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ないものねだりは際限なく、隣の芝は青く、夏の空はどこまでも青い

手首も肩も華奢で、長く伸ばした黒髪が似合い、誰でも守りたくなるような、そんな女性になりたかった

「しっかりしているね」
「ひとりでも生きていけそう」
何万回と言われた言葉たちに自分のアイデンティティがじわじわと締め付けられる

褒められるのが嬉しかった
頼られるのが、誰かから「ありがとう」と言われるのが、嬉しかった。それだけだ
強くもなんともない。意地っ張りでみっともなくて、それでも自分の足で立ちたい、とそう願っているだけ

叶うなら、強くてひとりで生きていけるような女性ではなくて、ウェーブがかかった艶のある細い髪が、白い華奢なうなじが、似合うような女性が良かった

勝手に決めつける社会が嫌いだ
強く生きたいくせに守られたい、と思う弱い自分が嫌いだ

たいして外へ出るわけでもない休日に、朝起きて顔を洗い、まず初めに日焼け止めを塗る
そんなささやかな努力をする自分は自分しか知らないのだ

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