見出し画像

NCT#04|'Story of Favorite' - NCT 127

2021年10月25日にリリースされた『NCT 127 The 3rd Album Repackage 'Favorite'』のプロモーションコンテンツとして、10月20日から22日までの3日間、公式Instagramアカウントを通じて短編小説コンテンツ「Story Of Favorite」が連載された。タイトル曲「Favorite」の歌詞をモチーフとした短編小説で、メンバー9人が主人公である1人のヴァンパイアを演じている。小説に加え、主人公に変身した彼らのイメージと映像クリップが公開され、楽曲の世界観を体感できる新感覚のコンテンツだ。
「熱病のような恋」「ヴァンパイアの愛」をテーマにしたセンチメンタルな短編小説をNCT 127色で描くとどのようになるのか。表現力が高い彼らの多彩な表情や機微な感情表現が味わえる。

※以下の翻訳は個人の解釈による意訳を含みます。
※画像はすべて公式から拝借しています。

'Story of Favorite'

#1
僕の時間は永遠だ。
もしかすると 流れない という言葉が
もっと合っているのかもしれない。

だから 僕は始まりと終わりがあることが好きだ。
#2
何かが始まって終わる時、
僕は刹那の時間が過ぎ去るのを感じる。
#3
夜が過ぎ日が昇れば 僕は目を閉じる。
そして 夢を見る。

夢では 明日が出てくる。
大きな意味はない。
どうせ 僕の毎日は同じように繰り返されるんだ。
#4
この物語は 特別なことがなかった僕の明日に
突然 君が現れたことから始まったんだ。
#5
僕の長い人生で
一番特別な刹那になる君が。
#6
君は誰なのか。心臓が速く脈打つ。
#7
夢かのように 外は雨がたくさん降った。
空気も 襟も 足取りも
雨に濡れて重たくなったけど

僕は歩いた。
君に会うために。
#8
僕は扉を開けて踏み入った。
夢の中でそうだったように
君は薔薇をいっぱいに抱えていた。
#9
“こんにちは”
嬉しい気持ちで僕が先に挨拶をして、
“いらっしゃいませ”
と言いながら君は微笑んだ。
#10
その瞬間 分かった。
僕は 絶対に愛してはいけない君を
結局 愛してしまうことになるのを。
#11
“薔薇がお好きみたいですね”
君が尋ねた。

“はい”
私も好きです、薔薇。
僕は夢に出てきた君の返事を待った。
“私も好きです、薔薇”
#12
“気をつけてください。棘がありますから。”
“はい、ありがとうございます” 君は微笑んだ。

また来てください。君の言葉に
また来ます。僕が答えた。
僕が夢で見たことは ここまでだった。
僕はしばらく扉の前を行ったり来たりして、
もう一度振り返って 君へと向かった。
#13
そして 勇気を出して 薔薇を一輪手渡した。
#14
“夕方会えますか?
いつの日でも夕方に。会いましょう、僕たち。”
#15
他の人の記憶に残らないために
僕の姿はたびたび変わる。

僕たちが初めて出会った後 僕の姿は変わったけど
君は花屋で出会った僕を
今の姿で記憶していることだろう。
#16
申し訳ないけど 僕は君に
僕が記憶されるよう そのままにしておいた。
どうしようもなかったんだ。
#17
他の人は知らなくても
君だけは僕に気づいてくれることを願った。
幸いにも 君が僕のことに先に気づいて近寄ってきた。
#18
夢で僕はコメディ映画を予約した。
“おもしろかったです”
映画が終わって映画館を出ながら
君が言った。
嘘。映画を観ている間
君の顔だけ見ていたから
僕は君の本心が分からないわけがなかった。
#19
“次はどんな映画を観たいですか?”
僕の質問に
君は映画館の隅にあるポスターを指差した。

“あ…”
困惑する僕のため息と共に僕は
夢から覚めた。
#20
夕方になり 映画館に向かった。

僕は今日 君が着てくる
白いワンピースに似合う
黄色い薔薇を準備した。
#21
僕たちは君が指した映画を一緒に見た。
“ヴァンパイアが主人公みたい。おもしろそうでしょ?”
君の言葉に僕はぎこちなく笑った。
#22
僕にとって この映画がおもしろいはずがないけど
どうせ 君の横に並んで座ることに
すごくときめいて
僕は映画に集中できなかった。
#23
君に出会って僕は明日を待つようになった。
夢の中で共にする瞬間を見ることに
いつも ときめいた。
#24
僕は 今まで一人でしていたことを
今は 君と一緒にしている。

僕たちは一緒に本を読んで
歌を聞き
笑いながら
時間を過ごしている。
#25
ゲームで不満をぶつぶつ言っていた
君の夢の中の姿が浮かぶ

僕は わざと ミスをした。

僕に勝って
君は子どもみたいに笑った。
#26
“私たち 思ったよりも好みがよく合うみたい”
君が言った。

僕は正直に話した。
僕は夢の中で未来を見れるんだと。
だから 君が好きなことを すべて見てきたと。
大きな決心をして告白したけど 君は信じなかった。
#27
“他にどんなことが好き?”
僕は君に尋ねた。
君は旅行も好きだと言った。

特に海の色を見るのが好きなんだと。
海は たしかに一つなのに どこで見るかによって
違う色に見えるのが不思議だと。
#28
君に出会ってから
僕も海が好きになった。
僕が見ることができる海は
黒い夜の海だけだとしても

僕は 君が好きなものは すべて好きだ。
#29
“次は 私たちエメラルドの海を見に行こうね。”
“そうだね。今度ね。”

僕が言った。
#30
時間が近づくのを感じた。

もう僕についての話を
君にしなければいけないみたいだ。
日が暮れてから君を訪ねて行く理由について、
君が愛する海の色を
一緒に見ることができない理由について。
#31
こんなに大切になってしまった君に。
どうやって話すべきか。

こんな僕について。
#32
静寂が流れた。
僕は僕の正体について告白して
君はしばらくの間何も言わなかった。

夢では結局 最後まで話せなかったから
僕は今がどんな反応をするか
全く分からなかった。
#33
幸いにも 悲鳴を上げたり、
気絶したり、
聞くやいなや 怒って出て行ってしまう
僕の想像の中の 無数のシミュレーションは

すべて外れた。
#34
“望むなら 記憶をすべて消すこともできる”
僕が慎重に 先に言葉を切り出した。
#35
君は少し悩んで 食卓を見下ろした。
“この食事は何?”
君が尋ねた。

“料理できないじゃない”
悲しくも君は 僕の多くを分かっていた。
#36
“だから 美味しくないかもしれない”
僕が作った下手な料理を 君は一口食べた。
“これはだめみたいね” 君が答えた。
“この美味しくないオムライスを
記憶から消すのは
やっぱり 後悔しそう”
#37
君は何も言わずに 僕が不慣れな中 準備した食事を
美味しそうに食べた。

僕も何も言わずに食事をした。
#38
口いっぱいに食事を詰め込むお互いを見て
僕たちは笑いがはじけた。
#39
何事もなかったかのように僕を受け入れてくれた君が
僕は怖くもあり ありがたかった。
#40
お互いが大切になるほど
時間は早送りボタンを押しているみたいに
どんどん早く流れた。

夢の中の君の表情が
最近になって だんだん暗くなるのは
たぶん そのせいだろう。
#41
“私が去った後は?
あなたは一人残されるじゃない”

“さあ。それはすごく遠い先の話だから
考えても見なかったけど”

僕は君を安心させようと微笑んだ。
#42
“もうすぐ梅雨だね。僕たち海を見に行こうか”

夢の中で聞いた君の言葉が出ないように
僕は話を逸らした。
#43
“本当?”
君は子どもみたいに喜んだ。

空が一日中曇っている梅雨には
僕はほんの少しの間だけど昼間にも
外に出ることができる。
#44
今年の梅雨、
僕たちは一緒に海を見に行くことにした。
#45
“そんなに嬉しい?
どうせ雨が降って 空も海もどんよりするのに”
ものすごく期待している君が心配になって
僕が言った。

#46
“黒くない海を
あなたに必ず見せてあげたいの”

君は想像しただけでも嬉しいのか口角が上がった。
僕もつられて口角が上がった。
#47
海を愛する君は
魚に似ていると僕は思った。

広い世界を自由に泳いでいる
僕が捕まえられない、側に置くことができない。
#48
だから 君が僕と同じ人生を生きるという言葉を
僕は聞く自信がなかった。

君が この退屈で終わりのない時間の中で
中途半端な人生を生きられるのか。
#49
僕は それを望んでいなかった。
僕は君が今みたいに 星と共に眠り、
良い夢を見て、海を愛することを望んだ。
#50
君を送った帰り道で
君はいないのに 車の中はまだ君でいっぱいだった。
君の物、君の香りが残って
僕は君がすぐに恋しくなった。

本当にどうしたらいいのだろうか。
君が去ったら僕はそのあと、僕は。
#51
僕たちが海を見に行こうとした日に
雨が降らないという事実を
僕は夢を通じて先に知ることになった。
#52
数えきれないほど繰り返した
“ごめん”という言葉を伝えようとしたのに、
君は電話に出なかった。
#53
僕は渡すことができない贈り物ばかりいじった。
#54
“ごめんね”

ようやく出た電話越しの
君の声がとても辛くて

僕は夢から覚めた。
#55
僕は君の元へ駆けつけた。
“君が一番好きだ。だから…
本当に申し訳ないけど…僕の側にいて。”
#56
去ったりせずに 永遠に僕の胸で咲いて。
僕は君の首にペンダントをかけた。
#57
“いつも、永遠にあなたの側にいる”
僕の告白に 君は僕の胸に抱かれて泣いた。
#58
僕たちはこの不幸の中で 永遠に一緒にいよう。
#59
“愛してる”
僕は君がもしかして消えたりしないように
さらにぎゅっと抱きしめた。
#60
もう 僕たちの時間は共に流れる。
こうして すべてのことが大丈夫になったと思った。
#61
それなのになぜ 僕はずっと不安な気持ちになるんだろう。
僕の夢にもう君が出てこない。
#62
だけど、僕が君を探しに来た。
夢の中では見ることができないシーンだった。
#63
君は青い薔薇を差し出した。

“ゲームする?歌を聞く?”
君は何もないかのように笑った。
#64
“私たち明日は何をする?”
そして 君が尋ねた。

その言葉に 僕はたじろいだ。
#65
“あのさ。君は夢を見る?”
僕が尋ねた。

“ううん”
君は大したことないかのように答えた。
#66
“変なんだ”
“何が?”
“君は必ず消えてしまう気がする”
“私たち もう永遠に一緒だよ
私があなたを置いて消えるわけがないじゃない”

君は笑いながら言った。
#67
“そうだね”
こうして 僕の側には君がいた。
僕は青い薔薇を
よく見える場所に置いた。
#68
それでも 悪夢は続いていった。
夢の中で 君は結局 僕の元を去って

僕は夢の中のことと分かりながらも
苦しくて目を覚ました。
#69
目を覚ました時
君が贈ってくれた薔薇が見えなかった。
不安な気持ちで 僕は君の元へ走っていった。
#70
“どうしたの?”
君は僕を見て驚いて尋ねた。

君に会えたらほっとした。
#71
だけど すべてのことが 変わっていた。
#72
君に贈った薔薇も、
一緒に見た映画もすべて。
変わっていたんだ。
#73
じっと 君のペンダントを見つめた。
“たしかに 変わってたのに…”
僕は変わってしまったペンダントを撫でた。
そして 君を見た。
#74
“あ…”
僕は今になって気づいた。
君は信じたくないほどに
とても鮮明だった。
#75
“大丈夫”
君が微笑んだ。
“君に残された時間が
こんなに短いと分かっていたら
絶対に 見送っていなかった”
“分かってる”
#76
“不幸の中だとしても
僕の側に永遠に置いておいたのに”

“あの時も今も幸せだった”
#77
涙を堪え 僕は目をぎゅっと閉じた。

このすべてが夢だということを、
二度と戻れないということを知った。
#78
“お願い 行かないで”
#79
目を開けた。
側に君はいなかった。

#80
君が去って 僕はずっと夢を見続ける。

夢の中では
僕たちの幸せだった時間に戻る。
そこでは 僕は自分の姿を変えてみたり

時々 違う選択をしてみたりする。
#81
もしかしたら 君をもっと笑わせることができたんじゃないか。
もう少しでも泣かせないようにできたんじゃないか、
永遠に君を僕の側に置いておくことができたんじゃないか。

努力をしても 結局
変わることはなかった。
#82
君が去って 僕たちは止まった。
だけど 僕はずっと流れる。

それが僕を狂わせる。
#83
僕は破片になってしまった
僕たちの残酷な運命の中へと
絶えず 戻ってはまた戻って行く。
#84
それが何度目だとしても
変わることはないだろう。
すべてを好きになってしまった君を。
僕は愛してまた愛することしか。
#85
“愛してる”

再び目を瞑る。
#86
もう 見ることができない僕の海。
届かない僕の君に会いに行くために。

Behind

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?