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ひとりPR会社を昨年起業した、植田聡子です。

都庁で生活協同組合の許認可を担当していた頃、大きな生活協同組合だけでなく、本当に小さい規模の生協の経営も多く見てきました。また、起業して以降、中小企業と働く機会も増えました。

中小企業の2パターン

小さな企業の中には「すごくキラリとしたものがある組織」と「いいものはあれど成長阻害要因がある組織」に分かれることに改めて気づきました。

すごくキラリとしたものがある組織」は見てみると、内部リソース(ヒト、モノ、カネ)をうまく活用しながらバージョンアップを繰り返しています。もちろん自社のビジョン、ミッションに大きな揺らぎはないのですが、新たな商品やサービスにも果敢に挑戦する姿勢があります。
「いいものはあれど成長阻害要因がある組織」にありがちなのが、業界内や別の業界だけでなく、提案や意見に対してなど、とにかくやたら「他を否定する」のです。

他社もしくは他者に対し
「あんなことはやりたくない」
「あんなことするなんて信じられない」
「くだらない」
「無駄だ」「新規性がない」

と否定の言葉ばかりが続きます。

一方、自社のサービスについては全く客観的に見ることができていません。自社と他社を「ひいき目」というフィルターを通して「好き、嫌い」で判断してしまうのです。

自社のサービスがどうしたら受け入れられるのか、そのためにはどんな顧客に受け入れてもらいたいのか、もしくはその人たちはどんなことを求めているのか、の双方の需要と供給を考えるべきなのですが、どうしても「自社の商品・サービスはかくあるべき」にこだわります。

もちろん時代の最先端に常に合わせていくのが正しいとは思いません。そのような価値観の人は、流行の移り変わりとともにその商品への愛着もあっという間に薄れてしまうので、「どのようにファンを惹きつけ続けるか」は常に考え続けることが必要です。

孫子の言葉で置き換えてみる

「孫子」はご存知中国の思想家、孫武が記した世界最古の兵法書。「孫子」の特徴は「精神論」に頼らないことが、「論語」との違い。先日の経営学基礎の授業で、先生から「孫子の兵法」についてビジネスで取り入れられる戦略的な思考として教えてもらった言葉がこれです。

彼れを知り己れを知らば、百戦して殆うからず。
彼れを知らずして己れを知らば、一勝一負す。
彼れを知らずして己れを知らざれば、戦うごとに必ず殆うし。

相手のこと(彼れ)も自分のこと(己れ)も理解していなければ、絶対に勝つことはできないという意味です。

では「彼れ」とは誰のことなのか?

ビジネスでは、競合会社だけでなく、社内の社員も顧客もステークホルダーも広く含めるべきだと思います。

事業を実施するには、自社のリソース、競合の動き、顧客の嗜好も含め、自社の経営理念に向かって戦略を立てていくことになると思っています。だから、競合会社などの「よくない点」だけに目を向けて「否定的な言葉」を繰り返す人というのは、実は「競合会社のどこはいい点なのか、何がどういう層に受け入れられているのか」に目が向いていないのです。

そして、「競合のよくない点」に注目してしまうので、「そこは自社が優っている」という錯覚に陥ります。もっと客観的に広い視野で「他の優れている点」にも目を向け、自社のリソースとの分析が重要なのです。もちろん経営理念ありきですから、他社がやってるからうちもやる、という否定しない代わりに考えもしないのは本末転倒ですが。

客観的に見るために必要なこと

良い会社は経営者とうまく役割分担をしている右腕の存在があります。

例えば、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」というビジョンで成長を続ける株式会社マザーハウス。代表兼デザインのトップはご存知山口絵里子さん。彼女のこだわりや思い、生き様も含め、多くの人に支持されています。

一方、彼女の右腕として副社長を務める山崎大祐氏は、かつてはゴールドマンサックスのエコノミストという経歴。デザインなどの右脳の山口氏、経営、財務などを司る左脳タイプの山崎氏によって、それぞれが役割を担い、企業として成長を続けているのだと思います。

トップがゼネラリストである場合はさておき、トップが何かに秀でている場合は特に、トップの不得手な部分をうまく別の人に振り分けることで、トップがなすべきことに集中させることが重要です。

また、その場合、トップに求められる資質として、右腕や外部の専門からの「客観的な事実把握と意見」について、聞く耳を持つことであると思います。

結局「全部自分でやらないとだめだ」と手放せない経営の場合、企業の成長も一定規模からは成長が鈍化するケースが多いです。人がひとりで24時間できる量はやはり限度がありますから。





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