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結婚前夜のわたし

私は明日、苗字が変わる。

実感もなく、いつもと変わらぬこの夜に何を想うか…なんてパソコンを開いてみたけれど。実感が湧かなくて、とても不思議な気分。

一緒に提出する戸籍謄本を初めて見た日。家族として当たり前に刻まれた子の名前と生まれた故郷の場所。どれも私にとって宝物のようで。幼い日は早く出たいと遠い遠い世界を夢見ていたけど。恵まれたこの土地、そして人々があって今の私が作れられたこと。どれも私には誇れるもの。

出生届人には父と書かれていた。こみあげてきたな、その文字を見た時。小さな頃から私には父がいて守ってくれる安心感があった。自由でいつまでも子供みたいなところがあるけれど、深く深くいつも見えない何かを信じ、そして私を信じ続けてくれる唯一の人。

私が初めて歩いた日を未だに覚えてる。最近になってその瞬間を嬉しそうに話した母。母なりの愛情をまっすぐに感じられなかったこともあるし、ぶつかったこともある。だけど年を取ればとるほど母に近づいている自分に気づいて可笑しくなる。どんな時も前向きで見えないところでも母の強さを感じるのは、きっと唯一の母だからだ。

私には直接言わないけど、自分勝手で生きてきた向こう見ずな妹をどこかいつも心配してくれる慎重で落ち着いた兄。家族を持ち、父になった兄は昔よりもいくらか穏やかで。きっと知らないことの方が多いけれど、兄は兄なりの人生を充実させているのだと嬉しく思うこの頃。昔から穏やかで優しい唯一の兄弟。

変わらずにいてくれた友達たち。仕事で出会った人達。そして彼を通じて知り合った新たな友達たち。たくさんの人の中で私という生き物は生かされてここのいることを実感する。言葉だけでは伝えられないけど、ありがとう。いつも、これからも。

あぁ書きながら段々と実感してきた。間違いなく、人生の大きな節目。

でも大げさに考えるのではなく、これはまた新たな私の人生なのだと思いたい。どこまでいっても私は私で、誰のものでもない私の人生なのだ。これもひとつの選択。導かれるようにここまできたことにきっと意味があるのなら。誰かと生きてこそ見える世界を見るためだろう。

そしてもう彼氏でも婚約者でもなくなる唯一のあなたへ。きっと変わらず会社から帰宅して、いつものようにおしゃべりしながら晩ご飯を食べる。出会ってまだ数年の2人が他人である最後の夜に。いつもより長めに話をしてみようか。今夜は一緒にお風呂に入ろうか。そして変わらずいつものようにお互い向き合って寝ようか。

あなたは実感してるかな。そんな独身最後の夜を。

明日は曇りだって。雨男と晴れ女のちょうど真ん中。
私たちらしくていいね。

結婚前夜、少しだけ色々なことを思い返しながら。そして少し寂しさも感じながら。この夜を愛おしく想う。

そんな今夜は新月。
私たちも真っ新の生まれたてになって、明日、家族になろう。

2人が出会った日に。


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