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BizDevやるぞーと思って読んだ本と実践したこと

今年もM1が無事終了しましたね。と言っても私はテレビを持ってないのでいつも頭の中のM1を見ています。その様子は昭和の子どもがキン消しを握りしめバトらせて自分だけの「第21回超人オリンピック ザ・ビッグファイト編」を作るかのごとし。
今年は私の頭の中で「ジ・感電死ズ」が初優勝しました。

そもそもBizDevってなんだ?

本題です。私はお仕事はBizDev(事業開発)を自称しています。自称するなら誰でもできるので。
しかしこのBizDev、名乗ったはいいもののすごく定義しづらい職種なのですよね。

試しにBizDevでググってみると、下記のような紹介のされ方をした記事が出てきます。

事業開発を一言で表すと、「事業未満」を「事業」に変えることです。
サービスやプロダクトを作っている過程で、「機能が足りない。ユーザーが足りない。連携が足りない。販路が足りない」などといった色んな足りないものがでてくる。そんな、一人前の事業を育てるために足りないものを発見し補うことだと考えています。
出典:『BizDev』ってなんだ?メルカリ・マネーフォワード・WiL・トレタの BizDev Night!
事業開発という職種の人がやることの定義は、会社や人によってまちまちだが、僕が一言で表すなら「事業を創り大きくする為になんでもする(できる)人」だと思っている。
出典:事業開発(BizDev)は何が面白い?(Tsutomu Akagi)
そんな感じでBizDevについてざっくりいうと、北海道で発表したスライドからの引用ですが、「専門的な人と協力して、事業をなんとかする人」という言葉でまとめられるのではないかと思います。
出典:BizDevという肩書きとぼくのやってること(さのかずや)

共通して言えることは、とにかく自身の関わる事業を成長させるということなのですよね。ただそう言うと、プログラマだって事業成長に寄与貢献しないわけないし、事業拡大を意識しないマーケターなんて存在しないはずです。
そこで、さのかずやさんのお話するような「専門的な人と協力して」という部分が出てきます。つまり事業の成長のために、他人と力を合わせるというニュアンスが含まれるのです。(メルカリは特に「既存事業の拡張」「新規事業の開発」と「ビジネス・パートナーシップ」「アライアンス」「M&A」の掛け合わせとして2×3と呼んでいるようです)

私自身はネットショップ作成サービスに関わっています。そのなかで、ネットショップのユーザーさんがさらにお商売を成長させることができる、課題を解決ことができる機能を、外部サービスとの連携をもって提供することを主な仕事としています。
したがって自分にとってのBizDevとは、自社サービスでは未解決な課題を他社と協力して解決し、結果ユーザーの利益となると定義しています。

前置きが長くなってすみません。そんな立場として今年、というか直近3ヶ月の間読んでよかった本を4冊紹介します。3ヶ月前のことは何も覚えていません。なんなら昨日何食べたかも忘れました。

THE MODEL

言わずとしれた営業のバイブル。なぜ営業向けの本をBizDevが読むのか。「うちのサービスと連携してくれませんか」では、慈善事業をしたい会社がいれば結構ですが、連携するメリットが伝わりません。
「うちのサービスと連携しませんか。うちはこういうメリットがあるし、あなた達にはこういうメリットが有るからです」と伝えなければいけないのです。上述のTsutomu Akagiさんも書いていますが、BizDevは「売らない営業」という側面もあります。

そこで、この「THE MODEL」が役に立ちました。営業のプロセス管理として「マーケティング」「インサイドセールス」「外勤営業」「(受注後の)カスタマーサクセス」と各フェーズに分け(分業しつつも、分断が生まれないよう相互にフィードバックできるようにする。ただ私の場合すべてのフェーズを自分でやるのでそこはあんまり気になりませんでした)、各フェーズのKPIを追い、徹底的に顧客のステージを管理する事ができるようになります。

この仕事を始めたばかりのときは「EC支援ツール出してる会社にとにかくアタックだ〜運が良ければ連携してくれるでしょ!」という感じでデッパツしてしまい、数撃ちゃ当たる方式でやっていました。
ただ、それだと「やってくれる」「やらない」のふたつで終わってしまい、「いいよやるよ!(今期中とは言っていない)」というタイプの方は「結局あの案件やってくれるんだっけ…?」となったり「厳しいんだよね〜」というタイプは「あのとき断られちゃったし」とそのまま放置されたりしがちでした。

そんなときに上記の「分業」を踏まえ、サービス連携をしてくれる会社さんも様々なフェーズがあることを整理しました。

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↑THEMODELをベースに作成した各フェーズに落とし込んだときのKPIと各フェーズで見せるべきページの資料

こうして「この会社さんはどのフェーズにいるのか」「どういったアプローチを行うべきか」「やりたいけど今はリソースがない、来年相談したい」といった「リサイクル可能な顧客はいるか」など、提携会社の状況を度のフェーズにあるか落とし込んで、KPIを整理し、現状だと「マーケティング」の箇所がほとんどカバーできていないな、といったそもそもの弱点に気づくことができたのでした。

決定版 ネゴシエーション3.0

ハーバード流交渉学の最新・最強版とかかれており、思わず手にとってしまった一冊。「アヤシイ心理学を利用して相手にイエスと言わせる方法」を期待していたのですが、内容は「民族間や宗教間、政治的な対立が起こったときどうすべきか」という全く真っ当ものでしたすみません。

これはねえ、BizDevもそうですがすべてのメンヘラは読んだほうがいい。(極論)

交渉と一口に言っても自分の利益を増やすための交渉や、一方で不利益を避けるための交渉など様々ですが、ここでの交渉は「相手と自身のアイデンティティ(自身を形作る一時的または永続的な特徴)が対立したとき」を想定しています。この対立のことを本書ではコンフリクトと呼びます。
例えば私はチョコミント大好きチョコミン党ですが、「チョコミントって歯磨き粉の味じゃん」と言われたら容赦なくクリニカをそいつの穴という穴にねじ込む自信があります。だいぶ卑近な例になってしまいましたが、本書だと「個人的に意味を持つ体験」などもアイデンティティに含まれています。
まさに『花の慶次』で真田幸村が言っていたセリフですね。

いいかキサマら 人間には触れちゃならん傷みがあるんだ!! 其処に触れたら後はもう生命のやり取りしか残らんのだ!!

さて、なぜ幸村とBizDevとメンヘラはこれを読んだほうがいいかというと、

・コンフリクトをコンフリクトとして認識し、扱う
建設的な議論にするために、相手が何を犯し難いと思っているか(アイデンティティはなにか)理解する
・相手のアイデンティティを理解した上で、自身のアイデンティティを両立させるにはどうすればいいか

がわかるようになるからです。
私もメンヘラ検定準一級の資格を持っているので、自分の要望と相手の要望が噛み合わなかったときに「なんで理解してくれないんだ」「自分が情けないからわかってもらないんだ」「ピィ〜〜〜」と大いにこじれます。ただそもそもこういった場合、自身と相手のコンフリクトが起きていると気づいていないのです。

交渉がうまくいかないと気づいたときは、「コンフリクトを起こしていること自覚し、感情に訴えかける前に立ち止まる」ことが必要なのだと、本書では教えてくれました。
そうして初めて、「相手が譲り難い思っているのは何だ?金銭的な問題か?それとも技術的な問題か?そもそもなんで相手にそんな問題が発生しているのか?」を詳しく聞いた上で、自分の中で「ここなら譲歩できます」「ここは私達でやります」といった歩み寄りをするチャンスが生まれてくるのだと思いました。
さらに本書では具体的なシーンとともに相手と関係を構築していくステップが記されているので、BizDevなど何かにつけ相手と痛み分けをすることが多い職種の人は読んで損はないです。

まだ2冊しか紹介していませんが、普通に長くなってしまったので残りの2冊は後半戦に持ち越したいと思います。本当に書くのか?

ここまでお付き合いくださり誠にありがとうございました。

このエントリーは、
GMOペパボ ディレクター Advent Calendar 2020に参加しています。


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