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向いてる仕事、向いてない仕事

ラフを書かなくてはいけないのですが、あまりにも「うーん」ってなる時間が多すぎるので、文章を書いて吐き出します。

私はもともと、編集プロダクション出身です。なので、企画立案から取材交渉、編集として取材の立ち会いもすれば、編集としてもライターとしても取材に参加することはあるし、記者会見なら撮影もします。そこからラフも引くし、写真セレクト、デザイン考案、ライティングもするし、校了作業もします。昔の編集プロダクション出身者なので、いうなれば「何でも屋さん」です。印刷して製本することと、プロのカメラマンのように美しく撮ること、プロのデザイナーさんのように魅力的なデザインをすること以外は、大抵のことはやってきました。

だから、原稿を書くことも嫌いじゃないし(むしろ好き)、全部自分でやっていいなら、全部自分でやりたい人間です。そして、そのすべては、お金を払い、その雑誌を手にしてくれた方々へ、少しでも幸せな時間を過ごしてほしい。それに尽きます。そして、それによって会社に利益を上げること。雑誌なんて、買ってくれる人がいなければ、成立しません。広告とかたくさんのファッション誌は、多少は違うかもしれないけど。そして、読者が喜んでくれることが、回り回って、会社に利益をもたらすものだ、と私は考えてきました。読者が喜ぶ→また買いたいと思う→その雑誌のファンを増やす→必ずお金を落としてくれる。読者の喜びに応える。私がやってきたこと、大切にしてきたことは、ただそれだけなのです。

だからきっと、私は甘いのかもしれません。もっと、鬼みたいな形相で、お金のことを考えれば、きっともっと違う利益の上げ方があるのだと思います。でも、あいにく、私は、数字が得意ではありません。どちらかといえば感情で動きたいし、何にお金がついてくるかっていったら、最終的には気持ちなんじゃないのと思うこともあります。きっと、そうじゃないことが多数のなのも、わかっています。でも、お金のことだけ考えているのは嫌だから、いつまでたっても貧乏なのかもしれません。

でも、今の仕事は、クライアントありきの話なので、読者やユーザーのことを第一に考えるだけでは成立しません。クライアントの要望を叶えることも仕事です。もちろん、それだけを叶えればいいいなら簡単ですが、最終的には、ユーザー獲得がメインなので、ユーザーが喜ぶものを提供すること、も叶える必要があります。

何が難しいのか。クライアントはユーザーのことを考えてないからです。普通、利益を上げたいなら、ユーザーのことを考えるべきだと私は思います。でも、自分たち(この場合はクライアント)がしたいこと、が優先され、それがユーザーに刺さるようにしてくれ、というのが、どちらかというと我々に課せられた仕事です。それでも私は、それをなんとか実現したいと思うけれど、【自分たちがしたいこと】を優先されると、とても難しいことが多々起きます。

ユーザーの興味は引きたいけど、お金はかけたくない。この方が自分たちは面白いと思う。定型を破りたくない。冒険はしない。安定を求めたい。面倒くさい。簡単にユーザー数を増やしたい。

受け手のことを考えていないのです。自分たちさえよければいい。お金をかけずに利益を上げることだけを優先したい。そして面倒なことはしたくない。そんな馬鹿な話があるでしょうか。相手への思いやりがないものを、どうやって「これはステキですよ」「これは便利ですよ」「これは面白いですよ」と宣伝すればいいのでしょうか。私には、理解ができません。

自分を犠牲にしても、他人が喜ぶものを提供できれば、本望だ。と思っている私に、自分たちさえよければいい人たちの利益追求を後押しするようなことは、なかなかに苦痛で難しい仕事です。つくづく、向いてないなと思うのです。仕事だから、できる限りのことはやります。お金をもらっているわけだし。会社員だし。

だけど、編集者としてこれでいいのかと思うことはたくさんあります。読者に喜んでもらいたい。私が、そうだったように、一瞬でも、そのページを開いてるときだけは、嫌な現実を忘れる時間を過ごしてほしい。

毎日毎日、深夜3時まで働いても、終わらないこの仕事は、誰かが喜んでくれるなら救われるけれど、誰にも喜んでもらえないなら、何をしてるんだろうと、思うのです。

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