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【第4弾】”アステリア株式会社”のマーケティングトレース

ご訪問ありがとうございます。管理人です。
今回も早速、学生達の成果物を紹介していきます。


なお、前回の記事はこちらです。ぜひお読みください。


第4弾としてピックアップする企業は、「アステリア株式会社」です。
普段聞き馴染みのない社名かもしれませんが、同社が参入する市場におけるシェアNo1を獲得する実力を持った、東証プライム上場企業です。

それでは、一体どんな事業を手掛け、どのようなソリューションを提供している企業なのか。マーケティングトレースで明らかにしてきましょう。



1.会社概要


まずは、会社概要です。

設立は1998年。当時はまだインターネットが勃興する前でしたが、先見の明で「インターネットを通じてあらゆるシステムが繋がる世界」を見通し、いち早く社内システムに関連したソフトウェア開発事業を立ち上げたのがアステリアです。

特に、主力製品である「ASTERIA Warp」シリーズは、導入企業が約1万社、国内市場シェアNo1の輝かしい実績を持っています。


「ASTERIA Warp」の説明については、上記スライドにて学生達が端的に分かりやすくまとめてくれています。

ASTERIA Warpとは、組織の内部・外部に点在する各種データを”ノーコード”で連携できるツールであり、業務の自動化・効率化に寄与する画期的な製品です。

ここで特筆すべきは、”ノーコード”という特徴でしょう。
Society5.0時代に突入した現在、私たちの身の回りには革新的なIT技術と先進的なテクノロジーが溢れ、それらが日常生活や仕事をより快適にしてくれる期待を、誰しもが抱いていると思います。
当然その期待は誤りではありませんが、テクノロジーを通じた快適な環境の実現のためには、あらゆる場所に”仕組み(システム)”を構築する必要があります。では、その仕組みをどう構築するか?
それは、ITエンジニアと呼ばれる人たちが、ステークホルダーのニーズを引き出し、要件定義を行い、その内容をもとに独自のシステムを開発することによって実現されます。換言すると、一から課題を解決するためのシステムを開発するためには、専門家によるソースコードの記述が必要となるため、「誰でも、簡単に」理想とする作業環境を創り出すことは難しいのです。

そうです。もうご理解いただいたかもしれませんが、
コード無くして、「誰でも、簡単に」仕組みを構築できる方法、それが”ノーコード”なのです。

ASTERIA Warpは、豊富なテンプレートを用いたりアイコンを操作したりすることによって、直感的に仕組みを構築できるツールという事です。

2.選定理由


前節にて、アステリア株式会社が提供する製品の特徴について説明しましたが、ここであらためて「なぜアステリア株式会社をマーケティングトレースしようと思ったのか」をお話ししましょう。



選定理由について、マクロな視点からはAI・クラウド市場の拡大予想が挙げられます。これに関しては、想像に難くないでしょう。IT技術は日進月歩で発展しており、アナログからデジタルへの移行は急速に進み、ビジネスモデルの在り方自体も変革するDV(デジタルトランスフォーメーション)を求める機運が高まっています。この状況下では、大きく成長する産業として、IT産業が真っ先に取り上げられるでしょう。

ミクロな視点では、脅威の「営業利益率」の存在があります。2022年度の決算では、なんと営業利益率116%…。これはとんでもない数字で、営業利益が売上収益をも上回っていることになります。業界ごとに差はありますが、平均的には営業利益率10%以上で、概ね高水準と評されます。そう捉えると、アステリアがたたき出した数字は、まさに異次元です。

その背景には、ソフトウエア事業の好調さと、先の会社概要スライドにも記載している企業投資事業の成功があったようです。

今回は、その中でも特にソフトウエア事業に焦点を当てて、成功を盛り立てた要因について、フレームワークを用いて詳しく分析していきます。


3.フレームワーク分析

3-1. PEST分析


まずは、PEST分析でアステリアの外部環境要因について分析します。

分析結果より、IT技術の重要性が増している背景が理解できるとともに、慢性的な人手不足によって、専門的な知見がなくとも”誰もがプログラムを構築できる”方法が求められていることが読み取れます。そこで、同社が提供するノーコードのシステムが活きてくるというわけです。


3-2. 5Forces分析


次に、5Forces分析から競合他社ならびに取引先との関係性について紐解きます。
まずは、競合他社の脅威を確認しましょう。ノーコードのシステム開発分野で比較すると、直接競合となりうる企業、新規参入し始めている企業の存在がうかがえます。したがって、独占的に同社が市場をロックインしているわけではないといえます。
取引先との関係はどうでしょうか。まず買い手となりうるのは、広く企業全般です。つまり、買い手の交渉力は低く、同社にとっては優位な状況であるといえそうです。一方、売り手としては、システムを構築する人手としてのIT人材だと解釈すると、専門的なスキルを持つIT人材は他社との奪い合いになることが予想されるため、売り手の交渉力は高いと考えられます。
とはいえ、他に取って代わる代替製品もほとんどみられないことから、総じて、同社は市場をコントロールできるプレイヤーであると考えます。

(こちらは競合他社の詳細情報です)

3-3. 3C分析


競合他社と取引先の関係性がみえてきたところで、あらためて顧客に対する同社の強みを確認しましょう。
上の3C分析より、大量のデータを的確に取り扱いたい顧客ニーズに対し、競合と比較すると「圧倒的なシェア率」「認知度」「対応するデータソースの種類」などで優位性をとれていることが分かります。

3-4. STP分析


競合他社との差別化に関して、ポジショニングの観点からも分析を行います。「ユーザビリティ」と「対応データソースの種類」の2軸で評価を行った結果、同社は使いやすさと豊富なソースの数で競合他社との差別化を実現させていることが読み取れます。


4.分析・考察


ここまでの分析結果を整理し、「分析の分析」も行いました。
(分析結果を深堀りするアプローチがgoodです by教員)

まずマクロ環境分析から、技術ニーズの高まりに人材の創出が追い付いていない点を指摘し、ミクロ環境分析より、簡便で使いやすく多様な要求に応えられるコードを生成するシステムを、競合他社以上にアステリアが対応できていることが明らかになりました。


以上が、分析結果のまとめです。

現状は、市場のトップランナーとしてのポジションを確立できているアステリアですが、ユーザビリティ・ソースコードの種類などを、競合他社が今以上に整えてくると、最終的には価格勝負となり、提供価値の減少や市場全体がシュリンクすることに繋がりかねません。
これからも同社は、海外市場を拡大するといった手立てを講じ、時代に求められる製品を、適切な価値にして提供し続ける役割があるでしょう。




≪教員コメント≫

BtoBのソフトウェア開発企業という事で、普段の日常生活ではほとんど触れられない概念や用語が多く、非常に難易度の高い分析活動だったと思いますが、市場のニーズの的確な把握と、要点に絞った競合他社の分析、そこから導き出されるアステリアの強みについて、とても分かりやすく整理してくれたと思います。私も勉強になりました。



≪参考文献≫

ASTERIA株式会社ホームページ
【2023年】データ連携のおすすめ10製品(全42製品)を徹底比較!満足度や機能での絞り込みも (itreview.jp)
ASTERIA Warp 関連ドキュメント:目的で探す|データ連携ツール「ASTERIA Warp」|EAI/ESB国内シェアNo.1|アステリア
データ連携ミドルウェア「ASTERIA Warp」の特長|データ連携ツール「ASTERIA Warp」|EAI/ESB国内シェアNo.1|アステリア
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