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サムギョプサルの自意識

推し活の代償は遅れてやってくる。熱狂して積んで借金して、その手に残されたものを見て気がつく。自分には何もない、と。
それでもいいと開き直れるならいい。だが、そこで気付かされる自分のキモさに大きく傷つけられる。

就活を控えてガクチカを書く機会が増えた。周りに恵まれたプラス意識高い系(笑)な大学生活を送ってきたので困ることは少ない。企業に合わせてエピソードを組み替えて、自分の芯らしきものをチラ見せする。嘘ではない信念は嘘じゃないからこそしんどい。
自分の薄っぺらさを実感しては吐き気がする。SDGsを馬鹿にしていた自分が一番SDGsらしきものに接近している。意識高い系(笑)で人間を括って安心してる奴が一番ダサいとか言っていたのに、目先のわかりやすさに飛びついてしまう。
世間を斜めから見るタイプのヲタクが一番ダサい。後方で腕組みして立ち止まったまま、何も変わらない。キモいとダサいの自意識の中でじっと蹲っている。

諸用のため六本木に行った。
日比谷線に乗って虎ノ門ヒルズ、神谷町、六本木…え、中目黒!?中目黒と言ったらオモコロファンの聖地。頭が完全に推し活モードに切り替わった。
そういえば、新オフィスって六本木だった気がする!そう思った途端に、この車両がダンジョンになった。いつオモコロライターに遭遇するかわからない…。なんか背の高い人みんな野田せいぞに見える…。
ビルの名前を検索して近くまでふらふら歩いてみた。中まで入る勇気はなくて近くのまいばすけっとで濃い緑茶だけ買った。うわ…みんな飲んでたやつじゃん…。そんな思いに駆られてぐびぐび飲んだ。

いや待ってこれキモすぎるな。
神谷町駅に着いた途端そんな考えが降りてきた。
向こうただの会社員だし、ていうか普通に生きてる人間だし。住所までいくとかストーカーすぎ…。
そもそも一方的に他人のプライベートを消費するのおかしくない?このビルはただのビルで、このお茶は推しが飲んでたお茶じゃない。

普段アイドルジャンルにいると、ついつい忘れてしまう。目の前にいる人間は、いくつもの岐路と未来を持つ同じ人間だということを。要素の切り貼りで作られたキャラクターではなく、地球温暖化であちぃと言いながら、自動改札で止められる人間であるということを。
人間を道具的に消費していいのだろうか。そう考えると推し活ってキモくてダサいのではないかという気がしてしまう。

とりあえずもうしばらくはアイドル的な消費はしない、というかできない。いつ出てくるやもしれないヲタクと怯えを抱えながら、今日も動画を見る。

https://omocoro.jp/law/

オモコロの本社六本木じゃなくて品川じゃん


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