DTMの機材・ソフトを売ってるお店【DTM】
アノニマスDTM編集部でございます。
「音楽の知識はないけど、DTMを始めたい」
「配信をやってみたい」
レコーディングや配信の出来る機材はどこで買えばいいでしょうか。ハードルの低さで言えば家電量販店やリサイクルショップですが、スタッフの知識量と商品の多さで選ぶなら・・・
↑のような音楽制作機材を扱う専門店や楽器屋に行くことをおすすめします。
筆者はDTM製品を扱うお店に勤めていたことがあり、初心者からプロまで色んなお客さんの悩み相談を受けてきました。
本記事ではDTMerの皆さんに、お店に通う時の心得や、商品の賢い買い方についてお話したいと思います。
自身の環境を把握した上でお店に行く
0の状態でお店に来られるとスタッフは困ります。「なんとなく」、「趣味にしたい」、動機はこれでも十分ですが...
DTMを始めるのに必要なもの(予備知識)
DTMでやりたいこと(目的)
DTMで使う端末のスペックや、持っている機材(環境)
↑は最低限把握しておきましょう。
[予備知識]
予備知識をつけておけば、お店で説明を受けてもなんとなく理解出来るものです。機材とパソコンがどのように繋がっているのか、お店でチェックしてみるの良いです。きちんとしたお店なら、実際にパソコンや機材を使いながら説明してくれるスタッフもいます。
[目的]
「DTMをやりたい」という理由にもあらゆるパターンが考えられるので、スタッフはそのパターンを常に頭の中で考え、あなたにベストな選択肢を与えます。「DTMで〜をやりたい」という明確な目的があれば、それに合う商品をスタッフは提案してくれます。
[環境]
オーディオインターフェースやソフト音源は、メーカーで動作検証していないOS・バージョンがあります。PCのスペックが分からない状態でオーディオインターフェースを買ったら使えない可能性があるわけです。最近新品のMacを買ったのであれば、OSのバージョンは最新になっています。ドライバーが必要なオーディオインターフェースは、リリースしたばかりのバージョンに対応していない可能性が高いので、要注意です。
セール時期を把握しておく
ソフト音源やプラグインは定期的にセールが行われます。買うならその時が狙い目です。
Native Instruments、UVI、IK MULTIMEDIA、WAVES、iZotope、これらのメーカーは頻繁にセールを行い、尚且つ人気があります。
WAVESに関しては常にセール価格で売られてるイメージが強い人も多いと思いますが、時々「マジか!」と目を疑うような値下げをします。
筆者が現役の時、Native Instrumentsは毎年夏頃にKOMPLETEのアップデート版とアップグレード版の半額セールを行っていました。
セール期間が終わっても、お店で在庫が残っていればセール品は継続販売されるケースが多いです。通常よりも仕入れ値が安いので、わざわざ通常売価や定価に戻す必要がないからです。
KOMPLETEに限らず、セール品は基本的に期間終了後でも同じ価格で売られていることが多いので、買い逃しをしても諦めず、よくチェックしてみてください。
店舗ごとのスタッフの特徴
(筆者の独断と偏見)
家電量販店
当時、いくつかの家電量販店に出向いて、「音楽配信に必要な機材を買いたいです」と相談をしたことがあります。家電量販店のスタッフがどれほどの対応力を持っているのか、知るためです。(←冷静に考えたらうざい客ですね)
いずれも共通していたのは、筆者の環境について誰一人聞いてこなかったこと、また配信にも楽曲をアップロードするだけの人、リアルタイム配信で音楽を流したい人、ポッドキャストなど、形態は様々あるにも関わらず、特に気にされる様子もありませんでした。
「Androidでも使えますか?」と聞いた時は、「恐らく大丈夫です」と返してきたスタッフもいました。
詳しいスタッフもいるとは思いますが、期待値は低いので、出向く場合は事前に製品を決め打ちしておくのが良いです。
店舗によってはきちんとDTM専用ブースを設けているところもあります。
楽器店
若いスタッフは仕事の傍ら、多くが音楽活動に励んでいます。年配のスタッフも若い頃は音楽活動をしていた経歴の人が過半数を占め、自宅でDTMを嗜んでいる人もいます。
楽器店も総合店、専門店、複合店など、運営形態が様々あり、雰囲気やスタッフの人柄もお店によって異なります。
目的がはっきりしている人は、1カテゴリーに特化している専門店の方が高い満足度を得られます。多くの専門店では、試奏用のエレキギターやシンセサイザーが用意してあり、気になったオーディオインターフェースやアウトボードでサウンドチェックができます。(店内の混み具合によっては難しい場合もあります)
総合店はDTM関連の商品数が少ないです。実機やソフトを試せる設備も整っていないところが多く、充実しているのは一握りの店舗です。
複合店は俗に言う平場です。特に楽器店は各売り場の境界線が分かりづらく、何がどこにあるのか一目で分かりません。総合店よりは商品数も多く、マニアックな機材も置いてありますが、試せる実機が少ないです。
音楽好きの多い楽器店はスタッフが機材に対して貪欲なので、商品知識に長けていますが、高度な相談ごと(業務用機器関連、ミドルウェア、コーディング等)に対応できるスタッフは限られる場合もあります。
専門店
楽器店のそれとは異なり、業務用機器を多く取り扱っているプロ向けのショップです。レコーディングブースなど、設備も充実しています。
スタッフには自身のブランドを持っている人やエンジニア経験者もいます。全員が全員プロフェッショナルというわけではなく、楽器店のスタッフとさほど変わらないレベルの人もいます。
プロ向けのショップというだけあり、初心者には少し入りづらい雰囲気があるのと、スタッフもバリバリ接客をするスタイルではないので、話しかけづらいかもしれません。でも、相談をすると真摯に対応してくれます。来店に予約が必要の店舗もあります。
全店で共通していること
ソフト音源やプラグインを試せる店舗でありがちなのが、ライセンスの期限が切れて使えなかったり、パソコンがメンテナンス中で触れないことです。
アウトボードの実機を多く試せる店舗では、大体ネットワーク系のオーディオインターフェースでシステムを組んでいるので、音が急に出なくなる不具合が起こり得ます。
開店前に各機材のチェックは行うものの、デジタルに予期せぬ事態は付き物なので、それに遭遇してしまった人は「こういうこともあるんだな〜」と広い心で見守ってあげてください。
お店のスタッフと仲良くなろう
筆者が働いていた店舗では、仲良くなった常連客には値引きをするのが当たり前でした。また、値引きにも知人・友人値引き、お得意様値引きなど、何パターンかあり、後者に関しては仕入れ値ギリギリを攻めるので、毎回乏しい粗利でした。
スタッフそれぞれに担当のお客さんがいたので「あのお客さんは○○と仲が良い人だ」と違うスタッフが気づけば間接的に値引きをされる場合もあります。
筆者の視点から見て、「このお客さんには値引きをしてあげたい」と思うお客さんは、やはり謙虚な人です。勧めた機材を抵抗なく選んでくれたり、価値観が合うとサービス精神を出したくなります。
スタッフも人間なので、例えよく来るお客さんだとしても「面倒くさいことばかり聞いてくる」、「図々しい」と感じたらサービス精神も出なくなります。
やたら自分のことを話してきたり、名前を聞いてくるお客さんは、値引き狙いの意図が丸見えだと煙たがられますのでご注意ください。
謙虚な姿勢でコツコツ通い、話の合うスタッフが見つかったら、あとは仲良くなるだけです。スタッフが名刺を出してきたら、それは「優遇します」の合図なので、以降の買い物は値引きが期待できます。
ソフト製品の流通事情
Plugin Boutiqueはソフト音源やプラグインを安く買える海外の通販サイトです。ご存知の人も多いかもしれません。
国内には海外のメーカーから製品を仕入れて、それを取り扱い店舗に卸す代理店がいます。例えばiZotopeならメディアインテグレーション、IK Multimediaはフックアップが代理店です。
ヤマハやローランドのような上場メーカーは、自社ブランドを持っているので、代理店を通す必要がありません。
Plugin Boutiqueを始めとした、音源やプラグインを安く販売している海外サイトは、詳しい流通経路は知りませんが、国内代理店で取り扱うブランドの製品も販売しています。
もし、あなたが海外サイトで何かしらのプラグインを買ったとして、そのプラグインが国内代理店の取り扱うブランドだったら、誰が一番損をするでしょうか。はい、そうです、国内代理店です。当時はよく代理店の営業さんから苦悩を聞かされていましたw
そのため、出来る限りソフトはメーカーや代理店の直販、もしくは正規販売店で購入してあげてください。
無在庫流通システム「D2R」
ソフト製品はオンラインで納品が可能です。筆者の経験上、受注を受けてからメーカーにシリアルナンバーの発行を依頼する代理店が多かったですが、セールやキャンペーンの時期は事前にシリアルナンバーのストックを保有するところが多かったです。
小売店の場合、店頭でお客さんに「このプラグイン買いたいです」と言われることもありますので、その都度メーカーに発注するのは非常に手間ですし、売り逃しに繋がりかねません。
そんな時に役立っていたのが、無在庫流通システム「D2R」です。クリプトンは初音ミクや巡音ルカなどのボイスバンクを生成・流通しているメーカーです。ダウンロードサイト「SONICWIRE」の運営元でもあります。
D2Rがあることによって、お客さんのすぐ欲しいを叶えられます。ただし、即発行出来るのはクリプトン、メディアインテグレーション、best serviceの管轄するブランドに限られます。(現在の取り扱いブランドは知りません)
今は楽器店でもD2Rを導入してるお店がほとんどです。
即発行出来るのは魅力的ですが、通常版、アップデート版、アップグレード版など、1シリーズでも多岐にわたるプラグインも多いことから、お店でも発行できるのは社員クラスに限られてました。
現行品の多くはダウンロード版
ソフト製品はオンラインでシリアルナンバーが納品されるのが今は一般的です。数年前までは、パッケージ販売のソフト製品もまだ多くあり、各メーカーが徐々にダウンロード版に移行し始めると、同じ製品でもパッケージ版とダウンロード版が選べる事態が起きました。
それぞれ価格が異なりますので、通販でもよく問い合わせを受けていました。「パッケージ版とダウンロード版の違いはなんですか?」、ごもっともな質問です。
実際のところ、内容に違いはありません。一部製品はマニュアルのPDFを入れたUSBメモリーが付属したり、店頭の陳列用にシリアルナンバーを入れた封筒を用意したりと、様々な事情があります。
また、ハードディスクやUSBメモリーにライブラリデータを入れて、いまだにパッケージ販売している老舗メーカーもいます。
機材は試してみないと良さが分からない
店舗に行くことの最大のメリットは、やはり試せることです。通販でレビューが良くても、記事でおすすめと書かれていても、好みの音質、使い心地の良さは人によって感じ方がそれぞれです。
気になる服や靴は試着したいと思う感覚と同じです。
音の最終出口であるモニタースピーカーは、本体の性能だけで全てが決まるわけではなく、経由するオーディオインターフェースやアウトボードによって音のニュアンスも変わります。
姿形がない音に対してベストアンサーを出すのは非常に難しいです。そのため、DTMに手を出すと一定数の人は沼ります。でも、楽しいからOK。
高額な機材やソフトほどスペックが優秀なのは否定しませんし、むしろその通りなのですが、無理してお金を注ぎ込むのは悪手です。今自分に必要なものを見極め、きちんと予算内で済ませましょう。
お店に行く時も、まずはきちんとスタッフに予算を伝えて、自分の叶えたいことを正確に伝えましょう。
それでは、みなさん、良いDTMライフを。
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