シェア
MWU Writers in Residence
2024年8月31日 15:16
作・咲夜「君さ、何を思ってこれを書いたんだい?」「あ、その、えっと、これは主人公が懸想した相手にーーー」そんなことはわかってるよと相手の呆れたような声が耳朶を打つ。ああ、まただめだ。家路をとぼとぼと歩く。昼下がり、賑わう人通りを避け、路地にはいってすぐの家の扉をガラガラと開け、力なく後ろ手でしめた。「はあ…。またか…。」僕は、しがない物書きである。まだ売れたことすらない、作家志望の