<売れないかも知れないが、良いものを作りたいという寝言の話>
日本の、いや世界の音楽産業は、ここ10年近く未曽有の構造改革を迫られ続けている。
インターネットの普及とそのスピード、音源のデジタル化によるパワーシフトは、販売システムを変化させ、音楽産業の利益構造を根底から覆した。
今はネット上に無料の音源が溢れかえっている。
しかし、音楽そのものの種類が増えたとはいえ、「良い音楽」には300年以上前から、そのクオリティは一定の、あるいは当然の評価基準があった。
クラシックと呼ばれる当時の宮廷音楽を、王族が評価し、支援していた時代。
その後現代音楽に移行し、さらに大衆音楽が旧メディアの発達により全世界をマーケットとする時代になってもなお、その基準は制作者や評論家やらを含む評価と、何よりもユーザー基準ともいうべき「ヒット」つまりレコードやCDの「売り上げ」によって、評価され、資金を得てレベルを保たれてきた側面を持つ。
その「レベル」を保つ礎となったパッケージ商品の売り上げが、デジタル配信、さらにサブスクリプションモデルにより収益構造が崩れ、変化し、極端に悪化してしまった。
いまや聴取数、ストリーミング数というほぼ「金銭」に直結しない時代が訪れ、複製商品の収益は数百分の一まで落ち込んでいる。
このままではまだ売れていないミュージシャンは、作品を作ったり、CD発売も厳しく、たとえ可能性が十分にあっても簡単には食っていけない。
資金が無ければ真っ当なプロダクツでレコーディングする事も出来ない。
さらに経験値を積んで音楽のレベルを上げる事すら、ままならない。
どうすればよいのか?
当時権力・財力を持つ王族や貴族が、多くの才能ある音楽家のパトロンとなった。海外ではその図式は今でも踏襲されている。
現代の日本に於いても、才能を持つミュージシャンや、今後世に残る楽曲を見つけ、育て、作る責務を持つのは、実は音楽業界とは別の、多くの収益を得る心ある国内優良企業なのではないだろうか。
企業は、スポーツには投資する。勝ち負けがはっきりし、もし有数のチームや人気アスリートが誕生すれば当然各種の国内や世界大会等で「企業名」が宣伝され、収益にも繋がるからだ。
野球もサッカーも、オリンピック種目のスポーツ等にも、企業は宣伝費や福利厚生費名目で税金として払うべき金銭を費やし、サポートする。
だが音楽や絵画・彫刻など芸術的な物事に関しては、企業はいたって消極的だ。判断が個人の趣味嗜好に捕らわれがちだからだ。
ただ創業者個人が、私財を払って美術館などを作るような話は良く聞く。
またクラシックや交響楽団などを支援する話もままある。
これらは「芸術作品」「芸術活動」と一般的には見なされるからだ。
とはいえ大衆音楽でもタイアップの話は昔からよくある。
だがこれらの実態は、あくまでも人気のある歌手やミュージシャンと利害関係を持つ組織が手を組み、その時点の人気度合でCMや番組宣伝に利用することに他ならない。
ただ一部例外もあり、新人の登竜門となったCMや番組も昔は存在したが、もはや関係性含めてほぼ消失している。
さらにスポンサー企業は広告料は払っても、制作費は負担しない。
なぜか?その当時は制作費をレコ社が負担し、原盤権利者となる事によって、タイアップが付きヒットするレコード・CDの「売り上げ」で利益が確保できたからだ。その利益率は相当高かった。
原盤権はレコード会社の収益の根幹であり、打ち出の小槌であったのだから、それをスポンサー企業と言えど、渡すはずはない。
しかし今はタイアップとしてその楽曲やミュージシャンを浮き彫りに出来るモノはまず皆無だし、たとえタイアップが付いてもなかなか売れない。
そして現実として一部アイドル等以外のパッケージはまず売れないので、原盤制作費はレコ社等にはただ負担となる。
なので原盤権は持たず、外部に丸投げで、そこには金を掛けず、それどころか最低保証を付け、自社は損しないようにしてインスタントなものをレコ社名やレーベル名を付加して売り出す。
完全な他人のふんどし商売である。嘆かわしい。
<さてここから先は、手前勝手な夢物語、それこそ他人のふんどし目当ての極甘な提案なので、鼻で笑ってください。>
今は誰でも簡単に音源などは作れてしまう。しかしお感じの如くそのレベルは一様に低い。もちろん全てではないが・・。
音楽の「レベル」や「質」をキープし向上させるシステムやチームが日本では崩壊しつつあるからだ。
誰かが自宅でPCでちょちょいと作っても、何人もの優秀なミュージシャンやスタッフが関わり、レコーディングされたものでも、CD価格や配信価格はほぼ同じだ。
その一聴して、表層的にしか聴こえない違いは、一般的な日本の音楽ユーザーの質ではこれっぽっちも判らない。あ、いや判りづらいのではないかと思われます笑。
という事は、音楽の「レベル」や「質」は一流企業の経営陣にも理解されないかも知れない。
ただ、大きな会社にはきっと良質な音楽ユーザーもいるであろう。
昔バンドやっていて、生活などのために就職した元ミュージシャンも居るかも知れない。彼らは今の音楽に大きな不満を持っているかも知れない。
良い音楽を欲している企業人は必ず存在するはずだ。
何より彼らの働く企業はお金を持っている。内部留保もたんまりある。
さらに、良質な日本語のロックやポップスを作るための費用は、技術進化と過当競争の結果、良くも悪くもいまや80年代の10分の一以下だ。
とはいえレコード会社にはもはや資金も予算もタマもアイデアもない。
いや決してレコード会社などを全否定している訳ではない。
でも現実は人材含めて、予算も何もあれこれ厳しいですよね?
そんなこんなの事情の中、大衆文化の保護、社会貢献の一環として、理解ある優良企業が、税金を納める一部の資金などで自社の音楽レーベルを作るのはどうだろうか?。
という提案です。
(もしくはお金の使い道が無くて困っている個人の方でも結構です。今までに関わった組織名を使わせて頂ければ。)
我々が音楽のレベルやクオリティは保証するから、レーベルとして制作費その他を負担してもらえないだろうか。CDや配信音源とMVの。
タマやネタは幾つかあります。
ベテランから若手まで最優秀なチームを集めます。
経験値は相当量あります。
売れるべきものを作ります。
好きな物だけ作らせろ、金は出しても口は出すなと言っている訳ではけっして無い。
企業のニーズとの接点もちゃんとこなします。
こんなの作れと言われたら、ちゃんと作ります。
ライブだってハイレベルでやらせます。その企業の謝恩会だって出ます笑。
単純に言えばスポンサーとしてお金を出している地上波番組に主題歌等としてねじ込むことも可能なはず。ただ詳しくは言いませんが、確実に妨害があるので、道のりは険しいですが笑。
もし一万枚でも売れたら、企業名は、そのレーベル名はニュースバリューを持つ。むろんチャートにも載ります。
音楽レーベル事業はその企業の文化的な価値を上げます。
もちろんミュージシャンにとっても、その後の活動のステップアップとなる。既存の印税分配慣習も変えます。
しかし、一万枚売れる保証は、はっきりいって無い。千枚でも無い。
良いものは必ず売れる、そんなの幻想です。
もちろんCDだけじゃなく配信やサブスクも視野に入れますよ。
でも回収できる保証のない事業であります。
なのでその制作費は当該年度で償却してほしい。原盤権は残ります。
ムシのいい話だろうか?ですよね。
ちょっと呆れている貴方の顔が容易に想像できます笑。
え?クラウドファンディングでお金集めろ?
それが上手く行ったとしても、もはやバリューは低下してます。
たとえ作れたとしても、多分作れただけで終わります。
音楽業界外の企業が予算を組んでレーベルを作り、その企業の一部の力を利用して、そこからのヒットが生まれることが社会へ一石を投じ、波紋を呼ぶ事象となるのです。
現代の音楽パトロンになって欲しい。
もしそのような事例が上手く行き、各社が乗り出してくれれば良質な音楽供給の道がより広がります。
つまり僕が関わらなくても、構わないんです。
とにかく、何か言っておかないと何も始まらないし、良いものが作れないので、書き記しました。
読まれた方は頭の片隅にでも入れておいて頂けると幸いです。
そんなの無理だ、と思ったら無理なので。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?