マガジンのカバー画像

台北物語

6
運営しているクリエイター

2014年10月の記事一覧

10月24日 ギンモクセイ

10月24日 ギンモクセイ

あまいかおりに鼻をくすぐられて深呼吸しながら歩く、銀木犀のシーズン。虫歯が疼きそうな金木犀のそれとはちがう趣きで、二度寝のおフトンの温もりのように、慕わしいあまさ。

8月31日 鳳凰木

8月31日 鳳凰木

日向夏の「生蜂蜜」をいただく。

むかし宮崎の母の郷からおくられてくる日向夏が楽しみだった。
1センチはある厚い皮の白いぶぶんを残してスライスし、砂糖を少々まぶしてたべる。フカフカした白皮に柔らかくすがすがしいレモン色の果肉とツブツブざらざらのあまさ。他のどんな柑橘よりも太陽の薫りがして、幼心にもすごく贅沢なものを味わっているかんじだった。実家を離れてからはもう何年も口にしていない。そんな日向夏の

もっとみる

6月9日 玉荷包

玉荷包〜ユイへーバオ

每這個季節覺得而第一次叫"玉荷包”的人很厲害。又香又甜,時機很短,所以可認為是夏初的寶石。

この時期に出回るライチをそう呼ぶらしい。和名をドラゴンライチ。
鎧のような皮を剥くと、半透明のしろい粒がツルリと出てくる。この瞬間「玉荷包」なんてよくぞ名付けてくれた、と毎年おもう。

「陰陽」でいえば「陽」のこれを、たべすぎると吹き出ものが出たりするのは、中国医学で謂うところの「

もっとみる
11月16日 基隆・金山

11月16日 基隆・金山



基隆・金山発、秋風行き。
台湾の山や自然を、長らくすきになれないでいた。季節感や色合いが日本に較べて乏しくつまらないと思っていた。でも、気付くとあら。随分おもしろいじゃない。おそらく先日の台風で倒れた樹の根元から、切り株から、生命がみなぎり吹き出しうったえている、もうすぐ冬だというのに。

いい映画・いい作品・いい人に出会ったあと、こうやって少しずつ、でも確実に人生は変わる。

基隆東北海岸の

もっとみる