」では、農薬散布機であるダスティが世界中の名だたる飛行機を倒し、世界中の飛行機に夢と希望を与えた。

それだけではなく、本来競争相手である他の飛行機に対して優しさも見せ、「カーズ」におけるマックイーンとは対称的に、終始性格の良さを見せ、思いやりというレーサーには似合わないようにも見えるものを示して見せた。


相方のような存在であるスキッパーは偽りの英雄から真の英雄になるという進化を見せてくれた。


「カーズ」、あるいは「カーズ2」のやり直しとして確かな存在感を見せた前作だったが、本作は物語面で少し不足があったように思う。


やり直しの意味を込めてのピクサー作品「カーズ/クロスロード」なのだろう。



だが、消防士について万人ウケするようにつくられつつも忠実に再現されていた点は見事であろう。消防士に送る作品として、きちんとリスペクトを感じた。


チームへの適切な指示、飛行機からの消火活動、防火堤の確保、避難誘導や消火隊自信の安全確保、最適ルートの飛行等々、子どもが消防士に夢を見られるように、そして消防士への感謝をこめて、細部まで丁寧に描写されていた。


本作は消防士という職業に迫ったドキュメンタリー映画であろう。

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