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やまだしす こたえあわせ

「いや、それはない」

20年前に別れた友人の元カノに対してもBはさすが紳士てある。即時否定してくれる。優しい…。
といわゆる「やさしいせかい」に浸っているとBがダンボールを運んできた。

その中から取り出した1冊のファイルを「見ろ」というように渡してくる。
そのファイルの中身はたくさんの写真だった。

みんなで遊んだ日の記念写真、車のの納車日に撮ったであろう写真。写ルンですが流行ってた時代。沢山の何気ないスナップ写真。
その中に、私の写真があった。
それは「僕、この写真欲しいです」と私の親からもらって行った写真だった。

「彼、死期を悟ってから身の回りを整理して残した僅かな荷物の中の一つがこれだよ。だから、嫌ってない」

その時の衝撃をお分かり頂けるであろうか。
若さ故、自分の希望が通らないからと一方的に別れを告げたあの日。嫌われても仕方がないことをしたと何度も後悔したけれど、時間を戻せるはずもなく過ぎ去った日々。
風のうわさで聞いた彼に嫌われているという言葉。
自分が悪い、当然だと引きずったまま蓋をした気持ち。

Bは更に「彼が本当にほしかったのは君だった」とさらりと告げた。

こんなことってある?
もうごめんなさいも届かない。
好きっていう気持ちも伝えられない。

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