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父の姿をいつの間にか追っていた

私の父は、典型的な仕事人間で早朝に出勤し、帰宅も私が寝た後だった。土日も趣味のソフトボールの審判をしており、家族でお出かけするのは近くに住んでいた母方の祖母や叔母たちだった。ワンオペで育児家事する母が一度切れて私の小さなベッドで一緒に寝て驚かせようというささやかな反抗をしていたのは今でも覚えている。

そんな父とでも、スキーを教えてくれたりキャンプに連れて行ってくれたりと思い出はある。ちゃんと愛情を感じることはあった。驚いたのは、入籍したとメールで報告したときに家族の中で一番早く返信をくれた。結婚式では母が泣くだろうと思っていたのに、一番泣いていたのは父だった。

私の父親のような働き方や生き方は、たぶん令和の時代では叩かれがちになると思う。ほとんど学校の行事にも参加しなかったし、土日も趣味に費やして家族との時間はほとんどなかった。私の夫とは正反対だ。こんなこというとおかしいが、夫のような父親だったらよかったなあと思うこともある。もっと一緒に遊んだり出かけたりご飯を作ってもらったりできたのになあと自分の子供達が羨ましい。

でも結婚して離れて暮らすようになり、私はいつの間にか父がしていたことと同じことをしていることに気づく。朝散歩したり、日記を書いたり、読書していたり。父の趣味のソフトボールだって観戦することもある。やっぱり親の背中を気づかないうちに見ていたんだなと。父は口うるさいほうでなく、勧められたわけでもないのに同じようなことに私も時間を費やしている。それらは、すべて生きていく上で大切なことばかりだった。

私も子どもたちに自慢できるほど立派な母親ではないと思っている。ダラダラスマホしたり、ゲームしたり、家事が遅れがちになることもある。でもこの前塾の先生が言っていた「子供に勉強させたいなら、親も勉強する姿を見せることが大切」という事が私の頭から離れない。私も一人で勉強するより、放課後の教室でみんなの勉強する姿を見ながら勉強するのが好きだった。今私は資格勉強とかはしていないが、読書することは続けている。要点をまとめた読書ノートもつけている。それぐらいしか私に机に向かう姿を見せることはできないが、それだけは子どもたちに誇れる背中を見せてあげられたらいいな。

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