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#179 「てこ?知ってるよ」という子たちへの導入(6年・理科)

2022.10.22.
3年目の夏。6年担任。私は大きな宿題を2つ抱えて悩んでいた。
①運動会の表現主担当/演技を考える(10月下旬本番)
②校内研の高学年部授業者/授業を考える(9月下旬本番)

これを夏休みの課題としていたが、優柔不断の塊である私。いろいろ案を出すものの、どれがいいのかな…と全く決められずにいたのだ。

くだらない図を書いてしまったな…
8/25の高学年部打ち合わせ

↑8/25時点では大したことが決まっていない。特に運動会の演技は全然構成などに辿り着いていないという。というよりなぜ①も②も担当が私だったのだろう…。やりますって言ったのだろうか。




今回は運動会の方ではなく、研究授業で行った6年理科「てこのしくみとはたらき」についてである。本番の授業は、第1次第1時をすることにしていた。単元の導入だ。

ちなみに先に言っておくが、この記事は「すぐに生かせる」という側面においては全く役に立たないので、そういった期待をされている方には先に謝っておこう。。。


一番の悩みは、ここの地域、中学受験をする子が多いということ。てこについての知識は半分以上の子がもっているだろうし、「支点」「力点」「作用点」などの言葉も出てくると予想された。

そうなってくると、あれが登場しがちである。

出たな二流!

一番初めに考えていた流れは、

◇10kgの砂袋を素手で持たせる。→重いと思ってほしい
◇もっと楽に持ち上げることはできないかと問う。
◇てこというものについて知る。詳細は教えない。
◇実際にグループで自由に使ってみる。
◇気付いたことや疑問を整理して今後の実験につなげる。

というものだ。

オーソドックス!理科の導入、という感じ。(当たり前)

でも果たしてこれで驚きがあるのか…?

指導案検討の後…かな?

9月の頭、本番まで2〜3週間というところだが、指導案検討の際の授業の流れもそのようになっていた。

塾とは何が違うって、もちろん実際にてこを操作できるところだ。紙の上の勉強とは大きく異なる。だから、いいのかな、この流れでも。いや、でも10kgで本当に重いって思うのか?


何かもっと重いものを持ち上げられたら…!!



調べてみると、車などの巨大なものをてこを利用して持ち上げる方法などが出てきた。できたら楽しそうだが、あまり現実的でない。そして、一つのアイデアにたどり着く。

「大人を持ち上げる。」


考えた新たな流れはこうである。

◆「この中で、先生を持ち上げる自信がある人?」と聞く。→無理
◆実は、それが簡単にできる道具がある!とてこを紹介。
◆誰かにやらせてみる。が、軽く持ち上げられない位置に支点・力点・作用点を設定してあるために持ち上がらない。
「あれれー?おっかしいぞー?」(コナン風)
◆各グループでどうすれば楽に持ち上げられるか、10kgの重りで実験。
◆全体で発見や疑問を共有。
◆発見をもとに、もう一度先生を持ち上げられるか挑戦。

大人を持ち上げる用に使った道具は、バドミントンネットの支柱・3mの鉄パイプ・その2つを連結させる部品である。

単管クランプというらしい

鉄パイプ、地域の方に頼んだら、なんと2時間で持って来てくださった。これはもう後には引けない。


ということで、腹を括った高学年部。人間持ち上げてこを作成!

音楽の先生を片手で持ち上げる私。これが、授業5日前である。。。






さて、本番の授業はどうだったかと言うと…↓


「先生を簡単に持ち上げられるという人!」という発言に、ちょっとお調子者の男子が手を上げる。そして、案の定全然持ち上がらない。笑。

巨大てこ登場。みんな驚く!!!

が、楽に持ち上がるらしいてこでも、やってみたら全然先生は楽に持ち上がらない…(この時点で「もっとあの長さをさ…」のような意見が少し聞こえてくる。)

ちょっとみんなもやってみて!

これの位置を変えると…
あ!めちゃくちゃ軽い!この砂袋だったら指1本でもいける!
ねえねえ、こうするとすっごく重くて全く持ち上げられないよ!


おおおー。
すでに知っている組も初めて組も、みんないろいろと試してくれた!!!


そして全体共有。
まあ、ここは私の力量の無さによりうまく話を運べなかった…

じゃあ、みんなからこんな仮説が出て来たので、この後の授業できちんと条件などを決めて実験していこうね。

最後に…みんなの意見をもとに設定を変えてもう一度先生持ち上げチャレンジしてみる?

最初のお調子者男子にやってもらうと…今度は楽に持ち上がったー!

終わり。






研究授業だからできたことなのかもしれないし、地域の方の後押しがあったから踏み切れた挑戦だったとも思うし、肝心の全体共有で私がしくじってたしと、反省や疑問はあるものの、

「てこを知っている子も知らない子もみんな、興味をもってほしい」

という想いは叶えることができた授業だったと思う。



ギリギリまで悩んで考えてやってみたからこそ、今でも思い出深い授業のひとつになっているのだ。

そして私は今でも、てこの授業が好きー!



#教員エッセイ
#授業実践記録
#てこのしくみとはたらき
#6年理科

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