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私だけの特捜最前線→21「6000万の美談を狩れ!~真っ向からぶつかり合う橘と桜井」

※このコラムはネタバレがあります。出演者は敬称略

桜井刑事(藤岡弘、)が復帰してから半年、ナンバー2の橘刑事(本郷功次郎)とはしっくり来なかったようです。その代表的なエピソードが第131話「6000万の美談を狩れ!」でした。

ビルから男性が転落死した事件を巡り、桜井は「自殺」、橘は「強盗殺人」と推理し、真っ向から意見がぶつかり合います。自殺と他殺では、支払われる生命保険金の額が大きく異なるという背景もありました。

現場検証を元に、桜井と橘は自分の主張を繰り返します。桜井は「甘いねえ、それじゃあ捜査はできんぜ」と売り言葉を吐いたのに対し、橘は「誰に向かって口利いているんだ」と激怒するのです。

ここで神代課長(二谷英明)が割って入ります。二人の捜査は詰めが甘いと指摘した上で「もっと突っ込んだ捜査をしてから俺の前に来い」と叱り飛ばし、この場を収めてしまいました。

これは私の推測ですが、「特捜最前線」というドラマを続けていくうえで、橘と桜井のわだかまりの解消は必要不可欠だったとスタッフは考え、このエピソードを入れたのではないかと思います。

桜井が復帰した当時、二谷氏のけがで神代課長は不在でした。不在のまま対立してしまうと、特命課は真っ二つに割れてしまいます。だからこそ、神代課長が仲裁する役目を担う必要があると考えたのでしょう。

さてドラマでは、桜井が新しい証拠を探し出してくれば、橘は証拠の矛盾を見つけ出す-という感じで進んでいき、そうした捜査過程を通して徐々に真実とへ近づき、同時に二人のわだかまりが解けていくのです。

コラムではストーリーの紹介を差し控えておきますが、事件そのものの真相と、それを知った家族の思いがラストに描かれ、「後味の悪い結末」を持ち味とする特捜らしさがうかがえます(苦笑)

このエピソード後、橘と桜井が表立って対立することはなくなり、桜井は橘をナンバー2と認め、絶大な信頼を持つようになるのです。

noteでは連載コラム、エッセイをほぼ毎日書いています。フリーランスのライターとして活動中ですが、お仕事が・・・ご支援よろしくお願いいたします!