漫才「ついてくる音」
NSC在学中に書いたやつですがなんだかビミョーだったので今までどこにも出しませんでした。
展開やボケなど何も考えずに勢いのまま書いたら変な着地の仕方をしてしまいました。
A=ツッコミ
B=ボケ
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B:僕この間ね、めちゃくちゃ怖い体験してね
A:怖い体験?
B:うん、駅から家まで帰ってるときの話なんだけど、家までの道が街灯もなくて、暗いのよ
A:もう怖いじゃん
B:そう、で、歩いてたら後ろから「コツ、コツ」って聞こえてくんのよ
A:ハイヒールの音かなそれ。怖いな
B:でしょ?で、うわ、めっちゃ怖い怖いと思いながら歩いてても、いつまでも「コツ、コツ」って聞こえてくるの
A:うわーめっちゃ怖い。ついてきてるってことじゃん
B:そう、怖いでしょ
A:うん
B:しかも俺が走ったらさ、その音も「コツコツコツコツ」って早くなるの
A:うわー!
B:だからもう急いで帰らなきゃって思って、走りまくって走りまくってようやく家ついて、急いでドア開けて入ってさ
A:うん
B:よかったーと思ってホッと胸を撫で下ろしたんだけど、また「コツ、コツ」って聞こえてくるの
A:まだ聞こえてくんの!めっちゃついてきてんじゃん
B:そう。だからもうドアの穴とか見ないようにしてさ、さっさと寝ようと思って、
A:うん
B:とりあえず服脱ごうと思って脱いでる途中も「コツ、コツ」っていっててさ
A:…うん?
B:んで、手洗ってても「コツ、コツ」、うがいしてても「コツ、コツ」って聞こえてくんのよ
A:なんなんそれ? 家の前で足踏みしてんの? うがいに関しては「コツ、コツ」の方が音デカいのかよ
B:もう風呂入ろうと思って、
A:うん
B:シャワー浴びてるときも「コツ、コツ」って聞こえてきて
A:シャワーの音よりもデカいんだなやっぱり。それもうコツコツってレベルでやってないだろ
B:頭洗ってるときも「ドン、ドン」って聞こえてきて
A:急に強くなったな! 四股でも踏んでんのか?
B:身体洗ってるときも「コツ、コツ」って聞こえてきて
A:また弱くなった
B:湯舟入ってるときも「ドン、ドン」「コツ、コツ」「ドン、ドン」って
A:そのローテーションなんなの? 強くなったり弱くなったり
B:で、風呂から出てタオルで拭いてるときも、「ペタ、ペタ」って
A:ペタペタ? 靴抜いでない? なんでそいつ靴脱いでんだよ
B:蒸れたんじゃない?
A:冷静に言うな
B:でさ、風呂から上がったんだけど、風呂上りと言えばさ、あれじゃん?
A:なに?
B:せーの、ビール!
A:いや知らんわ
B:なんで言ってくれないの!
A:いや知らねえしお前の日課なんか
B:もう~今日帰るときについてくよ?
A:この流れでその冗談やめろよ!怖すぎるから
B:んで、ビールをさ、一気にこう胃に流し込むわけよ
A:うん
B:(腰に手を当て一気飲み)ゴク、ゴク、ゴク、ペタ、ペタ、ペタ、ペタ、ペタ
A:おい!足踏み入ってるから!流し込むタイミングに合わせてきてるから!
B:ぷは~!やっぱり金麦は最高だな
A:それビールじゃなくて発泡酒だから。わかる人にしかわからないこと言うのやめろよ
B:でさ、もう寝ようと思ったんだけど、まだ「ペタ、ペタ」って聞こえてくるからさ、
A:うん
B:酒飲んでいい感じに酔っちゃってたから、もう最後にドア開けて直接言ってやろうと思って
A:おぉついに!
B:こんなに家の前でペタペタやりやがってと思ってさ、ムカついてきて
A:おう、言ってやれ言ってやれ
B:でもさ、一応怖いからなんか持っとかなきゃと思って
A:うん
B:そこらへんにあったVANS持ってさ
A:なんでまた履かせようとしてんの! スニーカーでしょVANSって。最初ヒール履いてたんだよ
B:うん、いや俺女の子はヒールよりスニーカー派なんだよ
A:知らねえよ。よく女の子VANS履いてるけど
B:そこはコンバースだろ
A:知らねえよ
B:で、ドア勢いよくバンって開けたのよ。そしたら
A:そしたら?
B:(ゆっくりと)そこには髪の長い女の人が立ってて、足元には白くて平べったいものとサランラップが敷いてあって、そこでペタペタ足踏みしてたんだよ
A:……うどん作ってない? それうどんの生地を踏んでるだけじゃない?
B:そう! 俺の家の前で女の人がうどん作ってたんだよ!
A:なんで!? 意味がわからないんだけど
B:俺も意味がわからなかったからさ、聞いたの。「お名前は?」
A:名前聞いてんじゃねえか。それじゃないだろ
B:そしたらさ、相手が「さぬきうどんです」
A:あ、作ってるやつじゃなくて!名前だろ
B:「まさみって言います」
A:まさみ
B:「海の豚と書いて、まさみです」
A:イルカじゃん
B:あっそうそう、聞きたいのは名前じゃなくて、「どうしてこんなところでうどんを作っているんですか」って聞いたわけ
A:うん、それも不思議な質問だけどな
B:そしたら相手が「私は、うどん作りに未練があって成仏できない幽霊です」
A:いやどんな幽霊なんだよ。初めて聞いたわ
B:「ここは昔うどん工場で、私は毎日うどんを足で踏んで働いていました。ある日、社長が大きな機械を持ってきました。それがあの憎き製麺機でした」
A:製麺機?
B:そしたらさ、「製麺機はそれまでのうどんの作り方をガラッと変えてしまいました。うどんは足で踏むのから機械で作られることになり、それによって足踏み要員として雇われていた私はリストラにあって職を失いました」
A:おぉ~悲しい話だな。で、働けなくなっちゃって死んじゃったのか
B:「いや、老衰です」
A:老衰かよ! 普通に年とって死んだだけじゃん
B:「なので私はうどん作りに未練があって成仏できないでいるのです」
A:なるほどな
B:それ聞いて俺、悲しくなっちゃってさ、なんとかして成仏させてあげようと思ったの
A:うん
B:だから俺言ったの。「そのうどん、僕が食べてもいいですか」
A:なんで?
B:そしたら幽霊が、「いいんですか!?」
A:すげー喜んでそう!
B:うどん作りに未練があるなら、その作ったうどんを誰かが食べれば成仏できるんじゃないかと思って
A:うーん理屈はよくわかんないけど嬉しそうだからいいんじゃない?
B:でさ、そのうどん引き取って包丁で切って、鍋で茹でたのよ
A:うん
B:で、食べて、俺びっくりしたね
A:うん、美味しかったの?
B:……餅だったんだよ
A:餅だったんかい! いやいや気づくだろそれは
B:だから俺、幽霊にこれ餅ですよって言ったら、「え、ほんとですか」って言ってスーッと消えちゃった
A:いや消えたんかい。なんでだよ
B:無事成仏できたのかな(遠くを見る)
A:絶対できてないと思うけど。うどんだと思ってたのが餅だったから恥ずかしくなっちゃったんじゃないの
B:そっか、それで消えちゃったのか
A:知らないけど
B:まぁでもいなくなってくれてよかったよ
A:まぁな
B:……でも待てよ、幽霊ってさ、足って、無いよね?
A:うん
B:…てことはさ、俺が見たのはなんだったんだろうね?
A:……急に怖くなるなよ! まさみの正体気になっちゃうだろ
B:あぁ、まみの正体気になっちゃう?
A:いやいや、“まみ”じゃなくて“まさみ”だから
B:あっ。“さ”が抜けちゃいましたね。“さぬき”だけにね
A:なに最後うまくしめようとしてんだ! もういいよ
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絶対にオチをつけなければならないという病気にかかってしまった。
とても悲しい作家の宿命である。
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