酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第48回「キンミヤ焼酎は四日市の地酒だったのか?」
「一人酒」、それは孤独な酒飲みのように聞こえるだろうが、実はそうでもない。私は一人酒という言葉を酒場で飲み歩く時に使っている。にぎやかな雰囲気に包まれれば、その店に居る人は全員、飲み仲間だ。
一人酒ができなくなって幾歳月・・・ついに再開の日を迎えた。が、本当の一人酒はこれからだ。さあ、体験談エッセイを書こう。タイトルは、酔いどれ男のさま酔い飲み歩記。第48回「キンミヤ焼酎は四日市の地酒だったのか?」である。
はじめに
甲類焼酎のなかで、東京下町の定番と言えば「キンミヤ焼酎」をおいて他にはない。当たり前のようにホッピーで割って飲んでいたが、実はキンミヤ焼酎がどこで製造しているのかは、あまり知られていない・・・と思われる。
そこで今回のタイトル「キンミヤ焼酎は四日市の地酒だったのか?」となる。そのココロについては、四日市を実際に訪れてからのお楽しみ。それとは別に、三重県四日市市にはご当地グルメの「とんてき」がある。これもまた興味深い。
お伊勢参りの帰り、四日市になだれ込むぞ!
伊勢神宮内宮参拝からの「おかげ横丁」
四日市の話を書く前に、このひとり旅(飲み歩き)での最大の目的に触れなければならない。2013年は伊勢神宮で20年に1度の式年遷宮の年だった。記念すべき年こそ「お伊勢参り」をしなければならない。ならば参拝に出向こう。
真夏の休日に訪れたので、内宮でのお参りはかなり大変だった。その話は置いといて、お昼にさしかかったので「おかげ横丁」で昼酒としゃれこむ。おかげ横丁は、江戸時代のお伊勢参りを彷彿させてくれるような楽しいテーマパークだ。
食べ歩きこそ、おかげ横丁の楽しみ方!
まずは伊勢角屋麦酒で立ち飲みの地ビール・神都麦酒と牡蠣フライ2個から。真夏の昼下がりはビールがよく合う。あっという間に飲み干し、続いては酒蔵の伊勢萬にて大吟醸と鳥のおつまみセット。大吟醸は腹にズーンときたぞ。
横丁内も大勢の人で大賑わい。神宮のおひざ元なので皆さん、善男善女とでも言っておこうか。ご機嫌になってきたので、松阪牛串の店で串一本と神都麦酒の缶ビール。さらにキュウリ棒、熱々のひろうす(若松屋)と、立ち食いの肴には事欠かないぞ。
酒を飲んだらデザートも欲しくなった。伊勢土産では定番中の定番「赤福」を使った夏限定の「赤福氷」なるものがある。人気商品だったので行列ができていたが、酔った勢いで並んでゲットした。話のタネになるような個性派デザートだったな。
伊勢神宮の神様、楽しい時間をありがとうございました。
四日市「日本酒場大感謝」~ご当地グルメとんてきを食う
本日宿泊する四日市市のホテルへとやって来た。おかげ横丁で調子に乗って結構飲んでしまったが、昼酒からは時間が経った。真夏の暑さと浴室のシャワーでアルコールも汗で抜けた。夜の飲み歩きへの臨戦態勢は整った。
四日市は大都市なので、酒場には困らないだろう。目ざとく見つけた居酒屋が「日本酒場大感謝」だ。看板がバカでかいので目立つ。とんてきもありそうだ。吸い込まれるように店内に入っていく。
カウンターに陣取り、何を置いても生ビール。そしてお目当てのとんてきだ。この店は地元のチェーン店っぽく、店員さんも若い。店内もワイワイとにぎやかで活気があっていい。間もなく、目の前にとんてきが登場した。
四日市とんてき協会の定義によると、「分厚い豚肉をニンニクと一緒に濃い目のたれでソテーし、たっぷりの千切りキャベツをそえた料理」とのこと。この店のとんてきにはジャガイモも添えられている。
これはかなり美味いぞ!
甘辛いたれは、どんな酒にも合いそうだし、ご飯のおかずにもなる。四日市に泊まることが決まるまで、四日市とんてきの存在すら知らなかった。ご当地グルメはなかなか奥が深い。
四日市「串焼き道場本部」及び「2号館」~キンミヤ焼酎の謎に迫る
このあとの2軒目、3軒目について、まずはサラリと触れておく。2軒目は「串焼き道場本部」という、これまた地元チェーン店に来店。とんてきという豚肉料理の後は、鶏肉の串焼きを頂戴した。今日は肉食気分という感じだな。
続く3軒目。そろそろバーにでも繰り出すかと思って繁華街を歩いたが、やたらと風俗店の呼び込みが五月蠅い。たまらず飛び込んだ店が「串焼き道場2号館」だった。同じチェーン店に入るとは・・・飛んで火にいる夏の虫とはこのことか。
だが、2号館に入ったのは結果オーライだった。注文したのは大根サラダのみ。肉食が続いたので、申し訳ないと思いつつも野菜が食いたかった。でも、店のマスターと会話が盛り上がって、お酒を3杯もおかわりしたからいいだろう。
その話題こそが「キンミヤ焼酎」だったのだ。
ここまで読んでいただければ、お察しかもしれないが、キンミヤ焼酎の醸造元は四日市市にある酒蔵「宮崎本店」。東京下町の酒なので、甲類焼酎を専門に製造している酒造所とばかり思い込んでいたので、初めて知った時は意外に思った。
しかも宮崎本店の商品はキンミヤ焼酎ばかりではない。鈴鹿山系の伏流水を使った日本酒「宮の雪」という銘柄が看板のようだ。今回は飲む機会がなかったが、ふくらみのある香りとふくよかな甘み、かすかな酸味が特徴らしい。
キンミヤ焼酎ももちろん看板商品で、こちらも伏流水で仕込んでいるとのこと。これもまた四日市の地酒には違いない。昔からの営業努力に加え、おそらくホッピーとの相性もよかったのだろう。だからこそ、東京下町の定番になったのだ。
実は1軒目に訪れた「大感謝」に、キンミヤ焼酎の一升瓶がボトルキープされていたのを見て「さすがは四日市」と感心した。一升瓶は業務用とばかり思っていたのだが、お客さん用に置いてあるのは初めてだったからだ。
そんなわけで本日は、キンミヤのロック梅シロップ割り(いわゆる下町の焼酎一杯)、ホッピー割り、そして2号館で3杯もおかわりしたキンミヤのソーダ割り。口開けのビール以外は、すべて四日市の地酒・キンミヤ焼酎で通したのだった。
酔っ払っちまったけど、キンミヤは酔い覚めがいいから大丈夫だろう!
今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。なお、このエッセイは2013年7月の忘備録なので、店の情報など現在とは異なる場合があります。
※16日の酔いどれ男のさま酔い飲み歩記はお休みいたします。
次回は23日の予定です
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