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運動と発達1〜運動出力系〜

このnoteでは、
・人の運動がどのように起こるのか?
・運動に関わる中枢神経(脳、脊髄)の関わりについて
基礎的な機能解剖学に基づき記載していきます。

日頃から行っている運動ですが、意識的にしなければならないことも多々ありますが、人間はほとんどが自動化(無意識下)で行える、”脳の仕組み”があります。

運動に関わる脳部位

脳と脊髄を合わせて、一般的に中枢神経と言います。中枢神経の中でも、運動に関わる神経を”運動出力系”としてまとめていきます。

まず、運動に関わる脳を大きく分けると以下の3つになります。

1. 運動野
2. 運動前野
3. 補足運動野


それぞれの機能解剖学を確認していきます。

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1. 一次運動野について

一次運動野が存在する大脳皮質は、一般的に6層に分類されています。一次運動野の一番の特徴として、第5層にベッツ細胞という巨大錐体細胞が存在することです。
この、巨大錐体細胞の軸索が皮質脊髄路を下降し末梢の筋運動に関与しています。

解剖学的には、大脳皮質の中心溝のすぐ前方の中心前回に位置します。脳からの運動出力の中心的な役割を担います。

この部位に体部位局在性があり、脳の内側から下肢、腰、体幹、肩、上腕、手とその支配領域が明確に分かれています。
指や口の領域は特に大きくなっており、一次運動野からより細かい運動が指示を必要とする部位になります!

では、一次運動野からの出力になります!
非常に広範な部位との連絡があり、主に4つの出力を行っています。

1)大脳皮質の他の部分(感覚野や高次運動野へ)
2)大脳基底核
3)視床
4)中脳、橋、延髄、これらを介した小脳への連絡系


と非常に多岐にわたります!
これだけでも、一次運動野の重要性が感じられますね。

さらに、上記に加えて脊髄まで直行する出力細胞が存在し、この経路のことを”皮質脊髄路”と言います。これは、延髄下部で錐体交差することから、別名で”錐体路”と言われています。

この経路の役割は5つになります。
1)脊髄運動細胞の活動を高める
2)介在細胞の働きを抑制する
3)脊髄運動細胞を抑制する
4)脊髄反射を調節する
5)体性感覚情報を脊髄レベルで制御する


脳卒中などによって、これらのコントロールが難しくなるのは、この錐体路が大きく関与します。
つまり、錐体路の障害だけでも、このような症状が出ることを予測して、治療を検討することが大切です。

次に1次運動野への入力系ですが、主に以下の3つが関わります。

1)高次運動野からくる皮質間での入力
2)体性感覚を伝える皮質間入力
3)皮質下の中枢から上行する入力


これらの役割は、運動時に身体各部がどのように動いているかなどの情報を一次運動野に送り、運動の調整を行うフィードバック機構に働いているようです。

まとめると、一次運動野は随意運動を行うために、様々な部位との連絡を持ちながら、運動指令が行われる部位といえます!

では、この一次運動野と高次運動野(運動前野と補足運動野)はどのような関連になっているのでしょうか?

それぞれの機能性を見ていきましょう!


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