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創業期の起業家である私の2020年の苦悩と闘争

12月に入ってから、VPoEの加藤が「テーマはなんでもOK、カジュアルに書いていいし、みんなでアドベントカレンダー書こうぜ!」って言い出し、楽しそうだしめっちゃ良い取り組みだなと思って賛同したところ、弊社の今日までのアドベントカレンダーの一部がこちらです。


「え、めっちゃ本気じゃない?内容はたしかにカジュアルだけど、クオリティは全然カジュアルじゃないぞ...!」と思ってたら自分の当番になったので、テーマを好きなこととか、趣味とか休日の話とか色々と振り返ってたら...

「何も思い出せない。」

そう、何も思い出せないくらい趣味っぽいことをしてないし、どのシーンを切り抜いても事業となんだかんだ関連してWork as Life状態になってたことに気づきました。
綺麗事を言うと、Salesforceのスタートアップガイドブックに書いてた「24時間7日間事業に向き合うこと」を体現しているようにも見えるが、実際のところそんなかっこいいことではなく、考えたくなくても考えてしまう、そして考えても行動しても望んだ通りにならない苦悩に日々かられて、その苦悩との闘争の日々だったなと。

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※SaaSスタートアップ創業者向けガイドVol2より抜粋

なので、今日のアドベントカレンダーのテーマは創業期の起業家である私の今年の苦悩と日々の課題との闘争を手短に軽くまとめようかなと思います。

苦悩1:早く、そして遠くに行きたい

“if you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.(早く行きたいなら一人で行け。遠くへ行きたいならみんなで行け。)”というアフリカの諺はある。しかし、早くて遠くに行きたい場合へのアドバイスはありません。
起業家のジョブを一言で定義すると、大きな志を描き、信じ続けながら、スケールしないことを敢えてやり続け、差分をなくしていくことだと個人的に思っています。
一見素晴らしいジョブですし、言葉として言語化すること自体は簡単ですが、いざこのジョブを本気で実行すると、日々矛盾だらけです。
正直にいうと「充分な速度で進められてないのではないか?このままで本当にいいのか?」と憂いながら、その上で「解いている問いと仮説は本当に正しいのか?」と疑い、猜疑心にかられてしまう毎日です。

最短距離で走りたいか故に、焦りが出て独りで考え、行動した方が目的地に実はたどり着くのではないかと思ってついつい独りでやってしまうことがあります。
この場合、初速が出ても途中で勿論独りでできることの限界にぶつかり、そのタイミングで仲間に相談し、人を増やすとするが、その分スピードが少しでも落ちるとまた憂いてしまう。そしてこの悪いループを繰り返していた時期がありました。

闘争1:変数だらけの環境でも変わらず信頼する仲間と共に歩む

この悪いループから抜け出すせた答えは一つしかありませんでした。
一見、何も答えになっていないかもしれませんが、それは「自分と同じ速度で走れる上に、変数だらけの中でも変わらず信頼できて遠くまで一緒にいける仲間を集め、信じること」でした。
矛盾をなくすのはシンプルに、遠いところに向けて走っても速度を落とさない仲間を増やす以外にありません。一例として今年の3月からジョインした弊社のCPO河野がまさにその仲間の一人で、彼がジョインしてからの開発速度は10xであり、それだけではなく、経営課題のディスカッションなどでも心強く支えてくれています。
ちなみに彼のアドベントカレンダーはこちらです。


苦悩2:白黒で割り切れない課題、失敗しなければいつか成功するという思考の罠に陥り、失敗しないようにと正解思考が事業成長のブレーキとなる。

誤った意思決定をしないようにしたいが故に、周囲の意見を求めすぎて逆にブレてしまうこともありました。
スタートアップにおいて、イシューをなるべくシンプルにして&明確にする必要は言うまでもなく自明ですが、一方で創業期であればあるほどイシュー自体の抽象度が高く、白黒で割り切れないことが多いし評価基準も曖昧なことが多いです。そこで正解思考が強すぎて常に正しいことを選んで行動すると短期的には「確からしさ」があっても論理的に正しいとわかっていてもハートがついていかず、結局うまくいかない。

「あなたのサービスはMust haveよりもまだNice to haveなので、まずはMust haveになりましょう。」
「マーケットに類似プレイヤーが増えてきているので、しっかり競合優位性を築きましょう。」
「TAM/SAMの大きさがまだ見えないから、事業やプロダクトよりも、まずは勝てる事業戦略を設計しましょう。」
「事業よりもまずはチーム、まずは採用にフォーカスしましょう。」
「人を採用するためにまずはPMFを証明しましょう。」

等、どれもピックアップすると決して誤った意見ではありません、その代わり一つ一つの意見を全部答えようとしたらスピードが落ちるところが、誰が見ても成功するようなスタートアップになれそうな気がしませんよね。

なぜなら冒頭に書いた通り、スタートアップにおいて、イシューをなるべくシンプルにして&明確にすることが極めて重要なことでありながら、全く持ってフォーカスできてないですし、一貫性も意思決定の軸もないからです。失敗しなければいつか成功するという思考の罠に陥り、失敗しないようにと沢山の意見がすべて正しく聞こえてしまい、逆に事業成長へのブレーキになりそうな時期もありました。これはプロダクト開発においても同じような罠がありますが、それは「ユーザーの声が最も大切、ユーザーファーストであれ」という言葉の罠です。

「この機能があれば絶対にお金払いますよ!」
「Well最高です、無料ならずっと使います。」
「UXをもっと改善してほしい、それなら友人に進めます。」
「API連携とかしてないと使えないです、それを最優先に対応してほしい」

等ユーザーからの声をすべてそのまま受け入れて対応しても全くうまく行きません。それはユーザーファーストではなく、思考の放棄です。ユーザー自身も自分が本当にほしいものを理解していません。ユーザーの表面的なフィードバックだけで一喜一憂し、周囲の意見をついついを聞こうとして右往左往してしまうようでは、勿論いい事業、プロダクトを作れる訳がありません。

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闘争2:敢えて正しい軸だけで意思決定しない。正しい方を選ぶのではなく、ハートと正しくする力の有無を信じる。解く必要のないものを棚上げし、オピニオンマネジメントを大切に。

どんなに正しいことであっても、自分が信じてない、もしくはハートがついてなければエグゼキューションのレベルが下がるので、仮に正しかった仮説が正しくても検証しきれずに中途半端の結果がファクトとなり、そのファクトの上で誤った仮説を立ててしまうことになってしまいます。正しい仮説検証になるためにも、どれだけ正しそうに感じていても論理も勿論大切ですが、ハートが追いつかないことをなんとなくの納得感があるから、論理的には正しいからというだけで行動しないようにしています。

また、以前自社のStand fmでも少しお話しましたが、自分で作った造語である「オピニオン・マネジメント」という言葉をすごく意識するようにしてました。アドバイスをやるやらない考える上で何が自分の今解決したい課題か、誰からの意見なのか、なぜいまやる必要があるのかに全神経使ってます。詳細は弊社PR坂本がまとめたこちらのnoteになります。


最後に:筋書き通りの未来は存在しない、予測できないブラック・スワン、自分で発明できる未来、ハッピーエンドにするか、バッドエンドにするかはすべて自分次第

よく仲のいい友人が気にかけてくれて「コロナで大変になってないか?」「〇〇社が近いサービス始めたらしいけど、大丈夫?」と連絡をくれたりしますが、その度嬉しいと思う反面、少しだけ起業家として違和感を憶える時があります。
それは起業家や事業家は予測できない未来や発生する事象に対してなにかリアクションする仕事ではなく、未来を自ら発明する仕事なのであって、日々発生することにアテンションする必要があっても、毎回それらについて意思決定したり、マインドシェアを大きくとったりするべきではないなと思ってるからかもしれません。

スタートアップは世界をどうよくしたいか、自分がどうありたいかへの追求であります。私達の敵はコロナウィルスではない、競合相手等でもない、だいたい自分達なのです。
日々の自分達の苦悩に向き合い、闘争し、そして実現したい世界と現実のギャップを少しでも埋められるようにして、誰もが予測できない未来を創っていく、かなり主観ですが、こんな最悪で最高なジョブは起業家と事業家しかないと思ってます。
気づいたらすごく長いアドベントカレンダーになってしまいましたが、共に未来を創ろうとしてる皆さんにとって少し参考になれれば幸いです。

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そして最後に少しでも私達とちょっとだけ無理なことに挑戦したいなと思った方が入れば気軽にご連絡ください!

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牟田吉昌(Yoshimasa Muta) 株式会社Boulder founder CEO 幼少期に中国の長期滞在経験あり、バイリンガル(日本語・中国語) 学生時代にスタートアップ立ち上げ等を経験後、株式会社リクルートホールディングスに新卒入社し、「AirPAY」に従事 その後株式会社フラミンゴにジョインし、取締役COOに就任 2019年4月に株式会社BOULDERを創業 エンプロイーサクセス事業「Well」(https://well.b-boulder.com/)をリリース、開発・運営

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