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歴史・人物伝~番外コラム:大河ドラマ「鎌倉殿の13人」平家が滅亡した壇ノ浦の合戦に思う

5月放送の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、治承・寿永の内乱(源平合戦)のクライマックスである壇ノ浦の合戦、さらに源義経追討という展開を迎えています。同時に、源頼朝が鎌倉政権を本格的にスタートさせた時期にもあたります。

壇ノ浦の合戦は、平家滅亡の悲劇的な戦いとして長く語り継がれていますが、その最大の理由は幼い安徳天皇の死没と三種の神器の喪失があったからではないでしょうか。ムリヤリとはいえ、天皇が入水するという前代未聞の出来事だからです。

義経は平家を壊滅させましたが、当時の常識では考えられない非戦闘員(船乗り)を射殺すという手段を用いました。後世には「革命的な戦い」と評されたものの、当時は批判的に受け止めていた人が多かったのではないでしょうか。

船乗りがいれば、もしかすると平家は落ち延びたり、全面降伏できたりしたかもしれません。しかし、船乗りを殺されてしまい、身動きが取れなくなった平家にとって、残された道は一族もろとも命を絶つことしかなかったのです。

後白河法皇や頼朝が思い描いていたのは、安徳天皇を三種の神器と共に京に連れて行き、異母弟である後鳥羽天皇を正式に践祚させるつもりだったのでしょう。しかし、結果としてそれはかなうことなく、平家は滅んでしまいました。

義経は平家滅亡の功労者ではありましたが、同時に「最大の使命を果たせなかった勝者」になってしまったのです。やがて、義経は頼朝と対立して無謀な戦いを挑むことになっていき、悲劇的な末路をたどってしまうことになります。

ドラマでは、自分の思いが通じない義経の苦悩を菅田将暉さんが見事に演じています。とかく「悲劇のヒーロー」として、かっこいい義経が描かれがちですが、菅田さんの義経は泥臭く、野心的で、時にはかっこ悪い人物像になっていると思います。

義経の最期が、22日以降のドラマでどう描かれるのか、注目したいです!

※このコラムは、ブログ版「歴史・人物伝」と共通記事です


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