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平安名すみれの「選ばれなかった」コンプレックスにこそ俺の魂は震える【街角ギャラクシー☆彡】感想

私は今、ラブライブスーパースターを履修している最中だ。そして先程4話【街角ギャラクシー☆彡】を見て、止めどない涙を流した。
それは喜びの涙であり、救済を願う寄り添いの涙でもある。

平安名すみれ、彼女はラブライブシリーズで最も私の性癖に即した生物である。外見の話ではない、彼女の在り方と心に根付いた巨大なコンプレックスが性癖である。
毎日用もないのにスカウトされることを夢見ていつもの通りをうろうろとし、一喜一憂する彼女の姿こそが私の性癖。あまりにもかわいいったらかわいいのよ。

【街角ギャラクシー☆彡】における彼女の姿がいかに私にとって美しく慈しむべき存在であったか。それだけが世界の全てだ。

「選ばれなかった」というコンプレックス

私がすみれちゃんを語る上で絶対に外せないもの、それは彼女の執着であり過去のコンプレックスだ。コンプレックス、即ち劣等感、私が愛して止まない属性の1つ。その最奥に彼女は触れている。
すみれちゃんは過去の何がコンプレックスになっているのか、それはセンター・あるいは主役になれなかったということへの未練や悔しさが根本にあることは本編を見れば容易に見れ取れる。だからこそ、更に踏み込んだ解釈をする必要がある。

彼女の根本、それは特別になれなかったこと。もっと言うのであれば誰からも選ばれることがなかった、という要因が最大である。
オーディションに出ても主役に選ばれることがなく、華々しい役を得られることはなかった。そんなコンプレックスが人通りの多い町中で群衆の中から選ばれる、スカウトされるという事実によって選ばれなかった過去を払拭しようとしている。
それらの行動、全てに付き纏う事実がある。すみれちゃんには決定権がないということだ。なぜならば彼女にとって選んでもらうことにこそ意味があるから。選ばれなかったことがコンプレックスになっているのだからである。

ここにこそ宇宙の神秘、いやギャラクシーの神秘は存在している。あまりにも愛おしい、かような生物が存在していることそれは奇跡。

本来ならばすみれちゃんにとって過去の努力の日々も決して忌むべき過去ではなかったはずだ。その証拠に彼女は昔の写真や動画を消せないでいる。過去に囚われているが過去そのものを消したいとは考えていないことを伺える。もしもグソクムシが忌まわしい記憶であれば動画を見返すことも、ぬいぐるみを取ろうとすることもないであろう。
だというのにそれらの過去は全て「主役に選ばれなかった」という事実によってコンプレックスへと姿を変えている。ここである、私の魂を震わす部分は。
美しかったはずの過去を本当に美しいものだったと肯定してあげられるだけの理由が彼女にはないのだ。だからセンターを得る必要が、スカウトされる必要がある。それによって初めて魂の救済は成される。

すみれちゃんを動かすものは承認欲求だとか自己顕示欲だとかそんなチンケなものではない。彼女は昔の自分を抱きしめてあげたいのだ。あるいはそれが下積みだったと、サナギの時間であったと言うかのように。今の自分で昔の自分にできなかったことを成し遂げることによって過去を肯定したいのだ。
心に根付いたコンプレックスを打ち砕くには、どんな手段でもいいからそれらを肯定する必要がある。

だから毎日スカウトされなくても諦めない、いや諦められない。なぜならばこびりついた過去のコンプレックスが原動力だから。承認欲求だとかその辺が目的であれば、とっくに諦めている。すみれちゃんの目的は自分自身の魂の救済、彼女はコンプレックスに押し潰されまいと足掻いて生きているのだ。
だから、あの雨の中で人も少ないのにいつもと同じようにスカウトを待って歩く姿を見て私は本当に心の底から彼女が愛おしくなり涙を流した。

すみれちゃんは孤独に戦っている、これは彼女の戦争だ。何よりも、グソクムシだとか木だとか脇役だった過去を否定したくないと想っているのがあまりにも愛おしい。見られたくない過去ではあるが自分自身で否定はしたくない、この繊細なバランスこそが圧倒的に美しい。
センターに映えるオーラだとかそういったものは先天的なものもある。だがそれ以上にすみれちゃんからは滲み出ているのだ、この溢れんばかりのコンプレックスが。
諦めかけた過去を乗り越え、今本当にやりたかったことに向き合うかのんと比べたら眩しさが違うのだ。
「そういう星のもとに生まれている」すみれちゃんの言ったこの言葉が全てだ、こういった劣等感からくる卑屈さ。こういったマイナスのオーラや原動力は大衆を惹きつけない。寄ってくるのは私のような拗れ性癖の化け物だけだ。

だからこそ、彼女の救済はかのんからの「スカウト」という形で行われる。雨模様だった空はかのんからのスカウトによって晴れに変わる、非常に王道で美しい演出だ。魂の救済とはかように成される。
すみれちゃんにとって初めての「選ばれる」現実がこれである。更にかのんからのセンターを「奪いにきて」との言葉、これも非常に重要な点である。
そうだ、前述した通りすみれちゃんの人生は自身に決定権のない選択の連続であった。オーディションもスカウトもすみれちゃんにとっては「選ばれる」ものであり「勝ち取り」に行くものではなかった。

「選ばれ」なくてもセンターを諦めなくてもいいという事実そのものが彼女にとっての救済であり新しい世界への一歩である。
今、選ばれないからといって諦める必要がない。選ばれなかったからもうチャンスがない。そうではない、止まる必要がない。
【本当の夢はとまらないんだね】この歌詞の重み、真髄がここに存在している。OPにも謳われている諦めと夢との関係性、スーパースターで大きく取り扱われているテーマをすみれちゃんからもしかと見てとることができる。
だからこそ、彼女はスクールアイドルとしての輝かしい一歩を踏み出すことができた。加入エピソードとして非常にクオリティが高く、カタルシスが大きい。
この完成度はギャラクシー、このあまりにもギャラクシーと言う他ない。

出会いが僕らのスタート

かように平安名すみれちゃんは圧倒的に愛おしく美しい生物である。まさかあんなクールビューティーな見た目からこんなコンプレックス拗らせモンスターが出てくるとはまるで思っていなかった。嬉しい誤算である。
こんなにも彼女のことが好きで愛おしいのにまだ4話までしか見ていないのでこれからもっと更に燃料が湧いてくるかもしれないと考えると心の昂りを抑えられない。

しかしながら本当に【街角ギャラクシー☆彡】は素晴らしい話であった。私の性癖に強く沿っていたという点は言うまでもなく、スクールアイドル・アマチュアならではの可能性による無限の未来を引き抱した話の構成と救済の構図はとても素晴らしかった。
何度でも失敗しながらも進み続けられるし、可能性は終わらないというのはかのんとの在り方にも重なるものがありそういった点でも胸にくるものがあった。
まさかこんなダークホースがいるとは思わなかった。

変えられたぜ世界
ガッツーン! とね

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