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歴史・人物伝~エピソード編㉘:井伊直弼「断固たる意志で幕府の権威を守った大老」

幕末に大老となって辣腕を振るった井伊直弼は、安政の大獄で多くの大名を蟄居させたり、橋本佐内や吉田松陰ら優れた人物を処刑したりしたため、維新を成し遂げた側からは「古い権力者」とされ、時代に逆行する人物と揶揄されてきました。

例えば将軍後継者に、英邁とされた一橋慶喜でなく、年少の徳川慶福(のちの家茂)を推しました。「幼い将軍を立てて自分が権力を握るつもりでは」と批判されましたが、直弼の考えは「御三家の紀伊家から将軍を出すのは当然」ということでした。

江戸時代の常識からすれば、水戸家出身とはいえ、一橋家を継いでいる慶喜が将軍になること自体が異例だったのです。従来通り血統を第一に考えれば、幼いとはいっても慶福が最有力候補であるのは、幕閣にとって当たり前でした。

直弼は「将軍は幕府の最高位であり、その権威を守らねばならない」という断固たる意志を貫いたのでしょう。同時に「政治は自分たち幕閣が責任を持って行うべき」と考え、大老職として、その先頭に立っていたのだと思います。

井伊直弼の旧居である史跡「埋木舎」(滋賀県彦根市)には、大河ドラマで直弼役を演じた俳優のパネルが展示されており、興味深く見せていただきました。いずれ劣らぬ名優ばかりで、役柄上でも直弼が重要な立ち位置にいたことがわかります。

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