北窓開く　‐kitamadohiraku‐

寒さを防ぐために閉じられたままだった北向きの窓を
穏やかな空気に誘われ、開け放つ。
久々に開いた窓は風や光を取り入れ
寒さで強張っていた体にほんのりと春の気配を届ける。
さあ、春を迎える準備が始まる。

…

「ふぁ～、すー。はぁ。」
呼吸をすると、身体の緊張が和らいでいくのが分かる。
寒かった日々も和らぎ暖かい日が多くなってきた。

「あれ？」
ふと外に目をやると、梅の花がひとつ。
あんなに寒そうにしていた木も花を咲かせた。

「そっか」
窓を閉め切っていたから気付かなかった外の景色
同じ場所なのに中と外ではまるで別世界なよう。

「ふぁ～、すー。はぁ。」
外に出なくても、窓を開けるだけで身体が緩んでいく
なにかアクションを起こさなくてもいい
窓を開け、呼吸をする
それだけでいまを生きている感覚がよみがえる。

「ありがとう。」
こころが緩んでいく気がする。
さぁ、今日も家の掃除から始めようか。
どんな一日になるかな。