リテンションマネジメントは離職率の問題ではない
こんにちは。Kiwi PR合同会社の植田聡子です。
昨日は第17回キャリコンの合格発表の日。合格率は前回より大きく下がっていて、勉強していない私はさらに怯んでいます。(じゃあ勉強しろよ、自分・・・)
個人的にキャリアの関心は高まっており、しかもビジネスにも繋げたいという思いもあります。PR×キャリア。だから、試験対策は最初の一歩。がんばります。
今日は「リテンション・マネジメント」について少しお話しします。
リテンション・マネジメント、どうして重要?
リテンション・マネジメント
優秀な社員ができる限り長く組織に留まって、その能力を発揮できる環境を作るマネジメント
社員の離職は、採用コスト、リーダー候補の喪失など中長期的な経営ダメージにつながります。中小企業の場合、中長期どころか、今日明日に直結する深刻なダメージとなりえます。
企業にとっての競争優位は「商品が市場で選ばれること」のみならず、「企業が労働市場で選ばれること」も大きく影響を及ぼします。
長く組織で働くためには、従業員と企業の間に「エンプロイー(従業員)エンゲージメント」、つまり相思相愛、相互理解があることが大前提です。残念ながら、日本企業の従業員エンゲージメントは世界でも極めて低く、なのに従業員ロイヤルティ(忠誠心)は高いのだそうです。
相思相愛でもなく、相互理解もしてないけど、忠誠心はある・・・
まるで家庭内別居・・・ジャパニーズサラリーマンの悲哀を感じずにいられません。
継続して働きたいと思っていない日本人
若手社員は「3年以内に転職したい」「この会社で続けていこう、と思う割合が低い」という報道はご覧になったことがありますよね。
前回のnoteでも記載しましたが、APACの14の国・地域の調査結果。
日本は
現在の勤務先で継続して働きたいと考える割合が最下位(52.4%)
転職意向のある人の割合も最下位(25.1%)
独立・起業意向のある人の割合も最下位(15.5%)
日本のビジネスパーソンは、今の会社も嫌だけど、転職も起業も希望していないのです。自分の考えを持たずに、今の組織に不満を持ちながら属しているのです。
リテンションマネジメントのために必要なことは、従業員にとって魅力ある企業であること。
1 会社の基盤に対する安心
2 理念や戦略への共感
3 事業内容への興味(将来性、成長性、競争優位性)
4 仕事の醍醐味(裁量)
5 組織風土との合致度
6 経営者の人的な魅力
7 施設や環境、制度や待遇への納得感
これ、ご自身の属する企業にあてはめてみて、いかがでしょうか?
離職率が低ければ大丈夫?
都庁の離職率について、公表数字があるのかわかりませんが、地方公務員全体では離職率は1%と、極めて低い数字です。
つまりこれは、リテンションマネジメントができているということ?
私の経験則で申し上げると、残念ながら答えはNo。むしろ「地方自治体」は「リテンションマネジメントをずっと疎かにしてきた」と思っています。
企業の魅力にある「会社の基盤に対する安心」「理念や戦略への共感」「事業内容への興味(将来性、成長性、競争優位性)」が強固すぎるゆえに、従業員が「自分の考えを持たずに、今の組織に不満を持ちながら属している」にすぎません。
離職率は低くとも、だんだん労働市場から選ばれなくなったら、人的クオリティーは下がっていくでしょう。労働力減少が余儀なし、一人当たりの生産性アップが必須の今、人材のクオリティが目減りしていくわけです。現に、国家公務員、キャリア官僚においては、東大法学部の受験者が減少しています。優秀な人材から選ばれなくなりつつあるのです。
離職率が高まってから手を打つのではなく、その前に自分の組織がどうあるべきか。
人材をどのように育てていくか、組織とのエンゲージメントを高めていくか、を真剣に考えるのが「働き方改革」の目指す姿です。残業が減った、有休とった、在宅勤務にしたという、点の施策では付け焼き刃ですよ。