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オヤジの思ひ出話~第32話「親父の灯ろうを流した日」

送り盆の16日夕方、自宅でカンバを焚き、送り火で亡き親父を送り出しました。我が家では、ここ数年変わらぬお盆の光景です。

岡谷市では2019年まで、諏訪湖の送り盆の行事として「灯ろう流し・花火大会」が開催されてきました。私は、灯ろう流しを主催していた新聞社に勤めていた関係で、社の一大事業だとの思いで毎年のようにご奉仕させていただいたのです。

灯ろう流しは、市民から寄進された1千灯ろうを諏訪湖上で船から流して弔うもので、岡谷市仏教会の僧侶が湖畔の特設祭壇で読経し、来場者は自由にお参りできます。その後、花火が打ち上げられ、灯ろうと共に湖上を彩ります。

親父の3年祭(神道での呼び名)だった2016年は、船から灯ろうを流す係を担当しました。灯ろうの組み立て準備をしている最中、同僚が偶然親父の灯ろうを見つけ、寄進者である私に託してくれたのです。

自分の受け持ち分の最後に、親父の灯ろうのロウソクに火を点し、湖上に浮かべて手を合わせました。ゆらゆら揺れる灯ろうの上空では花火が打ち上げられ、幻想的な光景に浸りながら、親父の御霊を見送ったことを覚えています。

2020年の灯ろう流しは、新型コロナウイルスの影響で初めて中止しました。そして2021年5月、新聞社は行事そのものを終了することを決めたのです。私の退職と時を同じくして、伝統行事を終わらせる・・・時代の流れや違いを感じた瞬間です(苦笑)

その後、伝統行事を引き継ぎたいとして、岡谷市仏教会が「送り盆法要」を計画しましたが、新型コロナの感染拡大と大雨災害により、中止を余儀なくされたそうです。
来年こそ、新しい送り盆の行事が出来ることを願っています!

※このコラムは、ブログ「気まぐれトーク」との共通記事として書きました


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