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#480 物語を書く指導って難しすぎん?(3年国語)

2023.11.25.
先週の日曜日。珍しくイライラが止まらず、頭痛も吐き気もしてくるという事態に…。

その原因は2つあった。
1つ目は、子供たちの書いた長くてあまり面白味のない物語を、かれこれ4時間ほど添削していたこと。
2つ目は、その「長くてあまり面白味がない」原因を作ったのが自分だということ。

えー!どうすりゃよかったんじゃーい!


何の話かというと、光村図書国語3年「たから島のぼうけん」という、物語を作る単元のことだ。

私は今、2年生のサポーターをしつつ、3年生のとあるクラスで講師として国語の授業をしている。なぜ国語になってしまったのかは、本当に謎である。


★前提として…足並み揃えすぎた

この単元、実はある程度進め方に縛りがあった。別のクラスで研究授業があるということで、きちんとした実施計画があり、それと同じ流れで進めていたのだ。

打ち合わせに参加していない中で指導案やワークシートを受け取り、見よう見まねで自分も同じレールの上に乗ってみた。

こんな感じ?みんな今どういう段階?という探り探りな進め方。
結局その研究授業も、私は見ていない。しかも私、週3日しか学校にいないのよ。

だったら…最低限進度は揃えるとして、やり方は我流でもよかったかもしれない…!よく理解せずやり方だけまねした授業なんて、ハンドリングが難しいに決まっている。しかも、私はクラスの子達と、夏休み明けからのお付き合いだ。どこまで書けるのかの実態もあまり掴めていなかった。

やっちまったな!


★授業の進め方

①前単元の「三年とうげ」
まず「三年とうげ」で場面の構成について学習する。そこで、前話→展開→山場→後話という起承転結的な構成を学び、この「宝島のぼうけん」に生かすのだ。

②0次の活動
0次とかあるところがまさに研究授業…。教科書に載っている、物語の元になる地図を教室後ろに掲示。そして、空いている時間を使って書きたいシーンを小さな紙にメモして貯めておく。例えば、「バキッ!ものすごい音がして、船が大きくかたむいた。どうやら岩が当たったらしい。…(船がちんぼつする場面)」などというメモだ。例として私の作ったものを置いておいてもらった。

③構成表作り
いよいよこの単元の授業スタート。メモの中から2枚を選び(全部は使わないんかい!)、どれを山場にもっていくかを決め、その山場を書くために必要な登場人物の様子などを前話に、山場に至るまでの様子を展開に、山場の後どうなるかを後話にする。
◆前話「おくびょうな主人公みゃーくんが宝の地図を見つけて、冒険に出発する。」
◆展開「船が沈没する(メモ1)。森の中を進む。」
◆山場「トラとの戦い。おくびょうなみゃーくんが勇気を出してトラに挑む。トラを倒すことに成功。(メモ2)」
◆後話「宝は次の島の地図だった。みゃーくんは、次なる旅に出るのだった。おしまい。」
みたいなね。

④下書き
君たちの持っているアイテムは、「構成表」と「場面メモ」だ!それをもとに、下書きをどんどん進めよう!メモの通りに書かなくてもいいし、使わないメモが出てきてもいいよ。今日は"作家の時間"なので、おしゃべりはなし。困ったら手をあげて教えてね。
このような声かけで、下書きスタート。30分強、すごく集中して書いていて、感動…。最後の5分で今日の自分の学習について振り返る。自分の今日の学習は何点だったか、それはなぜか。集中して取り組んだことを褒めつつ、回って見つけた出だしの工夫を紹介。会話や音から始めている子、言い回しが面白い子、設定が面白い子など。
書いたものをパラパラ見て、各自の進行状況を確認。全然書けていなくて、よく見たらなぜかあいうえお作文しながら書こうとしてる子を発見したので、次の日説得。
下書き2回目。同様に集中力高く活動することができた。

清書の前どこかで私のチェックを入れたいけれど、読んでいる時間がない〜。子供たちに推敲させた後に先生チェックを入れて清書にするか。

⑤推敲
書いているところを見回っている間に気になったポイントを推敲で気付かせたい。本来ならば友達同士で読み合わせて、内容や構成についてアドバイスさせたいところだけど、多分それはレベルが高すぎる。読みやすい文章にする上での最低限のルールについて確認させたい。ということで、直しあるあるを詰め込んだ例文を作って、みんなで間違い探し練習。

みんな「3つ見つけた!」とか言っていた

漢字、句読点、会話は行がえ、場面で改行、縦書きは漢数字、言い切りとですます…など。

確認している間に、自分の下書きが間違っていた!と直し出す子が結構いた。
この練習後、隣や他の人と交換して読み合いをさせた。させる前に、「下書きの時間、みんな集中力高く、真剣に取り組めていたところがまずすごい。でも、物語を作るのは難しいし、みんながすぐに素晴らしい作品が作れてしまったら作家さんなんていらんでしょ?だから、友達の作品を読んで、あんまり面白くないとか読みにくいとか感じるかもしれないけれど、何かひとついいところを探しながら読んでね。」と伝えた。
結果…自分で直した部分の方がよくできていたし、友達のものに入れた赤字はできている子と全然できていない子で二極化していた。
もしかしたら、推敲は自分の分だけでもよかったのか…?うーん。

で、冒頭の私がチェックしてイライラしまくるところに戻るのである。予定ではこの後、⑥清書、⑦交流 と進む。


★改善すべきところは…?

頭痛を抱えつつ下書きを読みながら、どうすればよかったんだ?と、いろんな文献を漁っていた。

◆「上手に物語を書かせるには」というEDUPEDIAの記事

この方の記事に何度もうなずいた。この方は物語を書くに当たって13個も条件をつけたそうだ。そのくらいある程度道を整えておかないと、読めるレベルの物語を書かせることは難しいとな。
非常に勉強になったが、清書前の今の段階で改善できない〜。

◆福井教育支援サークルのYouTube

前話を書かせてチェック、展開を書かせてチェック、山場を書かせてチェック…などと、途中段階で確認を入れるという話が紹介されていた。
そうかー!そうすれば構成が変な子にも気付けるし、進度に開きも出にくい。下書き段階で時数はかかりそうだが、急がば回れとはこのことか。ああ、熱量に任せて下書きを各自で走らせすぎたかな…集中してできているなとは思ったのだが。
こちらも、大変勉強になったが、今の段階ではどうにも…。

もしまたこんな機会があったら、条件や取り組む順番、気をつけよう。


★で、頭痛の後、私がやったこと

清書前に全員分を確認したかったので、許可をもらって下書きを持ち帰った。学校にいる時間の中では到底読める量ではない。
頭痛を抱えながら全ての下書きを読んで、コメントを入れた。ほとんどが、極端に長いか極端に短いか。罫線だけの下書きで5枚くらい書いている子は、原稿用紙なら8枚くらいいってしまうのではないか。というかまず、本当に構成表に沿って書いたか?というものもある。これを…ここからどうすれば?

EDUPEDIAの記事を読んで、やっぱりこれほどの配慮が必要なくらい、物語を書くって難しいんだと再確認。大人が書いても苦戦するでしょ。

子供たちは、全然悪くない!私も、改善点はいくつかあるものの、そんなにひどいことはしてない!

もう、じゃあ、このまま行こう!!!

清書前に伝えたことは3つ。
◆みんな、下書き・推敲、非常によく頑張った。
◆先生は細かく赤を入れたが、それを採用するか、しないで自分の書いたものを貫くかは、作者であるみんなにお任せする。
◆下書きがすごく長い人、恐らく清書がめちゃくちゃ大変。なので、長くなりすぎちゃった人は、削りながら書くのがおすすめ。山場を目立たせたいのなら、前話や展開を削るのだ!

などと言いながら、ももたろうの話を例に出した。
・おじいさんとおばあさんがいた。桃からももたろうが生まれる。(前話)
・鬼退治に行くことに。途中で仲間を増やしていく。(展開)
・鬼との決戦。(山場)
・見事鬼を倒し、めでたしめでたし。(後話)
この話、山場は鬼との決戦だよね。ここは様子を表す言葉などを使って、盛り上げて書く。だけど、前話とか展開にめちゃくちゃ枚数使っている人いない?それって、おじいさんとおばあさんの朝の会話とか、実はさるは腕に怪我をしていたみたいなエピソードを詳しく書いているようなものだよ!話のあらすじに関係なさそうなところは、削りながら書いてもいいからね!

もう、やれるだけの指導はしたので、
ありの〜♪ままの〜♪清書できりゃいいよ〜♪
ありの〜♪ままの〜♪作品にな〜る〜の〜♪


★完成したのか?

結局、清書の時間も限られていて、終わった子とそうでない子に差が出たが、もう次の単元を始めないといけないということだったので、次の単元の授業の隙間(時間が余ったタイミングなど)に残りを進めさせている。


物語を作る指導って、難しい!
でも、子供たちがいろんなアイデアを出す姿や、悩みながら書き進める姿、なんとか収束させる力など、きらりと光るものが垣間見られる単元だった。
悩みながらも楽しく取り組んで、完成させられたという経験ができたならもう100点満点だ。

ちなみに、文章で吐き気を催すタイプとしては、いつかみんなで絵本作りがしてみたいなあ。
そっちの方が難しいか。



#教員エッセイ
#授業実践記録
#物語を作る
#いや難しすぎる
#3年国語

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