毎日唱えることば

【2024.4.11】

夫が起きた気配で目を覚ますと、ちょうど胃のあたりに重みを感じて「よしよし、いるいる」とうれしい。

去年10歳を過ぎたねこ。それまでの超健康優良児ぶりはなんだったんだ!と思うくらい、この1年で大きな病気を立て続けに2つもやって以来、彼女が毎日ちゃんと生きていて健康であることが、よりいっそう大きな意味を持つようになった。

眠る前には「また明日ね」、起きて姿を見たら「また会えたね」。ねこに向かって呪文のように毎日唱えることばは祈りだ。

今日も会えてうれしいから頭をなでてあげようねぇとさすったそれは尻で、ねこがわたしに尻を向けて鎮座しているのだなと分かる。

ねこが尻を向けるのは、その相手を「守ってやらねば」と思っているからだという専門筋の見解をわたしは信頼している。特に人間などというのは無防備に四肢を投げ出し口をぱっかり開けて眠りこけていて、ねこから見れば危なっかしくてしかたないだろうな。

朝から取材があるので、布団から這い出て身支度をし、淀屋橋へと向かう。

現場で編集さんと落ちあい取材。今日はカメラマンさんが来ないタイプの仕事なので自分で撮らねばならず、撮りこぼしのないようアドレナリンをドバドバ放出して集中する。

目と脳をかっぴらいて取材するうち、毛穴まで開いた気がする。なんとか終えて、ちょうどお昼どき。

せっかくなので美味しいものを食べて、このあと即納の原稿にとりかかる自分を鼓舞しようじゃないかと、よさげなお店を見繕う。

Googleマップで近くにデンマーク料理のお店があるのを見つけ、もの珍しさから足より先に気持ちがそちらへ向かう。

とくべつ目立つものもなく、(きっとこの先なのだろうな)と期待させる程度のつつましやかな看板が建物の奥へと誘う。こんなところに...と驚くような場所にも関わらず、待合の椅子で何組かの客が待っている。

世の人たちはこういう情報をよく知っているのだなぁと、グルメ雑誌に携わることもある身としては感心している場合ではないのだけど、やっぱり感心してしまう。

デンマーク料理というものとの出合いがおもしろく、終始興奮しっぱなしで食べ終えて、おとなしく帰宅。

ちゃんと原稿を納めて、えらい。

明日から島根へ行く仕事があるので、日付も変わろうかというころになって荷物を詰めはじめる。スーツケースが出てくる=飼い主がしばらくいなくなることを理解しているねこが、「由々しき事態!」と落ち着きをなくす。

ちょっと目を離すと毎回決まって衣類や洗面道具に混じって行儀よく収まりにくるので、毎回決まっていっそこのまま一緒に連れて行ってやろうかと思う。

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