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一度退職した会社に再入社してみた話。

2020年の一番大きな出来事は、転職でした。転職は転職でも、転職先はかつて12年を過ごした「古巣」に「出戻った」形です。一度辞めていった人がまた再入社するケースは、自分の知っている中でも数人いますが、世間ではまだまだ「辞めたやつは裏切り者」「どの面下げて戻ってくるんだ」と厳しい見方をされてしまうこともあるのかもしれません。そんなことばかりじゃないよ、ということで、自分の実体験をまとめてみたいと思います。

現職企業を1回退職したいきさつ

私がいま勤めているのは人事系サービス(コンサルティングやアウトソーシング)をやっている企業で、ここを仮に「A社」とします。第二新卒として入社してから12年。最初に新卒入社で入った日系大企業から比較すると、目も覚めるような成長環境を与えてもらい、片や途中で結婚、3回の妊娠出産もあり、バリバリから一転、ワーキングマザーとして制約の多い中でどう折り合いをつけて仕事をするのかということを考えることにもなりました。

人生を振り返った時に切っても切り離せない、大切な場所。でも、自分の興味が最新のプロダクトに向いていく中で、自分もそういうプロダクトを顧客に提供する経験をしたいと強く思うようになっていきました。わかりやすく言うと「やり切った感」「キャリアアップ」がA社の退職理由となりました。

一度外に出てみて感じたこと

次に入社したのはSaasで人事系システムを提供している企業で、「B社」としましょう。そこでシステムの導入コンサルタントとして新しいことを学んで実践していく毎日。仕事の内容は難しくもあるけれど勉強すれば勉強するだけ身についていく感覚。成長企業のため、まだいろいろ整っていない部分を自分たちで作っていく面白さもありました。

特に、新入社員(全員キャリア採用)向けのオンボーディングプログラムをつくる、というのは、まさに自分がB社入社時の体験から「もっとこうだったら成長スピード上がったかもしれない」と感じた部分をカタチにして、自分より後から入社したメンバーの定着にも役立てることができ、やりがいや使命感を感じていた部分でした。なぜそれができたのか。A社で、顧客の人事に近い立場で仕事してきたことや、A社自体が人事施策に対して感度の高い環境だったからかもしれません。A社のメインサービスはアウトソーシングとそれを実現するためのプロジェクトマネジメント。人の能力発揮、成長があって成り立っています。オンボーディング(という言葉を特に使っていたわけではありませんが)の考え方はごく自然に自分の中にあったのだ、ということに外に出て初めて認識しました。

一方で、B社に来て違和感が大きかったのはカルチャーでした。コンサルチームの「一匹狼」前提の仕事の進め方やチームの皆さんのマインドセットは、育児との両立にはあまり相性が合わず。子供が居る人は珍しくはなかったけど、平日に育児責任を負ってる人は居なくて理解者は皆無、、という感じでした。仕事自体は面白くてもっと続けたかったけど、反抗期に入りつつある小学校高学年の子供のケアをしっかりしたいという切迫した状況も重なり、そんなときに古巣A社の元同僚と話す機会があったことが転機になりました。外に出て新たな視点で、A社でまだ自分にもできることがありそうだ、という手ごたえを感じて、もう一度A社に戻りたいと思うようになりました。

留学から母国に戻ってきたというか、4度目の育休明けというか、そんな再入社。

私はこれまで3回の産育休を取得させていただいてたので、A社の皆さんとしては「育休から戻ってきた人」というような感覚のようで、、、温かく迎えていただいてありがたかったです。私はどう感じていたかというと、海外留学から母国に戻ってきたようなイメージでした。社内外で付き合う人や使う言葉、道具もイチから覚えて、努力しながら自分のモノにしていく苦労がぴったりかな、と。(まあ、育休も1回目に取得したときは海外留学に行ったかのようでしたけど。言葉の通じない、どう扱ってよいかわからない赤ちゃんに対して、重い責任を負った状態。これはこれで乗り越えなくてはならない大きな変化でしたね。)そして、他流試合で酸いも甘いも乗り越えて、自分のホームに戻ってホッとする感覚。B社留学中に感じていた胃の痛みは、もう感じることがなくなりました。

出戻ることを周囲の人みんなが好意的に見てくれているのかどうかは、正直わかりません。でも、慣れ親しんだ母国の環境、つまり心理的にはるかに安全な状態にいながら、A社にずっといたら気づかなかったようなことにもアンテナが立っているというのは自分の強みになることは間違いないかな、と思っています。ポジティブさ(多少のずうずうしさ)、大事です。

他流試合を経て、違う職種にもチャレンジ

A社に戻ってきてから、また現場のプロジェクトに入る可能性もあったのですが、縁あって自社の経営企画の仕事にアサインされています。

経営企画は未経験でしたが、B社にいたときに顧客の経理財務系の担当者と仕事しながら学んだ知識、経験が管理系の社員と会話するときに存分に役に立っていますし、何より社外の情勢を見ながら自社の課題解決をしていくことは今の自分にピッタリだと感じます。一度「やり切った感」を覚えたはずなのに、またここでの仕事が面白い、と思えることは幸せなことです。アラフォーでもまだ新しい仕事にチャレンジにできるとは、30歳のときには想像もしていなかったけど、やってみるもんですね。迷ったときは飛び込んでみるスタイル、これからも続けていきたいと思います。

ただ、私のように転職までしなくても、今の会社にいながら「他流試合」を経験する方法はいろいろありそうですね。ドンピシャじゃない分野のセミナーに出てみる、副業やプロボノで他社に関わる、アルムナイ(退職したOB,OG)を通じて転職後のキャリアに触れたり自社への意見を聞いてみたり、などなど。また「やり切った感」を感じそうになった時には「それ、ほんとか?まだやれることあるよね?」と自分に問いかけたいと思います。

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