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#353 「創る人」が主役の胸熱漫画紹介

2023.5.30.
最近、よく本屋をうろうろしている。本作りについて調べ始めてから、本のサイズ・表紙・文字のフォント・余白・挿絵…いろんなものが気になる。自分にとってどんなものが読みやすくて心惹かれるのか、考えながら見ている。

漫画コーナーに、マンガ大賞2023に選ばれた本が並んでいた。大賞を受賞していた作品が、1話試し読みできるように置いてあった。「これ描いて死ね」という、かなりインパクトのあるタイトルのマンガである。

…意図せず本屋で泣いた。

ああ、そうか。こういう、「表現者が自分のやりたいことを見つけて突き進む話」が好きなんだな、私。



ということで、同じようにクリエイター胸熱作品として思い当たったものを今日は紹介しようと思う。ラインナップはこちら↓

◆「これ描いて死ね/とよ田みのる」
◆「ひとりずもう/さくらももこ」
◆「海が走るエンドロール/たらちねジョン」
◆「メタモルフォーゼの縁側/鶴谷香央理」

えー、以下、各作品のネタバレがあるので、言ってくれるなという方はここまでにしておいていただければと思う。





★「これ描いて死ね/とよ田みのる」

<作品紹介>
安海 相(ヤスミ アイ)は、
東京都の島しょ・伊豆王島に住む高校1年生。
漫画を読むのが大好きな彼女は、とある出来事がきっかけで
漫画を“つくる”ことを意識し始める……
少女を待ち受ける世界は、果たして!?
漫画大好き漫画家・とよ田みのるによる漫画家漫画!!
作品を生み出す苦しみも歓びも、
余さず描く漫画浪漫成長譚!!!

ゲッサンwebより

島に住む、漫画大好き女子高生。漫画の読みすぎで、どこかいつもふわふわした世界を見ている。彼女には大好きな漫画家がいて、しばらく本を出していないのだが繰り返し繰り返し読んでいた。
あるとき、その人がコミティア(同人誌の即売会)に来ることを知り、船に飛び乗って会場に向かってしまう。コミティアではたくさんの人が本を作って手売りしている。「漫画って、自分で作れるんだ」ということに驚く主人公。そこでついに出会った憧れの漫画家はなんと…自分の学校の先生!
「先生、私に漫画を教えてください!」

ってところで1話が終わる。確か。
これまで受け取るだけのものだった漫画の世界。コミティアに行ったことで自分の手で創り出すこともできるということに気付き…世界の色が変わるような描写が出てくるところが胸熱ポイント!

私、この人の絵のタッチそこまで好きなタイプではないのだが…ストーリーと合わさるとすごく魅力的な絵に見えてくるのもびっくり。

なんだかこのストーリーだと「これ描いて死ぬ」の方がしっくりくる気がするのに、実際のタイトルは「これ描いて死ね」なのはなぜ…?誰目線…?という勝手な私の疑問。結局試し読みの1話しか見ていないものの…どこかで続きを読みたーい!




★「ひとりずもう/さくらももこ」

「ちびまる子ちゃん」では永遠の小学3年生。でも、現実のまる子は成長していき、思春期を迎えていく。小5から、中学、高校…。まる子のその後を描くほのぼの成長記。おなじみのメンバーも登場! 描き下ろしエッセイ「ひとりずもう」のコミック版。

集英社ウェブサイトより

この話は、以前の記事で、まんま同じことを紹介していた。笑

この記事をもう一度…↓

もともとエッセイだったものがコミカライズされたもの。私が持っているのは漫画版の方である。この作品は、さくらさんの小学校〜中学・高校・短大〜漫画家デビューまでを描いたもので、ちびまる子ちゃんのその後とでも言えばよいだろうか。

漠然と「漫画家になりたい」と思っていたさくらさん。高校卒業後の進路を考えるにあたり、その願いを叶えるべく初めて少女漫画を完成して「りぼん」に投稿。が、賞にかすりもせずBクラスという結果に。そこで、夢をあきらめるのだ。

矢沢あいぐらいうまくないと、少女漫画ってムリなんだ…

あーあ、なりたかったな…。
なりたかったな…。

美人じゃなくても、天才じゃなくても、お金持ちじゃなくても、他に何もなれなくていいから、漫画家になりたかったな…

夢なんてそんな簡単に叶うはずない…
でも、終わるのは簡単なのかもしれない…

ひとりずもう(下)/第29回「遠い夢」

その後、「普通の暮らし」というものを目指して短大に行くことを決意するさくらさん。その受験のために作文の模擬試験を受けるのだが、そこで書いたエッセイが高く評価される。

私…エッセイってもしかしたら得意なのかな。

エッセイを漫画で描いてみるのはどうだろ。
絵も少女漫画じゃない絵に変えて描けば…

それを思いついた時、こんなボロくて狭い風呂場に、夏の光がいっぱいさしこんで、風呂場全体がキラキラ輝き始めた。

私は…人生が変わるかもしれないという予感がした。

私は漫画家になりたい。
他の職業じゃなくて、漫画家になりたい。
……うん、きっとなれる。

ひとりずもう(下)/第33回「予感」

これも、何度読んでもここで泣く〜〜〜!
やっぱり、自分のやりたいことを見つけた瞬間の描写が素晴らしいのよね。




★「海が走るエンドロール/たらちねジョン」

<作品紹介>
夫と死別し、数十年ぶりに映画館を訪れたうみ子。そこには、人生を変える衝撃的な出来事が待っていた。海(カイ)という映像専攻の美大生に出会い、うみ子は気づく。
自分は「映画が撮りたい側」の人間なのだとーー。

心を騒ぎ立てる波に誘われ、65歳、映画の海へとダイブする!!

海が走るエンドロール特設サイトより

これ、先日書いた94歳のちぎり絵アーティストさんの話にも近い気がするけれど、65歳から大学の映像学科に入って映画を撮り始める話!

「作る人と作らない人の境界線てなんだろう
船を出すかどうか…だと思う
その船が最初からクルーザーの人もイカダの人もいて
誰でも船は出せる」

という一節がとても印象的。少なくともnoteで記事を書いている人は、船を出した人なのかもしれない。

2巻までしか読んだことがなかったけれど、今は4巻くらいまで出ているらしいので、こちらも続きを読みたい!




★「メタモルフォーゼの縁側/鶴谷香央理」

<作品紹介>
75歳の老婦人が出会ったもの、それは少年たちの恋模様

亡き夫と通った思い出の喫茶店が閉店し、立ち寄った書店では料理本コーナーがいつもと違う場所に。
過ぎ去っていく時間に寂しさを覚えた時、彼女の目に止まったのは1冊のコミックス――。
75歳の老婦人と書店員の女子高生がBLを通じて織りなすのは、誰もまだ見たことがない日々でした。

特設サイトより

もう、どれもこれも有名作品ばかりで申し訳ない。この作品を最初に私に教えてくれたのは、幼なじみのSAOちゃんで、私も読んでハマって単行本が出るたびにすぐに買っていた。そして、『このマンガがすごい!2019』オンナ編 第1位を受賞。あれよあれよという間に映画化されてしまったのだ。女子高生の役は芦田愛菜ちゃん。

BL漫画繋がりで仲良くなった女子高生とおばあちゃん。最初は読んで楽しむところから始まり、お互いの交流を深めていく。そのうちに女子高生が…漫画を描き始めるという。そしておばあちゃんはそれを助けるという。

女子高生の子が、おばあちゃんとの交流を通して少しずつ変わって成長していく姿がステキ。




★ということで

生きていてこれだけはやり遂げたいと思うとか、世界が輝いて見えるものに出会うとか、食う寝るを忘れるほど没頭できることとか…

そういう「これだっ!」というものに出会うっていいよねえ。

そんな心揺さぶられる作品たちにこれからも出会えますように。
おすすめの作品があったら、ぜひ教えてください。



#教員エッセイではない
#私は本より漫画派
#胸熱作品

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