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Kate Bush 『The Kick Inside』

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🎧 Kate Bush 『The Kick Inside』

ダンサー、パフォーマンスアーティスト、パントマイムアーティスト、シンガーソングライター、プロデューサー、マルチな才能を持つ唄って踊れる魔女、美人で妖艶なイギリス人アーティスト、天才Kate Bush。大大大ファンです。これは1978年にリリースされたデビューアルバム。
上が日本版ジャケット(私の持っているレコードもこれ)、下がオリジナルジャケット(ディズニーのピノキオからヒントを得ているデザインらしいですけどどこが?)。まずはこの曲、日本中のほとんどの方が「恋のから騒ぎ」のテーマ曲としてよくご存知でしょう(個人的にはあの番組にKate Bushの曲を使われるのは嫌悪感しかなかったです)。ビデオを2パターン作るあたりが当時では絶対ないことだと思いますが彼女のこだわりなんでしょう。

出会い

1982年にリリースされた4thアルバム『The Dreaming』のタイトル曲「The Dreaming」をNHK-FMの「サウンドストリート」で聴いた。不気味なドラムサウンド、ファルセットからデス声まで変幻自在のヴォーカル、おとぎ話の語り手のような唄い方、謎な歌詞、絶対無二の存在感、こんな女性アーティストがいるんだと驚いた。田舎には売っていなかったので数年後に5thアルバム『Hounds Of Love』を買い、その後ファーストから遡ってアルバムを買った。

類は友を呼ぶ

11歳で曲作りを始め、13歳で音楽関係の仕事をしていた兄達の協力でデモテープをレコーディング、レコード会社に送るも全く相手にされなかった。しかし、兄の友達のミュージシャンがその友達のPink FloydのDave Gilmourに彼女のデモテープを聞かせた所、すぐに興味を示し彼女に会うためにBush家を訪問した。彼女に会ってその曲作りの才能に驚いたDave Gilmourは費用を出してより品質の良いデモテープを作り、レコード会社の役員に聴かせ即契約となった。当時彼女は17歳で、当時Dave Gilmourは『Dark Side Of Moon』で既に世界的な大スター、次回作の『Wish You Were Here』をレコーディング中だった。デビューアルバムはその3年後20歳の時にリリースされたが、Dave Gilmourが最初にデモテープで聴いた曲がこのアルバムにも収録されている。「The Saxophone Song」と彼女が13歳でレコーディングしたこの曲です。

I hear him
before I go to sleep
And focus on the day that's been
I realize he's there when I turn the light off
And turn over

Nobody knows about my man
They think he's lost on some horizon

And suddenly I find myself
Listening to a man I've never known before
Telling me about the sea
All his loves, 'till eternity

Ooh he's here again
The man with the child in his eyes
Ooh he's here again
The man with the child in his eyes

He's very understanding
And he's so aware of all my situations
And when I stay up late
He's always waiting

But I feel him hesitate
Oh I'm so worried about my love
They say "No, no, it won't last forever"

And here I am again my girl
Wondering what on earth I'm doing here

Maybe he doesn't love me
I just took a trip on my love for him

Ooh he's here again
The man with the child in his eyes
Ooh he's here again
The man with the child in his eyes

眠りにつく前いつも彼の声を聞きながら
その日起きた事を考えるの
灯りを消して寝返りをうつ時も
いつも彼はそこにいるわ

私の恋人の事は誰も知らない。
地平線のどこかで姿を消したと思っているの

でも突然会ったこともない彼の声が聞こえてくるのよ
彼は海のことや永久に続く愛の話を聞かせてくれる

あぁ、また彼が来てくれたわ
少年の瞳を持った男

彼はとても思慮深げで、
私の事もすごく判ってくれるの
私が遅くまで起きている時には、
いつだって待っていてくれるの
でもなぜか彼はためらっているの

あぁ、私のこの恋はどうなってしまうのかしら。
みんな「ダメダメ、恋なんて永遠に続かない」と言うわ

「また来たよ、私の可愛い君
 僕はここで一体何してるんだろう」

彼はもう私を愛してないのかもしれない
だから私は彼のために旅に出たのよ

あぁ、また彼が来てくれたわ。
少年の瞳を持った男
あぁ、また彼が来てくれたわ。
少年の瞳を持った男

来日

1978年5月に日本デビューを果たし、6月に来日し東京音楽祭に出場している。イギリスからとんでもない距離の日本に来るのもスゴイが呼ぶ方もスゴイ。日本ではTV番組にも出演している。歌手というより芸術家、シンガーというよりアーティスト、彼女の真価はレコードではなく舞台だったのだろう。

パフォーマンスも声は圧巻だが本人は満足のいく出来ではなかったそうだ。彼女は銀賞を獲得しているが、本人は「私の出来は銀賞以下だった。もしそれ以上の賞だったら音楽祭の真価に疑問を持っていたわ」と言っている。
9月にはSEIKOのCMにも出演している。すごいなSEIKO。

このアルバム

クジラの鳴き声から彼女の高く透き通る声で1曲目の「Moving」が始まる。時には幼い子どものように、時には恋する乙女のように、時にはおとぎ話を読む母親のように、時には信仰を説くシスターのように、変幻自在な歌声はポップスやロックという枠には収まらず、音楽というより目を閉じて演劇を聴いているようである。このアルバムは「天使と小悪魔」という邦題が付いているが、確かにその摩訶不思議な歌声は天使にも小悪魔にも聞こえる。弱冠20歳でこの色気と妖艶さ、とんでもない歌唱力と表現力、溢れ出る才能とはこういう人のことを言うのだろう。

The Kick Inside

アルバムタイトル曲のこの歌はスコットランド民謡が元になっており、兄の子供を身ごもってしまった妹が、兄を家族の元に残す為に自らの命を絶つという悲しい歌です。Kick Insideとはお腹を蹴る子供の事ではないかと言われています。

また書くと思いますが、この後リリースするアルバムが一枚一枚もうサイコーなんです。てっとり早く彼女の魅力を堪能したい方は、ベストアルバム「The Whole Story」をお買い求めください。個人的には各アルバムがオススメですが。
もし生死各ひとり好きなアーティストに会わせてあげると言われたらJimi HendrixとKate Bushに会いたい。

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