スマホが生理?
◆スマホが生理?
「すみません。今日は生理で調子が悪いので休ませてください」
スマホ片手に、姉は会社に休みの連絡を入れた。
「スマホでもいじるかな。あれ? 今日は調子がおかしい……そうか、スマホも生理モードなんだ」
生理モード? スマホに生理なんてある訳ないだろ、と一瞬思った。いや待てよ。本当に生理こそないが、スマホにだって調子の悪い時があるのでは? それで生理モードと言っているのかもしれない。姉に聞いたところ、答えは半分正確で半分不正解だった。
生理モードは不具合でもバグでもなく、スマホの立派な機能だという。スマホにあらかじめデータを入力しておき、生理期間に入ると生理モードに切り替わるという。生理モードになると、一部の機能が使えなくなったり、一日の使用時間に制限が設けられたりする。理由はスマホの使い過ぎを防ぐことで、心身の健康を守るため。特に生理中は、そうでない時よりもデリケートで体調を崩しやすい。
「私と同じように、スマホも毎日頑張っているもんね。仕事の時も、遊びの時も、料理の時も、眠っている時も、充電している時も、休まず働いてくれる。たまには一緒に休もう」
◆スマホが反抗期?
「俺、反抗期だから学校休む!」
息子は自分の部屋へ戻ると、スマホ片手にベッドに寝そべった。
「今日はスマホで遊ぶぞ! あれ、スマホが俺の思い通りに動かない!」
息子が困っていると、母親が部屋の中に入ってきた。
「スマホは今、反抗期なのよ」
「反抗期!? どうして、スマホに反抗期はないはずなのに!」
「そうよ。実は反抗期モードになるよう設定しておいたの。あなたがろくに学校に行かず、スマホで遊んでばかりだからね」
「だったら反抗期モード、解除してよ」
「ダメよ。私が解除しても、スマホは嫌がるわ。あなたがスマホで遊んでばかりだからスマホは十分に休めなくて、あなたの言う事を聞くのが嫌になったのよ」
「じゃあ、どうすれば良いの?」
「簡単よ。スマホを休ませてあげれば良いの。スマホが休んでいる間に、学校に行ったり勉強したりお手伝いしたり、要は他の事をすれば良いのよ。そうすればスマホも、きっとあなたの言う事を聞くようになるわ!」
「しょうがないな、学校行ってくるよ」
その日、息子は大人しく登校した。
「スマホだって頑張り続ければ、ストレスが溜まるわ。誰だってストレスが溜まり過ぎると頑張れなくなるもの。スマホを使う時はせめて、暑すぎず寒すぎない快適な仕事環境にしてあげましょうね」
◆スマホのアップデート!
「勉強しようと思っても、ついついスマホをいじっちゃうな」
いつものようにスマホをいじっていると、ソフトウェアアップデートのお知らせが。主な変更内容は、複数のバグの修正や新しい便利アプリの追加などだった。
インストールが開始されると、画面が真っ白になり、真ん中にロゴが表示された。画面のどこを押しても反応せず、何もできない。インストール完了までの三十分間、ずっとこの画面のままなのか。
「お前、アップデートっていう言葉、知ってる?」
唐突に先輩から質問を投げかけられ、いつもの癖でスマホで調べようとしたが、スマホは今使えない。
「システムや情報を最新のものにすることだ。お前のスマホ、今アップデートしてんだろ? この機会にお前も自分自身をアップデートさせたらどうだ?」
そうだ。人間だってスマホなんかに負けていられない。体も、心も、知識も、色々アップデートしていかないと。
人間とスマホ、果たして勝つのはどっちだ!?
「人間とスマホのアップデート競争、スタート!」
おわり
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