崩壊する組織の6つの共通項
昨今では「人手不足倒産」という言葉が生み出されるほど、多くの企業が採用に躍起になっています。企業側の求人意欲が著しく低かった2009-2010年頃に比べると前向きではあるものの、この人手不足倒産という言葉には、私個人としては変な違和感を感じます。
そもそも、仮に従業員が100名いるA社という会社があるとして、
・100名分の社員の能力が発揮できていない
・年に20-30名も辞めてしまうような組織が多い
というのが実情です。
人を採用する前にやることがある。
だから、人が足りないのです。
仮に元々持っている「1」という能力を全員足し合わせば、少なくとも「100」になるはずが残念ながらなっていない。本来の能力を活かしきれないのは、採用時、入社後の時点で問題があったり要因は色々あります。しかし、それを放置することが、どんどん人は辞めていく結果につながるのです。
なので、極論すると、人手不足の定義が間違っています。
これは人手不足ではなく、組織崩壊として捉えるべきだと思っています。
であるならば、今企業がすべきことは、 社員一人ひとりが持っている潜在能力を引き出し、足し算ではなく掛け算で組織を作っていくこと。そして、今の時代ではある程度人が辞めるの仕方ないととして、残って欲しい人に残ってもらうような施策を押し出していかなければなりません。
それができない企業は、今はよくとも、2020年五輪以降の景気悪化に伴い、凋落の一途を辿ることになるでしょう。
今回は、私が今まで見てきた崩壊する組織に共通する6つの事項をあげ、今後の企業選びや自身のキャリアに活かしてもらう内容にしています。
参考になれば幸いです。
”崩壊する組織”の6つの共通項
1. 沈黙する
2. 浮かれる
3. 面従腹背する
4. 麻痺する
5. トップが変わらない
6. 批判ばかりする
書いてあることは当たり前のことばかりです。こんなのやったらダメでしょ笑?と。ですが、企業が順調に業績を伸ばしていくと、いいところばかりに目が向き、崩壊する組織の前兆に気がつかないケースが多いのです。
よくいえば、見ないようにしているということでもあります。
業績が拡大していく中、”成長痛”は当然ながら発生します。その小さなことを気にしていていては成長が阻害されてしまうかもしれませんし、経営者としてはより前を向きたいのは当然です。
ただ、今のこの優秀な人材を採用しにくい状況ならば、いかにして既存社員のポテンシャルを最大限活用し、優秀な人には残ってもらうということが重要視されている中で、組織に関係することは、”成長痛”とは言い切れないと考えています。
一つ一つ補足していきます。
1. 沈黙する
創業者がゼロから事業を立ち上げ、今も実権を握っているオーナー企業でよくありがちなこととして、沈黙することが挙げられます。
創業者が出ている会議では誰も話さない、トップの意見に誰も逆らわない(逆らえない)など。創業者はよくも悪くも馬力がありますから、言動が厳しくなったり、自分の成功体験があるがゆえに絶対に意見を曲げないケースもあるので、ある程度は仕方ない面もあります。
しかし、会議で決めたことをトップがひっくり返す、その後、社員は沈黙するようになる...というパターンになり、会議で決めたことを実行するという当たり前のことができなくなったら、組織完全崩壊の一歩手前です。
2. 浮かれる
業績が拡大し、人員も増えてくるようになると、実情は経営的には厳しいものの、大きくなっているがゆえに成長していると勘違いすることがあります。これは社長に関わらず、全社員が該当します。
これをうまく魅せるのが広報の仕事ではありますが、特に中小企業が大企業になったと勘違いしたのか、拡大に浮かれ、発言や行動が偉そうに振る舞うようになったら、それは日々の言動にあらわれます。
特に組織のリーダーになれば、周りから見られることも多くなります。そうなればその言動がすぐに伝播し、謙虚や尊敬の欠落したリーダーからは、お客様だけではなく、関係者やパートナーは徐々に離れていきます。周りへの感謝を忘れ、拡大させてきたのは自分だと浮かれると、社員もどんどん離れていき、組織が崩壊していきます。
3. 面従腹背する
辞書を引いていただけるわかりますが、意味は、「表面だけは服従するように見せかけて、内心では反対すること。」です。1の沈黙するとも関係しますが、総論賛成、各論反対が、組織内に蔓延することです。
嘘のような本当の話で、
「申請が回ってきたら承認したけど、本当は承認していない」
というわかりやすい例もあります。
(web上では形だけ承認したけど、紙で回ってきてないから、とか、印鑑は斜めに押していてこれは承認とは言わないとか...最初は驚きました)
会議での議案が多くなったり、組織が大きくなると、ある程度の総論賛成、各論反対はあって当然ではありますが、上の顔色と周りへの体裁だけを気にして、組織に対して誰も向き合わなくなったら、崩壊へ転がっていきます。
4. 麻痺する
異常な状態が普通となり、何もおかしいと感じなくなった状態です。
ハラスメント、コンプライアンスだとよく起こりえますが、特に新入社員として入った方は要注意です。中途で入った方ならば、入った瞬間におかしいことに気づき、すぐに辞めることもできますが、新入社員は良くも悪くも会社を知らないがゆえに、異常な状態を普通を認識してしまうのです。
前述の1-3のようなことが当たり前に行われていて、意見を言えず、でも辞めることもできずの場合、気がつけば麻痺してしまっていることもあります。
5. トップが変わらない
今の時代、現状維持=後退と言っても間違いありません。
トップが、これからみんなで会社を変えていこうと言いながら、
「変わるのはお前たち社員であって、自分はもうOK」
というケースは、成長が鈍化している企業では多くあります。
人が成長するのに一番必要なのは、フィードバックです。
ただ、フィードバックは正直耳が痛い。誰しもがいいところだけ褒められたい。トップ自らがフィードバックを受け入れを拒否している企業は、自らの成長を止めているのと一緒。
トップが変わらないような企業は、崩壊寸前です。
6. 批判ばかりする
誰しも弱みや欠点があって、そこを指摘するのは簡単です。
しかし、人のせいかと責めるのではなく、この先どうすればよくなるか、なぜ、なぜ、なぜと考えていくことをしないと、誰もが社内で起こっていることは他人事になってしまいます。
もしリーダーであるならば、批判によるマウンティングをするのではなく、チームを鼓舞することをしなければ、組織は崩壊します。
以上です。
終わりに
今や時代を追いかけるだけの組織は衰退していきます。
自分という商品をその会社に投資する以上、沈みゆく船には乗りたくないものです。
もちろん、社内でその崩壊を止めたり、会社をもっとよくしていくという動きは大事ですし、自身の小さな行動一つ一つの積み重ねがが、会社を大きく変革させることができるのもまた事実です。
最後になりますが、4月になって転職活動を積極的に進めている人も多いと思いますが、面接で必ず確認した方が良いことをアドバイスします。
1. 会社全体、もしくは部の掲げるビジョン、ミッションは何か?
→組織のトップ(経営者、もしくは役員クラス)が掲げるビジョン、ミッションに自分が共感し、自分自身の身体を張れるくらい魅力的なものか。
2. リーダー自身がどのくらい身を投じているのか?
→口先だけで高い目標を設定していないか、また上から指示されたものだけを伝えているのか、周りを鼓舞するような目標にしているのかどうか。
参考にしていただけると幸いです。
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