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2.ばあちゃんが倒れた!

ひとまず、ばあちゃんの介護の始まりからだけはお話しします。
それは2008年夏のことでした。

私は独身で実家暮らしなので、帰宅すればたいていは専業主婦の母が在宅しているのですが、その日、仕事から帰ると家に誰もいませんでした。

私は、たまたま短期バイトの最終日。
それを知った職場のおじさんから「ステーキご馳走するよ。ついでに、俺の飲み仲間の若い衆紹介してやるから、◯◯って居酒屋においで」とお声をかけられていました。
どうせ翌日から会わない人なので後腐れもないし、ステーキ食べたいし、珍しく誘いに乗ろうかと思っていたら、ちょうど帰宅した母に告げられました。

「ばあちゃんが脳梗塞で倒れた」と。

ステーキを食べに行ってる場合ではありません。
当時携帯を持っていなかった私は、「おいで」と言われた店に連絡して、おじさんを呼び出してもらい、「祖母が倒れていけなくなった」と断りの電話をして母と病院へ。
その時のばあちゃんの意識は、割とはっきりしていたけれど、発症から24時間以上経過してしまっていたらしく、どんどん状態が悪くなっていきました。

母はほぼ毎日、病院へ行っていたと思います。
いつも割とにこやかだったはずのばあちゃんは、いきなり体の自由を奪われたことで、かなり苛立って、当たり散らしていました。
母と叔母のため息も増えていきました。

【余命】という言葉も出ていたと思います。

この入院中にまず最初の「見守り介護」の任務が私にやってきました。
本当に、断ったあのステーキをご馳走になっておくべきだった…そんな試練でした。

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