博物館デジタル化調査報告 No.11 〜テート・ブリテン〜
こんにちは。ミューゼオの奈良です。
第11回はテイトのひとつであり、ジョン・エヴァレット・ミレーによる「オフィーリア」などイギリス出身の有名アーティストの作品を展示しているテート・ブリテン。今やミュージアムの楽しみ方のひとつとして確立されつつあるデジタルを活用したさまざまな施策をまとめていきます!
国内のミュージアムではあまり見かけない施策も含め調査し、「デジタル化やDXは手段や方法が色々ありすぎて何から手をつけたらいいのやら…」と悩んでいる方の参考になればと思っております。
調査はミュージアムの公式HPを中心にミュージアムとしての取り組みや個人的に好きなミュージアムストアの情報なども取り上げています。テイトでは共通アカウントでSNSを運用しているため、今回は省略いたします。(TOP画像はテイト公式Facebookを参照)
テイトについて
テート・ブリテンも含まれるテイトは、イギリス政府の持つイギリス美術コレクションや近現代美術コレクションを所蔵・管理する組織である。
テート・ブリテンの概要
イギリスの国立美術館
所在:イギリスロンドンのミルバンク地区
英語の正式名称:Tate Britain
ミルバンク刑務所はテムズ川(アイシス川)沿いに国立の刑務所として建築され1816年から1890年にかけて運営され、さまざまな文学作品にも登場している。地盤沈下などの問題があり取り壊されたが、刑務所跡地はテート・ブリテンにとして美術館に生まれ変わり、刑務所の建築材として使われたレンガは「ミルバンクエステート」住宅団地などに使用されている。
Webサイトの内容
〈開館時間〉※基本休館日なし
月〜日曜日 午前10:00-午後6:00
〈チケット〉入場無料,特別展は有料
【1】Late at Tate
テート・ブリテンでは毎月第一金曜日に夜10時までの夜間開館を開催している。特別展の入場料は半額の上、ライブやパフォーマンスアートなどのイベントも開催され、オンラインでも視聴可能である。
【2】ターナー賞展
ターナー賞展はテート・ギャラリー理事会が選んだイギリスで活動する50歳以下の美術家4人を取り上げる展覧会であり、その中からー名にターナー賞を贈っている。授賞式はTVなどでも放送される一大イベントだ。過去に受賞した作家の中では、牛をホルマリン漬けにしている作品で有名なダミアン・ハーストなどがいる。
また、昨年はコロナの影響を受けターナー賞に代わる「ターナー・バーサリー」が開催された。
【3】作品をゆっくり楽しむ
テート・ブリテンでは芸術作品をより深く知るために「slow look」を推奨していた。アートギャラリーにおいて展示作品を見るための所要時間は平均8秒、一方で78,000点の作品につき15分を費やしたとすると、すべてを見るのに4年以上にわたって1日12時間かかるとのこと。
また、実際にゆっくり楽しむとどんな発見があるのかも記載されていた。
Shop情報
ショップもSNS同様テイトで運営しているが、テート・ブリテン仕様のグッズを中心に紹介する。
●テート・ブリテン柄グッズ
冒頭に紹介したテート・ブリテン内部の写真でもその特徴的なタイルが確認できる。靴下の他にも、ネクタイやスカーフがあった。
●テート・ブリテンで挽いたコーヒー豆
テート・ブリテンのカフェ「DJANOGLY CAFÉ」ではビールの本場であるドイツとコラボしたホガース風ビールや軽食などもいただくことができる。
こちらで提供しているコーヒー豆を販売している。男女共同参画社会を目指しているテート・ブリテンではミナスジェライス州内のコーヒー生産自治体と協力して、女性や家族のコーヒー生産者と話し、学び、コーヒーを購入している。またコーヒー豆のラベルは、16〜25歳の子供たちによって作成されたものだ。
●テート・ブリテン産のハチミツ
調査No.2で紹介したヴィクトリア・アンド・アルバート博物館でも行っていた蜂の飼育。テート・ブリテンでは屋上にある蜂の巣で採れたハチミツを販売している。
まとめ
▶︎昔の建物跡地を活用した施設であるため、地域に馴染みやすく親しみやすくなっているようだ
▶︎アーティストの注目度を高める表彰の場を提供している
▶︎ミュージアムグッズ内でもアーティストと社会問題を結びつけている
テート・ブリテンでは歴史的な建物の活かし方や、地域への参入がうまくいっているように思います。また、アワードの開催や一般の方の作品をグッズ化するなど、未来の芸術活動に力を入れていました。
次回は4つあるテイトの中の2つ目テート・モダンについて調査していきます。ギャラリーによる特色の違いはあるのか?お楽しみに!