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勢いで仕事を辞めた、私の最終出勤日

寂しい。


最後の勤務を終え、職場を一歩出た私の気持ち。


会社の方針や考え方に納得できなくて、自分の中の大切な部分が削られてしまいそうで仕事を辞めた。けれど、一緒に働いていた人たちのことは大好きだった。

他愛もない、好きな映画や筋トレの話をし、小学生のように戯れ、この時間を何と表現するのが正解かわからない。”ただお互いを受け入れ、満たされた時間”がしっくりくる気がする。

別に、全てを肯定し合っていたわけではない。真剣な話を交わしていたわけではない。本当にただ、お互いの話を聞き流していただけだけど、理解できないところは理解できないと言い、違うと思ったところは違うと言い、素直に向き合っていた。それが、どうしようもなく心地よかった。

たぶん、私たちみんな違いすぎる人生を送ってきたから、お互いに興味なんてあまりなかったし、別に分かり合えなくてもいい、分かり合えないのが正解だと思っていたのだろう。

それでよかった。それがよかった。温かい時間だった。

だから、そこを離れるのはすごく寂しい。
でも、私たちはずっと一緒にいられるわけじゃない。いつか離ればなれになる瞬間が、今だっただけ。

この温かかった時間が、いつか辛くなってしまったときに私をそっと包み込み、背中を優しく押してくれると思う。


耳にイヤホンをして、藤井風の「旅路」を流す。風はもう、そんなに冷たくなかった。

また次の春がくる。

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