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2023夏のまとめ

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2023年夏に作った小説・詩・脚本などをまとめました。
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#メッセージ

動悸のない日常A

動悸のない日常A

小紫作
 ことの発端はアルバイト先で、「○○人とつく流行っている言葉知らない?」と聞かれ
たことだったと思う。三十も年上のおじさまというには品がありすぎる、いつも髪の毛が漆みたいに黒黒と人工的な光沢を放つ先輩だった。
私はリサイクルショップに持ち込まれた古着の鑑定をするため、ルーペを蟻を観察する自由研究中の小学生男子のように一心に見ているときだったから「はあ」という気の抜けた声しか出なかった。

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