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風の時代座談会 男性星座番外編 #3|風の時代の生き方モデルは粘菌!?ノーカット版

「マイカレンダー」2021年冬号で行った初の試み……それが12星座座談会!

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男性星座(火・風)の先生6人、そして女性星座(土・水)の先生6人にお集まりいただき、鏡リュウジ先生と円卓を囲み(実際はオンラインですが)来る「風の時代の新生活様式」を検証していく、というものでした。

この豪華メンバーの座談会がとてもではないけれど2pに収まるはずなく!
載せられなかった番外編をお届けします!

男性星座座談会(火・風)にご参加いただいた先生は、こちら!

牡羊座(火)……森村あこ先生
双子座(風)……まーさ先生
獅子座(火)……SUGAR先生
天秤座(風)……Love Me Do先生 ※お仕事のため欠席
射手座(火)……竹内俊二先生
水瓶座(風)……青石ひかり先生

座談会_男性星座

今回ももちろんオンライン! 東京以外にお住まいの先生ともつながれる、素晴らしい時代になりました。※取材が行われたのは2020年11月中旬です。

いよいよ白熱してきた座談会、本誌にも掲載した「粘菌」トークなのですが、とても面白かったのにページの関係上、泣く泣くカットしたエピソード&発言&合いの手を、今回ノーカットでお届けします!

どうしてもノーカットでお届けしたい、粘菌トーク完全版


鏡:心理占星術では、風は客観的でドライで、って振りがちなんだけど、伝統占星術のもともとのエレメントでは「Moist(湿) & Warm(熱)」なわけでしょ? この風は「温かくて」「湿気ってる」んですよね。その解釈をどう考えたらいいのかな?

SUGAR:「湿り気とは何か?」ってことですよね。僕は季節で言うとやっぱ春のイメージですけど。春の出会いと別れとか……。そもそも暖かいから分子の活動が活発で、湿り気があるから何かとつながりやすい、みたいな。だから風の「Moist & Warm」のモデルとしてイメージしているのが、粘菌とかアメーバなんですよね。

――ネンキン……菌類の「粘菌」ですか?

SUGAR:そうそう。変形菌のことですね。あれって最近よくジェンダーの側面でも言われているんですけど、粘菌って単為生殖するものもあれば、雌雄……2つのジェンダーに分かれてるものもあるし、720個ぐらいジェンダーがある粘菌も存在したりとか、すごくいろんなバリエーションがあるんです。そういう意味でもすごくおもしろいと思うんですが、さらにおもしろいのは「個人」と「集団」っていう概念が同居してるんですよね。
どういうことかと言うと、粘菌は周りの環境が飢餓状態、つまりお金がないとか動いちゃいけないとか、まあ今のような「ステイホーム」な環境に近い時は、「子実体」といって飢餓状態に耐えられる形をキューって集まって作って、みんなで動いてるんですよ。そして餌とするバクテリアが発生するような環境、つまり周囲の水分が増えるとか、環境が豊かになってくると、今度はパーンと弾けて、個々が勝手バラバラに動き始める。

一同:へー!

SUGAR:そのサイクルを繰り返しながら生き延びていく。そうやっていかようにも環境に対応しながら「個人と集合」を行き来するっていう特性があるんです。そういうところが、風の時代のロールモデルの1つかな、と思いますし、さっき鏡さんがおっしゃった<Moist & Warm>のイメージかな、と。

鏡:粘菌といえば南方熊楠だよねえ。中沢新一先生の評論で大きく再評価されている。
粘菌研究のパイオニア、南方熊楠※のホロスコープには風のサインに星がないんだよね。

※南方熊楠(みなかたくまぐす)
和歌山県出身の生物学者。生1867年5月18日-没1941年12月29日。

SUGAR:そうそう!  そうなんですよね。牡牛座生まれで、月は蠍座。風がないがゆえの特有のセンシティビティや情報精査能力を持っていた人だったと思います。

水瓶座・魚座が感じ取る、目に見えないこの世界の「仕組み」

鏡:粘菌のようなあり方ってよくわかりますよ。フリーランスの仕事ってちょっと似ているところがあるでしょう。つまり、このプロジェクトで必要だからちょっと僕たち集まろうよ、みたいな感じ。そこで動く。水というお仕事があったら集合して形を成して活動を開始する。そこから「次のお仕事がきたから次もやりますか」とか。そして終わるとパッと解散。形は見えない。
そういう横のつながりで情報交換して生き延びてきた、というようなことがあると思うんです。その場合、古い時代は飲み会とか、関係者があつまる飲み屋なんかがキーステーションになっていた。今はもう少し違う見えないネットワークがあるかな。飲み会みたいなものがハブ(交差点)になっていたって感覚はまたまた、同世代の青石さんならわかっていただけるでしょ?

青石:あります! 水瓶座(青石先生)と魚座(鏡先生)って12星座の中では「余りの2つ」じゃないですけど、異常にその「仕組み」に敏感ですよね。実体があるようでないような、目に見えないネットワーク。それはすごい大きいと思いますね。

鏡:だってフリーランスって、そうじゃないと生きていけないから(笑)。

青石:そうですね、行いとか、言動とか、手土産とか……。すごく気を遣いながらうまくいきていかなきゃいけない(笑)。

鏡:確かに、手土産は僕もよく買ってるね。

――手土産ってどちらかというと水(感情)の要素ですよね? 風の時代だけれど、風の時代だからこそ、そういう部分が大事、ということでしょうか?

青石:気持ちですよ! 気持ち!

SUGAR:「気持ちが大事」ということに関して言うと、例えばプロジェクトベースで集まったりした時に、「何のために」っていう合目的性が強すぎたりすると、あんまりいいチームにならなかったりとか、いいムードにならなかったりしますよね。

青石:そうだそうだ!

SUGAR:何となくおもしろいからやろう、とか、そういう偶然的な盛り上がりとか、あんまり稼ぎにはならないけど、なんだか楽しそうだからちょっと参加しとこうとか、協力したいなとか……。そういう、お金になるかならないか、メリットあるなしで、デジタルな反応をするようになっちゃうと、やっぱりそういうネットワークって死んでいったりするのかもしれない。
それこそ、その気持ち(水)の部分が死んでいるので。
例えば、ぬか漬けって水気を殺そうとするあまり塩気が強すぎてもダメだし、自家製にこだわりすぎるよりも隣の八百屋からぬか漬けもらってきて、それ入れちゃった方が良いものができたりする。だからバランスなんですよね、全体の。

森村:私、キムチ作る時それやります。おいしいお店のを買ってきて混ぜるとうまくいくんですよ。

――へー!

SUGAR:腐敗と発酵で絶えずせめぎ合っているんですよね。ぬか床をただ冷蔵庫に置いておいたらずーっと同じ、ではなく、絶えず菌が酸化するかアルカリになるかというせめぎあいがある。そういうのを常に気にかけて手入れしてあげる。水を抜いたり、空気入れてあげたり、言葉をかけたり(笑)、そういうちょっとアナログな感じ。これまであまり言語化されてこなかったけど「この土も生きているな」みたいな。

鏡:それがSUGARくんが座談会の事前アンケートで書いてた「PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Actの段階を繰り返すことによって業務を改善し続けるとする理論)が効かないってことだよね?

SUGAR:そうそう。PDCAとかいくら回しても「土が生きてる」と感じられる世界線には立てませんから。

マニュアル化できないこの世界でぬか床が教えてくれること

――ある種のマニュアルが通用しないということですか?

鏡:この生態系というシステムがあまりにも複雑だから。そして人間の社会も人生も一種の生態系です。さらにいえばシステムに介入する我々も、システムの一部なんです。システムの一部である自分自身が、システムを改善しようとする行為そのものが、結果としてどんな効果や結果を導くかは原理上、わからないのです。だってシステムの外に僕たちは出られないんだから。その単純なことをわかっていない人が多すぎる。いわゆる自己啓発のしょぼいところはそこです。

SUGAR:そうそう!

鏡:「こういう風にしたい」って社会設計したとしても、そのこと事体が予想不能なかたちで自分に跳ね返ってきちゃう可能性がある。試験管の中の液体の温度を図ろうとして温度計を突っ込むことによって、液体の温度そのものが変わってしまうのと同じ。そのサーキットの中に自分たちがいるから、目的のためのプログラムを作ること事体が不可能だっていうこと。そこでできるのは、ちょっとぬか漬けを混ぜてみよう、とか。騙し騙しやっていくしかないということ。そういうことをちゃんと知るっていうのが、風の時代じゃないかしら?

まーさ:なんかすごくデジタルっぽい世界になってしまいそうだけど、実際SUGARさんがぬか床を手で混ぜて土を味わうように、アナログでもらった情報がすごく重要になってくる。

鏡:デジタルとか合理的なアルゴリズムですべてをコントロールすることは不可能だ、ということが知的に分かるじゃないですか? そうすると、しょうもない自己啓発セミナーに引っ掛からなくて済む(笑)。

――なんだかぬか漬けに始まり、ぬか漬けに終わったような感じですけど(笑)。ぬか漬けをまぜる時も、風を入れているわけだから、やっぱり風は大事だね、っていうことなんでしょうか……。

鏡:そうです、そうです。空気入れなきゃいけないんだから。それで発酵の熱が出てくるわけだしね。

(男性星座番外編 #4へ続く)

PROFILE

鏡リュウジ
かがみりゅうじ●魚座。心理占星術研究家、翻訳家。占星術に心理学的アプローチを交えた「心理占星術」を日本に紹介。待望の新刊『占星術の教科書Ⅲ』(原書房)が発売に。

森村あこ
もりむらあこ●牡羊座。ホロスコープカウンセラー、西洋占星術研究家。女性誌を中心に執筆多数。主な著書に『アルケミアタロット』(実業之日本社)など。http://akomorimura.blogspot.com/

アストロカウンセラー・まーさ
あすとろかうんせらー・まーさ●双子座。西洋占星術とトランプを融合させた独自のスタイルで人気。著書に『12 星座相性★虎の巻』(実業
之日本社)ほかがある。http://www.planetmartha.sakura.ne.jp/

SUGAR
しゅがー●獅子座。慶應義塾大学哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009 年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。http://astro-ragus.com/

竹内俊二
たけうちしゅんじ●射手座。占星術家。個人鑑定と初心者からプロまで楽しめる「ねこでもわかる占星術講座」を開催。趣味は料理とイラスト。京都芸術大学通信教育部に在学中。https://soranoiroha.jimdo.com/

青石ひかり
あおいしひかり●水瓶座。1994 年から雑誌を中心に占い原稿を寄稿。現実に起こる事象と天体の動きのシンクロに多大な興味を持つ。著書に『BLUELABHORO-SCOPEBOOK』(創藝社)https://ameblo.jp/kiraz2016/

聞き手/マイカレンダー編集部・山田

残念ながら座談会には参加できなかったLove Me Do先生には、別途「風の時代」についてお話をうかがっています。こちらの番外編をチェック!


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