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【春休みの思い出】子鉄の一人新幹線デビューは8歳でした

特別設定したつもりはないのだけど、時々スマホに数年前の写真が表示されることがあって、懐かしく思い出したりする。数日前、5年前の今日の写真が表示された。あぁ…懐かしい…!息子はまだ小2で8歳になったばかりだった。5年前の春休み、私の実家の最寄りの新幹線駅までの1時間ちょっと、息子は一人、新幹線に乗って旅立っていった。

「可愛い子には旅をさせよ」への憧れ

従兄弟の子が、小学校に上がるか上がらないかくらいの時に、高速バスで一人で東京から山梨まで帰省した話を聞いたことがあった。子どももすごいけれど、送り出す親の度胸がすごい!と、当時、母と話した。私にはまだ子どもがいなかったけれど、「かっこいいなぁ…」と心に残っていた。
息子が生まれて、電車好きになって、家族でよく電車で出かけた。小学校に入った頃から、息子は一人でも電車に乗りたがったけれど、私が怖くて行かせなかった。「あの子はもう、この時期一人で県外の祖父母のところに行っていたんだな…」と思い出して迷う気持ちはあったのだけど、怖さが勝って決断できなかった。
息子が小2の冬、春休みの計画を立てていた時に突然思い立って、ほんの軽い冗談のつもりで「一人で新幹線に乗って、ばあばの家に行ってみる?」と訊いた。息子は「行きたい!」と即答。まさか…。なんだかんだ言って、慎重な性格の息子。いざとなったら、尻込みすると思っていたんだけど…。

本格的に相談&調査開始!一人で新幹線に乗るのは何歳から?

実家の母に息子の反応を伝えると、「本当に?」と驚いて、「来れるならすごいけれど、よく考えて」と。夫も「行けるのかな…」と半信半疑。けれど、息子はやる気満々。「軽い気持ちで言っちゃったから、ちゃんと調べるね。ちょっと考えさせて」と息子に伝えて、私は悩む、悩む、悩む…。車掌さんに頼めるのかな?と思って調べたら、そういうサービスはない。「新幹線 子どもだけ」「新幹線 一人 子ども」「小学生 新幹線」など、来る日も来る日も検索しまくった。
・子供だけでなんて、考えられない。もっと大きくなってからにしたら?
・昔は可能だったけれど、今は変な人が増えているので危険
・騒いだり、マナーが悪かったら迷惑

反対意見がたくさん目についた。うん、そうだよね。ごもっとも。やめておこうかな…。でも、時々、こんな意見も目に入る。
・子供によるのでは?
・小さいから危険と言うのなら、いつからなら大丈夫なの?
・いい経験になる。必ず成長する機会になる

確かに…。来年になっても再来年になっても、初めての経験に「絶対に大丈夫!」と胸を張って言える日は多分来ない。ならば、いずれにせよ「大丈夫かも…?」くらいでやらせるしかないのでは?それはいつだ?息子の気持ちに勢いのある今じゃないの?…よし、行かせよう。1か月くらい迷いに迷って私は腹をくくった。

本当に一人で大丈夫?意思確認と言い聞かせは念入りに

「行ってもイイよ」と息子に伝えると同時に、「小さい子供のあなたがひとりで新幹線に乗ることには、かなりの挑戦だよ。危険だと思う人も多いし、反対意見もたくさんある」と伝えた。何かあっても、お父さんもお母さんもいない。降りる駅を間違えないように自分がしっかりしないといけない。マナーが悪かったり危なかったりしたら、普段はママたち親に責任があって、怒られたり白い目で見られるけれど、一人で行くならあなたが直接注意される。責任が伴うってこと。それでも大丈夫?何度も何度も確認したけれど、1度だって息子の気持ちは揺るがなかった。

当日までの準備とグリーン車

東京駅から私の実家の最寄り駅までは、1時間ちょっと。東京駅のホームまで送って、最寄り駅のホームで母に待っていてもらうことにした。言い聞かせてはいたけれど、座席でキョロキョロしてしまったり、体を動かしてしまう可能性も考えて、シートがゆったりしているグリーン車を選んだ。
何かあったら、車掌さんや駅員さん、近くの大人に訊きなさいとは口を酸っぱくして伝えていたけれど、万が一の時に直接連絡が取れるように、この機会にスマホを持たせて、少し前からラインなどで連絡を取る練習をした。
「全然大丈夫!ただ座っていくだけだもん!グリーン車に乗れるなんてラッキー!」なんの不安もなく、ただ楽しみなだけ…な数週間を経ての前日、初めて息子に緊張の色が見えた。でも、「緊張してるだけ。大丈夫」と。

いよいよ出発!想定していなかった事態にあたふた

当日は、出発の10分前くらいにホームに到着。最初は笑顔が見えていた息子だったけれど、徐々に笑顔が消えて、口数が減り…相当緊張しているのが分かった。
「さぁ!そろそろ新幹線に乗ろうか」
大きくコクリとうなずく息子。言葉はなくウルウルの涙目。えっ?この期に及んで?…でもそうか…。それまでの威勢のよさから、すっかり親の方が安心してしまっていたのだけど、よくよく考えたら、「一人」の経験自体が初めてみたいなもの。そりゃ、心細いよね(>_<)こっちも混乱しつつ冷静を装い、あまりに不安そうだったので席まで見送りに。隣は空席だった。
「予定通り行ける?」と夫と声を掛けたら、まさかの大粒の涙。ここにきて、心細さはピークに。でも、後ろ向きな発言は一度もなく、泣きながらも一人で自分の気持ちと闘っている姿は頼もしかった。そして、私と夫は車外に。出発の瞬間は、真っ赤な目で前を見据えたまま、手だけをこちらに向けたバイバイ。いろんな気持ちを噛みしめながら、それでも前を向く息子の姿に胸を打たれた。新幹線は定刻通り出発した。

体感3時間!?過去最長の1時間ちょっと

まさかの涙の出発。母にすぐ電話をして、事情を説明。もしかしたら、不安で泣いているかもしれないから、到着の時にすぐに会えるよう遅れずにホームにいてほしいとお願いした。息子とは、時々、LINEを送り合う約束をしていたけれど、メッセージを送っても既読にならない。まだ泣いているかな?周りの人に迷惑かけていないかな?疲れて寝てしまったりしていないかな?心配は次から次へと浮かんでくる。無事の連絡をもらうまでは…と、東京駅で待機しながらの1時間ちょっとは、3時間にも5時間にも感じた。
到着時刻になり、母と息子から「無事についたよ」の連絡がきた。脱力…

小2の約一時間一人新幹線デビューはどうだった?

私:息子よー!大丈夫だった?
息子:え?何が?席に座っていただけだよ。
私:えっ、ちょっ…!だって出発の時、泣いてたよね…?
息子:あ、それね。そりゃ、不安にもなるよ。でも、すぐ大丈夫になったよ
私:隣の席はずっと誰も来なかった?
息子:来たよ!それがさ、その人さ、途中でゆで卵食べ始めたんだけどさ、卵剥くのがすごい早くてさ!ほんと、すごかったんだよ!
私:…えっ?…そっか…。ばあばに代わってくれる?
  どうだった?大丈夫そうだった?
母:出発の時、泣いてたって言ってたから、心配してたんだけどすぐにニコニコ降りてきて、全然へっちゃらだったよ!着いた瞬間、真っ先に隣の人がゆで卵剥くのがすごい早かったって(爆笑)大興奮してて。泣いてないか心配して、損したわ~
…ということで、私の1時間、いや体感3時間を返せー!という気もしないでもなかったけれど、無事に着いてめでたしめでたし。そんなもんかも^^;
翌日、自分の帰省も兼ねて、車で実家に迎えに行ったのでした。

大きな一歩!大冒険のビフォーアフター

結果論になるけれど、体が小さい8歳になりたての小2男子でも、一人で新幹線に乗るという冒険ができました。(5年前)
結局、「いつ」に正解はなく、子供にやる気があって、親に行かせる覚悟が持てたタイミングがそのご家庭のベストなタイミングなのだと思います。
そして、この冒険のあと、息子は「一人で電車に乗る」というちょっぴりドキドキが伴う経験の虜になっていきました。距離を少しずつ延ばし、回数を重ねていきましたが、きっかけになったのは間違いなくこの時の経験。この冒険が、その後につながる大きな一歩だったのは間違いありません。息子にとっても、親にとっても…。

春休み真っ最中なので、このような挑戦を考えているご家族もあるかも?と、当時のことを思い出しながらまとめてみました。私や息子にとって、今ではとてもいい思い出です。「正解」がないことなので、たくさん悩むと思いますが、一例としてどなたかの参考になれば幸いです^^


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