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#423 子供たちが授業をする、ティーチャープロジェクトの話

2023.9.3.
興味があったけれども怖くてなかなか踏み出せなかった教育実践って、いろいろある。


ちなみに、私が気になっていたものナンバーワンは、コの字型の机の配置である。あとは…反転授業かな。家で予習→学校で確認&演習というやつ。
いろいろいじるのは子供にも自分にも負担になることがあるので、内容にもよるけれど、新しいことは年に多くても2〜3が限度だろうか。

電通報/キリーロバナージャさんの記事より



ということで、いつかの6年生で試してみた「ティーチャープロジェクト」の話を。簡単に言うと、「子供が授業をするプロジェクト」のことである。

noteには比較的「やってよかった!」ということを載せがち(そして、ちゃんとしている人と思われがち)だけれど、このティーチャープロジェクトはどう評価していいのか難しいと思っている。


★きっかけ

教員になって数年目、ネットや本で、学芸大学附属世田谷小学校のぬまっちという先生の実践を見て、面白いことをしているなあと興味をもった。
・ダンシング掃除
・勝手に観光大使
・インパクトライティング
同じようなことができる気はしなかったが、何事にも戦略的な目線をもつとか、学校の枠の中だけでなく社会と繋がるワクワク感など、どこかちょっと一般企業的な実践に惹かれたのだと思う。

その中のひとつに「ティーチャープロジェクト」もあった。このネーミングだったか忘れてしまったけれど。これを、社会の歴史の授業でやってみることにしたのだ。

ラーニングピラミッド

ラーニングピラミッドは有名だと思うが、これまでの歴史の授業で主に私が使ってきた方法は「講義」と「視聴覚」である。

自分が頑張って学んで、いかに分かりやすく子供に伝えるか。そんなやり方、私が頭よくなっていくばかりで、子供の定着率は5%だと。

これじゃ、あかーん!!!

そんな悩みも相まって、ティーチャープロジェクトの実践に踏み切ったのである。


★方法

授業はおおよそこのような流れで進めた↓

①グループ決めと内容の割り振り
②授業の核と作り方を伝える
③各グループで調べ作業、授業練習
④授業本番
⑤補足やまとめ

簡単に説明を。

①グループ決めと内容の割り振り
グループ決め、どんなやり方でやったかはもう覚えがないのだが…方法はいろいろあるだろう。
先生が決めてしまう、出席番号順、その時の生活班、自分で興味のある内容を選ぶ…などなど。思春期のグループ決めってセンシティブだよねえ。
グループごとにやりたい内容を第1〜3希望決めさせ、全体で調整した。

②授業の核と作り方を伝える
いきなり「授業考えてね」と言っても、ほとんどの子供にとっては難しい。だってまず、知らない内容だし。
それぞれのグループに「この時間の大事なことはこれで、授業を受けた人がこういう風に思ったり分かったりすることがゴールだよ」ということを伝える。そのために、必要そうな資料なども確認する。そのゴールに向かっているのならば、やり方は自由。

どうでもいい画像をダウンロードしてしまった

③各グループで調べ作業、授業練習
準備にかけられる時数を伝えておく。子供たちは、これまでやってきた「グループ発表」のような形式をとるタイプが多かった。調べ、パワポにまとめ、発表する感じだ。
私と同じく講義型なので、自分の担当のところでは理解が深まり、そうでないところは私の授業よりも理解が浅くなることもあるだろう。(友達の話の方がよく聞いてくれるということもある。)
準備ができたら、授業を想定して練習。

こういうのサラッと自分で描きたいけど

④授業本番
私も、空いている席に座って一緒に授業を受ける。ノートもとるし振り返りも書く。

描きたいけど

⑤補足やまとめ
授業を聞いて、ニュアンスが違ったり補足が必要なところがあればこちらから説明をすることもある。
授業を受けた子供たちは、授業内容についてと授業自体についての振り返りを書き、ティーチャーチームはそれを読むところもやる。その後、私も読む。



★TPのよかったところ

・授業を担当したところの内容については詳しくなる。
・授業をするという責任感が生まれる。
・「有名な戦国武将」などというテーマは調べやすくて良かった。
・意外な活躍を見せる子がいる。例えば、「ほら、これを見てください。こんなことになっています。どうしてこうなったか、気になってきたでしょう?」などと、呼びかけが上手な子が活躍するとか、絶妙な3択クイズを繰り出してくるとか。

これらにプラスして実感したのは、普段の自分の授業について考えさせられるという点である。

子供たち、ちょいちょい普段私がやっている手法を使ってくるのである。「では、ここからは自分調べです。〇〇について△分でまとめましょう。」と子供が言い出したとき、ああー、私の授業ってこんな風に見えているんだ!と驚いた。
替え歌を作ったチームもあった。童謡に乗せて学習のまとめが替え歌になっていて、「では、みんなで歌ってみましょう」と言われたときは、笑った。さすが替え歌好き担任の教え子である。


★TPで困ったこと

・時間がかかる。もう、こちらが時数設定ミスしていない限りは延長はせず、きちんと見通しをもたせて、期限内に終わらせるようにハンドリングすべし。
・内容が難しいと失速する。(明治維新あたりでもやろうとしたら難しかったようで、重々しくなった…。)
・グループ内で揉めごとが起きる。まあ、なんの活動をするにも起こりうるけれど。
・指導事項に迫れていないケースも多いので、補足は必須。そのあたりに注意しながら聞くので、結局はまた私が一番勉強になっているかも?

ちなみに、「調べて発表する」とは何が違うかと言われたら…やっぱり児童役側が調べたり考えたり発表したりするところ…かな?先生役側は机間指導したりしてたし。笑


★何事も無駄じゃない

賛否両論ありそうだが、自分たちで授業をするという経験はとてもよかったと思うし、見ていて私も楽しかった。

どんな方法がいいかなんて、時代や、子供や、教科や学習内容、自分の力量、子供との関係性…様々な要素によって全然違うんだし、日々トライ&エラーが当たり前なのだから、闇雲にではなく「これはやってみる価値あり」と思ったものは、やってみたらいいのだ!


ということで、長文の実践振り返り、読んでくださってありがとうございました〜!



#教員エッセイ
#授業実践記録
#ティーチャープロジェクト

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