古参マウントというホラーな人たち

今日、年下の女の子に古参マウントという言葉を教わった。

おそらく、ぼくが初めて知っただけで、ほとんどの人は知っているだろう。

アイドル好きの彼女の説明はこうだった。

特定のアイドルのファンを何年もやって、たくさんのお金と時間を使い、自分たちはこれだけお金と時間も使っているんだから、わがままは許されると、気に入らない新しいファンにいやがらせをしたりする。

そんなファンは追い出せと思うかもしれないが、そうはいかない。だって、古参マウントがたくさんのお金と時間を使ってるおかげで、そのアイドルは成り立っているから。

ぼくはこの話を聞いて、すぐに近所の銭湯を連想した。

ぼくはもっと銭湯に行きたい。でも、昔からのお客さんがくそいばって、嫌な思いを何度もしたので、だんだん足が遠のいているのだ。

いつだったか、脱衣所に「おしりにトイレットペーパーをつけて入浴しないでください」と書かれていた。

いつものメンバー(古参軍団)がそれを読み、ギャーギャーがさわぎ、いかにも今日初めてこの銭湯に来ましたふうの二十歳ぐらいの子に「あんたがやったの?」といきなりきいていた。その女の子はびっくりしていた。

次にぼくに来るなと身構えていたら、本当に「あなたがやったの?」ときいてきた。答えないで無視していたら、無視されたことが頭に来たみたいで、ギャーギャーさわいでいた。

定期的に銭湯に行くぼくでさえ、当分行かないと決めたから、あの二十歳ぐらいの女の子は二度と行かないだろう。

この古参軍団の不気味な行為は書くとキリがないからやめておく。

銭湯側に苦情は来ていると思う。でも、この人たちが何十年も毎日通っているからこの銭湯はつぶれずにすんだ。だから見逃すしかないし、このいじわるな人たちが結局は、この銭湯を支えている。貢献している。大したものだ。

アイドルだって、ファンが一万人いれば多少は強気に出られるかもしれない。しかし、千人だったら、地下アイドルとかで百人だったらどうだろう。どんなに不気味な人たちだろうと、古参マウントがいないとやっていけない。依存するしかない。

古参マウントという人たちもホラーだが、古参マウントがいないと経営が成り立たない側も、また、ホラーだ。

ぼくはホラー小説は好きだが、リアルなホラーが漂う場所は好きじゃない。

近所の銭湯より、遠いスーパー銭湯か温泉に行くしかない。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?