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AIC生ブログ|農を感じる ~土に触れる&楽しむ~

マイファームは、「アグリイノベーション大学校(AIC)」という社会人向けの農業スクールを運営しています。
仕事を続けながら週末で農業を学びたい方へ向けて、農業の技術や経営に関しての知識・理解を深める、学びのプログラムを提供している学校です。

今回は、現役でそのAICに通っている、山本創士さんから寄稿いただいた記事をご紹介させていただきます。

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農を感じる ~土に触れる&楽しむ~

皆さんは子供の頃、遊びに行く時どこに行きましたか。
近くの公園ですか。
友達の家ですか。
それともゲームセンターでしょうか。

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近年はSNSが急速に発達して、子どもの将来なりたい職業ランキングTOP3にYouTuberが入るほど私達の生活にも浸透し、生活スタイルも変化してきています。

私が小学生の頃はそんなこと考えられませんでした。小学生の頃は、朝から日が暮れるまで虫を探したり、みかん園で鬼ごっこをしたり、山の中で秘密基地づくりに明け暮れていました。家の中でじっとしていられないタイプでした。

というのも私が住んでいる大阪南部の市は面積の7割が森林という環境に恵まれた地域で、山や川などの自然にあふれ、いくらでも遊び場を探すことができたからです。

さらに、実家には小さな畑があるので、直接土に触れる機会も多々ありました。土を少し掘るとそこには見たこともない生き物の世界が広がっていて、土を見るたびに中の様子はどうなっているのかと気になっていました。
生き物の調査もしてみたくなり、ミミズを観察するためにペットボトルで自作した観察キットを作って飼育したこともありました。写真のようなミミズが出て来たときは、興奮して父親に見せることなどはしょっちゅうしていました。

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隣には水田もあり、毎年水を張る季節になるとカエルが一斉に鳴きだします。夜も眠れないほどの大合唱ですが、私にとっては短期間の楽しいイベントでした。

また水田には、つがいのアイガモが毎年やってきて気持ちよさそうに泳いでいました。私はアイガモをずっと眺め、どうやって昆虫をとるのか観察していました。

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このように当時の私は畑や田に棲む生き物に興味があり、将来は虫博士か動物の飼育員になる!と近所の人にも話すくらい生き物に熱中していました

そのうち父親がしていた畑作業にも興味がわき、一緒に野菜作りを手伝うようになりました。手伝うと言っても初めの内は、生き物がいればすぐに虫かごを取り出して昆虫採集ばかりしていましたが。

それでも自分なりに楽しみながら畑の作業を手伝っていました。
夏休みには自分で育てたインゲンマメを題材にして自由研究をすることもありました。
食卓では自分で作った野菜が出て、家族から美味しいと言ってくれてとてもうれしかったことを覚えています。
同時に採れたて野菜がこんなに味が違うのか!と気づけた瞬間でもありました。

このような経験が農業をしてみたい!と思うようになったきっかけです。
私が農業を詳しく学びたい!と思ったのは中学3年生。

なぜ農業なのか?

当時の私からすると単純に楽しい、生き物が大好き、自分の力でやってみたい!と動機はざっくりとこの3つくらいです。

無事に農業系の高校に入学し、農業基礎を3年間学びました。高校の3年間は毎日が本当に濃い日々の連続でした。炎天下の中で行う除草作業や、潅水作業などの日々の管理だけでもとても大変で、家に帰る頃には毎日へとへとです。グループ実習もあり、特に力を入れていたことは、水田での合鴨水稲同時作です。
一般的には合鴨農法と呼ばれ、水稲作においてアイガモを利用した減農薬もしくは無農薬農法のことです。私は合鴨の肉質についての研究を行いました。
一般的に水田飼育の鴨は、商品化している鴨肉と比べ、えぐみや臭みが強く硬い為、市場には出回りません。合鴨の肉質研究で一般に流通している鴨と水田飼育の鴨の肉質の違いを調査・研究し、水田飼育の鴨肉の一般流通を目指すことを目的に取り組みました。
この研究は後輩が引き継ぎ、今では個数・期間限定で合鴨肉を使った料理を一般の店に出せるまでになっています。このことを知った時は、鳥肌がたつほど感動しました。

まだまだたくさんの経験はありますが、昔話はこれくらいにしておきます。
今改めて思えば、自然豊かな地域で育ったこと、家の周りに田畑があったことが、私が農について子どもながら無意識の内に楽しいと思えるきっかけになっていたんだなと思います。
今でも小さな畑で、自分が食べたい野菜、育ててみたい野菜を選び栽培をしています。頑張って育てると大きくボリュームのあるサツマイモが採れる時もあり、少しサボるとニンジンサイズのダイコンしかできない時もあります。

野菜は正直なんですね。

それでもこの失敗や成功している姿を、近所の方が畑の様子を見に来てくれ、そこから会話が弾むというのも農を感じるということではないかと思います。皆さんも散歩などをする時に、畑の様子を少し意識しながら歩いてみてください。そうすれば皆さんの知らない世界、農という魅力を感じることができるかもしれません。

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寄稿者:山本創士さん(アグリイノベーション大学校12期生)
中学卒業後、農芸高校へ進学。大学では洞窟性コウモリの生態についての調査研究を通して、人と自然との関わりについて学ぶ。現在、大学校にて新規就農を目指し勉強中。



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