雁行陣とダブル後衛 36.

ソフトテニスの戦略として、いくつかの陣形がある。

陣形は大きく分けて3つある。
(1)雁行陣(2)ダブル後衛(3)ダブル前衛

雁行陣は前衛と後衛に役割を分けて戦う戦術。ダブル後衛は二人が共にベースライン付近まで下がり戦う戦術。ダブル前衛は二人がサービスライン付近で主にノーバウンドで返球する戦術。

その中でも中学生が使う主な陣形は、雁行陣とダブル後衛の二つだ。

ダブル前衛は中学生までだと少ない。おそらく教えられる指導者が少ないのと、中学生の身体能力ではダブル前衛の速い展開についてくことが難しいからだと思う。
最近だと、小学生は昔よりダブル後衛が増えた印象がある。中学生も女子はダブル後衛が本当に増えた。

うちのチームでは、主に雁行陣を採用している。ダブル後衛は基本的に作ろうとしていない。

陣形については、本当に議論が分かれるところだと思う。今日はそんなことを自分の考えと共に書くnote。


なぜ今回このテーマを選んだかというと、僕が教えているチームで雁行陣のペアよりダブル後衛の方が勝率が高くなることが起き始めたからからだ。

まあ特に1年生において起きていることなんだけど、例えば雁行陣vsダブル後衛の戦いになると、どうしても前衛がラリーに入ってこられず2対1のような状況になることがある。これはまだこの時期の1年生にはよくある話で、仕方のないことでもある。

ソフトテニスにおいて一般的に言われていることの一つが、「前衛を育てるのには時間がかかる」ということ。

たいていのジュニアとか中学校では、ストロークが上手い子が後衛になることが多い。さらにレベルが低いうちは前衛がボールに触れる機会が少ないので、どうしても育てるのに時間がかかる。

だから最初のうちは、一見ダブル後衛の方が勝率がいいからいいんじゃないかと勘違いすることも多い。

ここからは僕の個人的見解を述べる。
結論としては、中高生には雁行陣の方が良いという考えを持っている。

ダブル後衛で本当に勝つペアになるためには高度な戦略と技術が必要となり、それを普通の中学生や高校生に求めるのは難しいと思う。平行陣で一度やり始めてしまうと様々なデメリットも生まれてしまう。もちろん良いところもたくさんあるのだが、平行陣で勝てるようになるためにはかなり時間と労力を要する。

平行陣としてやっていくためには、ペアを固定しなければやっていくのが難しいこともある。
そして一度平行陣としてやり始めると、なかなかそこから雁行陣に移行することが難しい。すると、同じチーム内でペアを変えて戦うのも難しくなってしまう。

ただのダブル後衛だと決定力に欠けるため、最終的にミス待ちのテニスになってしまう可能性がある。ダブル後衛で決定力を上げるためには普通のストローク以外にツイストやカットストローク、さらに相手を崩したら前に行って攻撃型平行陣(ダブル前衛)もできるようになる必要がある。

雁行陣のスタイルは、初期のころからスタンダードな戦略で歴史が深く、戦略や練習メニューについての研究もかなり進んでいる。対して平行陣は比較的新しい戦略であり、その戦略を身につけるには自分たちで開拓する必要もある。

今勝てても、レベルが高くなったこととか先のこと、高校のこととかを考えるとやはり雁行陣をやらせるべきだと感じる。

前衛を育てるには確かに時間がかかるが、しっかり時間をかけて丁寧に育ててあげれば、ダブル後衛よりも上で勝てるチャンスが広がると思う。

実際に県の上位や全国の上位、高校まで含めてみると、雁行陣が圧倒的に結果を残している。普通のダブル後衛が全国上位に入る例は少ない感じがある。社会人になるとダブル前衛を中心とする攻撃型平行陣が上位に増えるが、そういった人たちと同じレベルで中高生の戦略について語るのはナンセンスだろう。持っている技術も身体能力も全く違う。日本のトップ選手はコートサーフェスによっても柔軟に陣形を変えられるし、それを中高の少ない期間で徹底して教え込んでモノにするのは本当に難しい。

ダブル後衛も立派な戦略だし、できるなら十分使える戦略だと思う。ただうちのチームではいろいろなことを考えた上で、雁行陣を中心とした戦略で指導を行うことにしている。

どちらが良いかは難しいところだが、こういった戦術的なことに絶対的な正解は無いので、チームごとにしっかりとコンセンサスを得られるように取り組んでいくことが大切なんじゃないかな。

何より大切なのは、指導者側の考え方とか意見とかを積極的に言葉にしていくこと。言葉にしないとわからないことも多いし、新しい気付きもあるだろうし。これからも戦術等に関してはアップデートを頑張ろうと思います。

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