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脳卒中リハにおいて高強度ステッピング運動が機能的評価に与える影響

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理学療法士をしているyukiです。
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掲載雑誌:Stroke, 2020
Impact Factor:7.190
本文文字数:5582文字
本noteの参考文献数:18本(pubmedとリンクしてます)

では目次です!

はじめに

脳卒中患者の多くはある程度自立した歩行を獲得するが、筋力や姿勢の安定性低下により日常生活に制限をきたす場合が多いとされる(1-3)。

運動機能を向上させるために、多くの臨床的な介入が行われているが、その有効性は定かでない状態と言われている。

これまでの対照的研究では歩行運動量と強度が歩行速度と歩行距離に関係することが示唆されているが(4,5)、

これらの研究は脳卒中後1ヵ月以上経過した対象者で行われており、より早い時期に介入することでより大きな改善が得られることが動物モデルの研究では示唆されている(6)。

一方で、ほとんどの研究で、脳卒中初期の対象者が低い有酸素運動強度で限られた量のステップ練習(1セッションまたは1日あたり250~500steps(7~9))による治療が行われており、有酸素運動への到達率は5%未満であることが示されている(10-12)。


臨床応用には多くの障壁があるが、入院中のリハビリテーションにおいて高強度トレーニングの安全性については近年議論されている。

具体的には、入院中の脳卒中リハビリテーションを受けている対象者は、約1500歩/日の歩数をこなし、より高い強度のトレーニング(介入の約40%)を行った結果、運動能力および非運動能力が大幅に向上し、有害事象の発生率も増加しなかった(13)。

この結果は有望であるものの、脳卒中後早期の高強度トレーニングの有効性を評価するために対照群による介入を行っていなかったことは研究限界であったと言える。

ほとんどの研究パラダイムは、エビデンスに基づく介入を臨床ケアに統合するために必要な実施戦略を扱っていないが、このような戦略はエビデンスに基づく実践を臨床の場で容易に適応させるためには不可欠である。

本研究では、入院中の脳卒中リハビリテーションにおける高強度トレーニングの効果を評価するために、過去の対照群を用いた比較効果試験を詳細に検討した。

本研究では、準実験的なデザインを用いて、入院中の亜急性期脳卒中患者に対し、治療者が通常のリハビリテーションを提供している間(すなわち、従来リハ)、標準化された測定値と日々のステップ運動を10カ月間にわたって系統的に収集した。

その後の11カ月間、入院中のリハビリテーションで高強度のトレーニングを実施し、その結果と活動量を継続的にモニターした。

本研究の目的

(1)入院中のリハビリテーションにおける従来リハで行われたステップ量とそれに伴う機能的評価を評価すること

(2)高強度ステップ運動が脳卒中後早期の機能的評価に与える影響を評価すること


仮説として、高強度ステップ運動を受けた対象者は、従来リハを受けた対象者よりも主要評価の向上が大きいという仮説を立てた。

対象と方法

対象者:脳卒中患者350名(従来リハ群150名、高強度ステッピング運動群200名)
対象者属性
1. 過去2ヶ月以内に脳卒中を発症した方
2. 歩行自立を目的としてリハを受けている成人(18歳以上)

除外基準
1. Functional Ambulation Categoryスコアが5であること
2. 入院時のBerg Balance Scale(BBS)の座位バランススコアが2以下であること
3. 同意が得られないこと
4. 歩行を制限する器具を使用していること(例:人工呼吸器)
5.コントロールされていない心肺疾患,代謝疾患,感染症,精神疾患がある方
6. 脳卒中発症前に50m以上の歩行が制限された整形外科的または追加的な神経学的損傷の既往がある方

評価
・従来リハと高強度ステップ運動の両段階で、入院中のリハビリテーションを通して、対象者の機能的評価と日々のステップ活動を収集。

毎週の評価
・10m歩行テスト(快適・最大)
・6分間歩行テスト
・BBS

入院時および退院時の副次的評価項目
・Swedish Postural Assessment Scale for Stroke-Norwegian Version
・30秒以内の座位から立位への起立回数
・Barthel Index(BI)
・Functional Ambulation Category(FAC)

さらに、追加の副次評価項目として、不安、抑うつ、疲労、睡眠などの評価が行われた。

介入方法
 治療者は、より高い有酸素運動強度でのステッピング練習を優先的に行った。
PTセッションに割り当てられた人員や時間は、通常の治療段階と同じであった(すなわち、高強度トレーニングのために追加の人員や時間資源を割り当てなかった)。
この運動の詳細については、先行研究(14-16)に記載されているが、ステップはトレッドミルと地上で行われ、安全ハーネスシステムを使用し必要に応じて体重を支えてステップを行った。
具体的な課題としては、様々な方向への歩行、障害物や凹凸のある路面での歩行、階段や段差での歩行などが含まれた。

 介入の主な特徴は、年齢で予測される最大心拍数の70%から85%で、より高い強度を達成することに重点を置いた(17)。
HRは継続的にモニターされ、Borg Rating of Perceived Exertion30(6-20スケール)を用いて、14点以上(ややきつい)を目標とし、個人差、投薬、運動制限などにより目標とするHRの達成が困難な場合に使用された。
ピーク時HRと自覚的評価、および最大HRの70%以上の時間と自覚的評価が14以上の時間を、各介入ごとに記録した。

統計解析
・データの正規性については,Shapiro-Wilk検定を用いて検定
・入院1週目と退院までの主要測定項目(10m歩行、6分間歩行テスト、BBS)の変化は、介入と時間(反復)を主要因子とした2元配置の反復測定ANOVAで評価
・両群間の入院期間(LOS)の違いを考慮して、高強度のステップ運動中の3週間の成績と従来リハの退院時成績(平均23日)を比較する反復測定ANOVAを追加。
・人口統計学的データと運動データ、退院時の主要および副次的評価,入院時からの変化(Δ)スコアとの関連は,ピアソンおよびスピアマン相関分析で評価。

結果

トレーニング活動について


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